2012.03.08 Thursday
色彩のことを考えているうち学生時代から拘り続けているフォルムについてもボンヤリと考え始めています。色彩感覚に合わせれば形体感覚と言うべきでしょうが、フォルムというコトバが一般的なので今後フォルムというコトバを使います。自分にとってフォルムの認識は外界にある対象物を写し取る作業から始まりました。いわゆる塑造で、そのねらいとするところは表面より内部の構造を把握する学習でした。核となる心棒から粘土をつけて形体を膨らませていき、その量を捉えながらプロポーションのバランスや動きを表現する手法です。最初の塑造では、いかに正確に対象物を捉えることができるかが評価されました。表面処理ばかりに気がいくと、構造があやふやになって立体を成さなくなるという彫刻の基礎基本です。そのうちしっかりした構造をもつ立体は美しいと感じるようになり、やがて立体性を追求する姿勢が芽生えてきました。塑造や彫造という手法から離れて空間を解釈するようになり、そこから現代彫刻の扉を開けることになります。フォルムとスペースは一体化されたものと感じました。それは何もない空間(スペース)に物体(フォルム)を配置することによって空間の質が変わるというものです。そこでの空間体験は人の心理に何らかの影響を与えます。現代彫刻が街に進出し、建築との共存を試行するのはそんな理由によるものです。自分もギャラリーの空間を自己流に解釈する作品を毎年提示しています。フォルムとは何か?まだまだ考えたいテーマですが、自分のことを振り返ってフォルムとの出会いや認識を述べてみました。
2012.03.07 Wednesday
以前のNOTE(ブログ)に「色彩感覚とは何か?」という題名で書いた一文があります。学生時代より自分は色彩表現が苦手で、自分の作品が美しいと思ったことはありませんでした。絵画やグラフィックデザインを選ばなかった理由のひとつが色彩に対するコンプレックスがあったと思っています。「クレーの日記」にチュニジア旅行の様子があって、こんな一文があります。「色は、私を捉えた。自分のほうから色を探し求めるまでもない。私には、よくわかる。色は、私を永遠に捉えたのだ。私と色とは一体だ、これこそ幸福なひとときでなくて何であろうか。私は、絵描きなのだ。」北アフリカの風物に接し、そこで色彩の何たるかをクレーは取得し、その後の眩く輝く絵画の扉を開けることになるのは美術史の伝えるところです。色彩感覚は理屈ではなく、色彩の組み合わせによって感情の襞に引っかかってくる個人的な感性によるものです。個人によってその感受する強弱はあるものの美しさを感じ取る絶対的多数の原理は存在するのではないかと考えます。チュニジア旅行以後、クレーの絵画が美しい色彩にあふれ出すのは万人が認めるところであり、翻って学生時代に自分の色彩感覚の乏しさを嘆いた自分も色彩感覚の何たるかが理屈抜きでわかっていたことになるのではないかと思うのです。RECORDで色彩に改めて立ち向かっている自分は、自分がイメージする色彩を得たいがためと思っています。色彩という魔術を何とか取り込んでいきたいと自分は切に願っています。
2012.03.06 Tuesday
一日1点ずつポストカード大の平面作品を作り続けて6年が経過しています。総称をRECORDとしたのは、この作品はまさに日々の記録(RECORD)であるからです。ただ、その日によってなかなか構成や表現が決まらない時があります。じっくり考えている暇がないため1ヶ月のテーマを予め決めておいて、さらに5日間で構成が展開する方法をとっています。これによって1点ずつの作品がもつ精神性に課題が残り、また実験的な方法も敬遠してしまう嫌いがありますが、継続を主として考えればやむを得ない選択かもしれません。現在の二束の草鞋生活が終わったらRECORDも大きく変化していくと考えます。時間があればやりたいことはいっぱいあります。失敗を恐れないでRECORDを作りたい欲求があって、あるいは平面に拘らない作品が生まれるかもしれません。ただし、今のRECORDは定型の中で勝負するより方法がありません。そこで今月のテーマは「増殖」に決めました。何かが増えていく状況を作品にするのは比較的やりやすいし、変化に富む展開ができると判断しました。今月も休まず焦らず黙々と頑張っていきたいと思います。
2012.03.05 Monday
私のホームページにひとつの作品を物語風にアレンジしたフォルダがあります。ギャラリーと名づけていて過去制作した作品を見ることができます。ギャラリーは部分から全体に展開する方法をとっていたり、暗黒の画面から薄靄が立ち込めた情景が出現する方法をとっていたりします。視点を変えることにより自分でも発見できなかった作品の一部を見ることもあります。これは気心の知れたカメラマンとのコラボレーションによって作られたものなのです。カメラマンはただの撮影者ではなく、絵画を作っていくようなビジュアルな構成力をもって作品に立ち向かっています。自分はそうしたカメラマンの仕事を歓迎していて、お互いが楽しみながら能力を出し合えることの幸せを感じています。今回はギャラリーに昨年夏に発表した「構築~楼閣~」をアップしました。陶彫(土)と木彫(木)の組み合わせによる作品です。ギャラリーでは土の部分と木の部分を並立させて展開する方法をとりました。ご高覧いただけると幸いです。なお、ホームページにはNOTEの左上にあるアドレスをクリックすれば入れます。よろしくお願いいたします。
2012.03.04 Sunday
現在「発掘~混在~」の制作が佳境に入っていますが、今日から「発掘~場~」の制作に入りました。ひとつの作品を終えてから、次の作品を作ることを自分はしません。作品は時間をずらして同時に始めていくのが、昔からやっている常套手段です。複数の作品の制作工程が同時に存在するのがいいのです。一息を入れるときは、作品が終わったときではなく制作途中のときで、そうすることによって長く制作を休むことが出来なくなります。常に中途半端な作品を抱えながら生活をしていると、イメージがどこからともなくやってきます。今日から作り始めた「発掘~場~」もそんな状況の中で生まれてきました。イメージの源泉は庭園ですが、作り始めると庭園への拘りはなくなります。あくまでも彫刻を作っているので、意識としてはフォルムが全てになってきます。「発掘~場~」の陶彫部分はかなり以前に出来ていたので、今日は厚板を使って陶彫の置かれる「場」を考えました。午後は先日窯出しをした「陶紋」5点に印(作品ナンバー)を貼って梱包をしました。砂に作品を配置した風景の撮影をお願いしているので、そのラフスケッチも描かなければなりません。工房にいくつか拾ってきた流木があって、それらも演出に使えるかもしれないと思いました。ともかく昨日と今日は制作で始まり、制作で終わりました。また来週頑張ります。