Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 窯の試運転の日
    昨年夏に窯を入れて、やっと試運転の日を迎えました。試運転は窯の中の湿気を抜く目的もあります。窯を入れてくれた業者にも立ち会っていただくことになりました。初めは素焼きの温度設定でやってみることにしました。工房に窯が入って初めての焼成です。これは記念すべき一日かもしれません。明日結果がわかります。焼成中、自分は相変わらず陶彫成形に追われていました。なにしろ窯入れがあろうがなかろうが、制作ノルマがあるので必死な作業が続きます。今日から三連休です。密度の濃い制作日程が待っています。窯から微かな臭いが立ちこめる中で成形2点をやり、すでに成形の終わった数点の修整を行いました。作業しながら窯の焼成の時に出る音が静かなのに気づきました。新しい窯が進化しているのを実感しました。ちょうど窯の試運転をしていた夜、図録撮影等でお世話になっているカメラマンが打ち合わせに来ました。今年7月の個展の新しい図録に関する打ち合わせです。三連休の初日に、今後に向けて創作活動が滑り出していく気配を感じました。
    舞台美術への憧れ
    家内が美大の空間演出デザイン科に学んだ理由に舞台美術をやりたかったことがあります。自分も似たようなところがあって、自作の立体作品を舞台にのせ、照明や音響を導入した総合芸術をやってみたいと考えていた時期があるのです。それは背景としての舞台美術ではなくて、舞台美術そのものもドラマを解釈して主張する新しい劇空間のあり方を模索するものです。演じる役者と対峙するような緊張感のある舞台ができないものかと、当時の自分にはベースとなるものがないにもかかわらず、そんな絵空事を思っていました。「瀧口修造全集2」に掲載されている「ノグチと舞踊」の章を読むと、昔自分が考えていたことを、国際的な名声を持つイサム・ノグチがすでに実践をしていて、しかも総合芸術として完成されていたことがわかりました。ノグチの伝記の中にも舞台美術界での活躍は書かれていましたが、瀧口流の捉え方によって、新しい劇空間がノグチの手によって1940年代には出来ていたことを知りました。しかしながら自分は今でも劇空間の魅力に憑かれています。空間を提示できるところはギャラリーだけではないと思っているのです。
    キュビズム創始者ブラック
    ピカソとともにキュビズム創始者であるジョルジュ・ブラックについては、今まで特に大きな関心を持ったことはありませんでした。もちろんブラックの代表的な絵画はすぐに思い起こすことが出来るし、キュビズムが近代美術に与えた影響の大きさはよく理解しています。ピカソのような華やかな画業とは異なり、ブラックは地味な巨匠だと今でも認識しています。「瀧口修造全集2」にはピカソとブラックに関するキュビズム論が掲載されていて、そこでブラックの業績を改めて考え直した次第です。「キュビズムはあらゆるものを再発見した。従来のいわゆる物の観念もなくなった。空間は模倣されるかわりに想像されるものとなり、絵画はプリミチフ作家のように、同一面に形成される。それは人工的になったように見えるが、実際は深まったのである。〜略〜キュビズムの偉大な発見は触覚的な空間である。ブラックは、触覚的な空間とは射程を測定する砲兵の空間であって、手を懐中にして眺める人の空間ではない、製作工や職人のそれであるといっている。〜以下略〜」そうした空間思考からコラージュ等が生まれ、やがて現代に繋がる意識が目覚めていくように思います。
    今年の読書について
    昨年からずっと読んでいる「瀧口修造全集」の読破が、さしずめ今年の読書目標です。昔どこかで読んだ評論が全集に掲載されていると、若かった頃を思い出して懐かしく感じます。でも当時はわかっていたような、わかっていなかったような気分でいました。今冬は瀧口修造に暮れ、瀧口修造に明けました。まだ全集は2巻目です。やや厚い全集の一冊を携えて、あちらこちらに出かけては読める時に読んでいます。自分は本が大好きで、いつも本を読んでいる途中で別の用事をしていて、その本を放置している傾向が昔からあります。集中して一気に読むことは最近なくなりました。とつおいつ読む習慣に変わってきています。本を鞄に入れておくと安心する妙な癖が自分にはあります。昔から書店にふらりと入って、しばらく時間を潰すのが得意です。そこで今年の読書はどんなものになるのか、計画は立てられませんが、しばらくは瀧口修造の呪縛を受けて、その後は途中まで読んだ本の続きを読もうかと思っています。買いだめした本もいっぱいあります。今年も出来るだけ時間を作って本を読みたいと考えています。
    1月RECORDは「絡みつく」
    蔓状のカタチがうねうねと伸びてきて、何かに巻きついたり、絡んだりするイメージがあります。今までのRECORDにも時折出てくるカタチです。今月はそうした渦巻くカタチを追求したいと思っています。渦巻くカタチは日本古来の文様にあります。絡みついた場面は、何か生命的なものを表しているように思います。崩れかけた遺跡に巨木の根が絡みついて、異様な雰囲気が漂っている遺産があります。そんな画像が脳裏にあって、今月のテーマにしました。技法はきわめてシンプルな方法を使います。それこそペン1本でやっています。今回のシーズンは、ほとんど描写によるものと考えています。平塗りによる色彩も使います。前シーズンで多用した平面的な色彩は生かしていきたいと思っています。冷たい平面処理と蠢く情念的な描写。そんな効果を狙っていければ、今回のRECORDのシーズンは、ある程度の達成感を持てるのではないかと思うのです。