Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 365点の連作について 
    昨年のブログに「365個で構成する作品」(2006.8.10)というアイデアを書きました。これは立体、とくに陶彫が頭にあったのですが、2月から始めている作品は葉書よりやや小さめの平面作品です。これなら毎日気楽に作れるかなと思ったのです。陶彫や木彫で日々どちらかといえばモニュメンタルな作品を作っているのですが、これはそうした立体作品の対極にあるポケットサイズの作品で日記のようにやっていくつもりです。事象の捉え、思弁的なもの、技法の実験など普段やりたかったことを全てやってみようと思います。テーマの一貫性はありません。発表するかどうかも微妙です。とにかく1日1点。好調不調に関わらず1日1点。多忙でも暇でも1日1点。楽しくても悲しくても1日1点。来年の1月31日がゴールです。さて、どうなるものやら定かではありませんが、何はともあれ1日1点です。
    対極 放射するカタチ
    作品をイメージする時、相反する一対のカタチが脳裏を掠めます。尊敬する石彫家の中島修さんも作品は同じものを2つずつ作ると言っていたのを思い出します。2つが相対することで、2つの作品以上の空間的な効果が現れることがあります。中島さんの石の幾何形体が2つ並ぶと、まったく同じ形体とはいえ、空間が大きく広がって見えます。自分も「構築〜包囲〜」を作っていた時に、同じ構成要素をもつ作品がその対極としてイメージされました。囲むカタチの反対側に、放射するカタチがあってもいいと思ったのです。次作はそんな具合に決めました。何かを作ると、その発展として次の作品が生まれてきます。その繰り返しがあって制作が続いていきます。先日のブログに書いた通り、イメージができたら間髪を入れずに作り始めること。そんな自制心を働かせて、雛型作りに精を出しています。
    「構築〜包囲〜」の反省
    昨日終了したグループ展に出品した「構築〜包囲〜」は囲むカタチを表そうとしたものです。昨年からブログに折に触れて製作途中の状況を書いてきました。その際、作品仮題を「囲むカタチ」としていました。つまり外から内へ何かを取り込むように構成した作品を想定していたのです。展覧会に来られた方々から、かなり好感を持たれましたが、柱が30本林立している景観に関した感想ばかりで、全体としての構成要素はなかなか理解してもらえませんでした。内なる空虚を包囲したイメージをきちんと伝えられていないのに気がついて、これが課題として残りました。柱の角度かもしれません。とくに中心にある短めの柱は力学的な構造上あの角度にしなければならず、美術的な計算はありませんでした。その中途半端な角度が天空の中心に向かう緊張感を演出できなかったと思います。ちょっとした手直しで済むことではないので、これを次作に生かして、来年は緊張感のある空間を創出したいと願うばかりです。
    「構築〜包囲〜」搬出作業
    今日はグループ展の搬出日でした。作品を解体して梱包し、倉庫に運搬しました。「この作品は設置も撤収も一人じゃ出来ない。いろいろな人の手を煩わせているので、みんなに感謝。」と家内が言っていました。その通りです。去年の個展の時も、搬出した作品を積んだトラックが銀座のネオンの中に消えていったのを見て、家内は働いてくれた人たちに心の中で感謝をしたそうです。自分は作品の置き所ばかり考えていて、作品が自宅に届いたらどこに保存しようかと迷っていたものです。ようやく周囲の人たちの恩がわかってきて、恥ずかしい思いです。大掛かりなインスタレーションをイメージしてしまう自分は、手伝ってくれる人たちを大切にしなくてはならないと思いました。
    鎌倉彫の彫師さん
    大切な友人に鎌倉彫の彫師をやっている安斉文隆さんがいます。自分がウィーンから帰国してまもなく、ドイツ語を忘れないために在日ドイツ人学校(横浜市都築区にあるドイツ学園)の夜間クラスに通っていた時期があります。安斉さんはその時に知り合った人です。安斉さんは鎌倉彫の技術を伝えに、またドイツの木彫技術を学びに行く目的でドイツ語を学んでいたのでした。それを度々実現させ、多くの写真をもって私のところに現れました。鎌倉の山水堂で1級技能士として仕事をしている安斉さんですが、彫りへの思い入れが強く、また技術には目を見張るものがあります。今日は横浜のグループ展に来ていただいたので、鑿の研ぎ方や扱い方を伝授していただきました。自分の作品は安斉さんのように緻密さも流麗さもない粗雑なものですが、自分の襟を正すためにも、こうした人が自分には必要なのです。ブログをご覧になっている方で、お時間があれば、ぜひ鎌倉駅近くの山水堂にお出かけください。安斉作品の彫りの美しさを堪能してください。