2006.11.30 Thursday
たとえば奈良の金剛力士像は巨大な木彫ですが、彩色されていたようで所々色が残っています。完成当時は華麗な色彩が施されていたことでしょう。自分の作品では木彫の部分は色をつけません。自然な木目が美しいので、そのまま残すつもりです。ただし横たえる厚板には砂を硬化剤で貼り付け、油絵の具を染込ませる予定です。さて、今回はどんな色にしようか思案しています。初めの企画には色彩計画があるのですが、実際のサイズにしてみると、これでいいのか迷うところです。今までは黒っぽい色彩にしました。陶彫が錆びた鉄のような色をしていたので、それに合わせた色を作りました。木肌に合わせた色は今までと同じというわけにはいきません。木肌を目立たせて共存できる色彩。画家と異なる色彩選びがこれから始まります。
2006.11.29 Wednesday
重森三玲の庭園に劣らず、自分が最も好きな庭園空間は東京の草月会館にあります。玄関前にすっきりと立つ黒味影石、それに続く入り口吹き抜けのロビーには大小の自然石を配置した室内庭園が広がっています。「天国」と題されたイサム・ノグチの作品です。石の床で四段階に分けられ、それぞれを階段でつなぎ、最上階から下まで人工の川を作り、水が流れています。最上階にはつくばいが置いてありました。仕切られた空間に現れた雄大な世界に毎回見るたびに刺激を受けています。自然のままの石と加工された石を巧みに組み入れた秀作だと思います。
2006.11.28 Tuesday
先月、「重森三玲の庭」展を見てきましたが、自然石を立てたり横にしたりして構成する庭園のデザインが、時々ふっと湧いて脳裏をよぎると楽しい気持ちになります。自然にある石、自然にある樹木、自然にある水を取り込んで空間を作るのが庭園です。自分のように木を彫ったりせず、自然の状態で見せる空間の感覚を持ちたいと常々思っています。隅から隅まで作ってしまう自分の表現がいつかパターン化して退屈になるのを予感しています。中島修さんの石彫でも石を割ったままの状態と磨きこんだ幾何形体を対比して見せた作品がありました。作庭家が自然を自身の大きな作為の中に取り込んで、ありのままのカタチをまとめ上げていく力は素晴らしいと感じます。重森三玲の個展図録を眺めながら、自分の作品を振り返ってみたひと時でした。
2006.11.27 Monday
先日「ギャラリーせいほう」に行って、来年4月2日(月)からの個展の確認を画廊主としてきました。2月初めの横浜市民ギャラリーに出す作品は現在進行中の「構築〜包囲〜」。4月に出す作品はここ数年で作った作品を選んで、改めて構成し直して発表しようと考えています。作品がもつコンセプトをはっきりと打ち出せる大作2点、小品10点くらいが妥当かなと思います。画廊もリニューアルして綺麗になりました。作品の選定は図録作成のために行う写真撮影にも影響します。現在作っている木彫作品と併行して選定を進めなければなりません。師走を前にして慌しい日々です。
2006.11.26 Sunday
自作の「構築〜包囲〜」に組み合わせる柱30本の荒彫りが出来ました。さて、どこまでこの彫り跡を残すか、サクッとした感じが木彫の心地よさと思うので、ここが考えどころです。先日中島さんの個展に行って完璧に磨き上げられた石彫作品が脳裏に焼きついてしまっているので、自分は中島さんとは違う表現スタイルなんだと自分に言い聞かせながら作業をしています。どだい石と木は素材の持つ雰囲気が異なるので、木のもつ柔らかさやフワリとした感じが出るようにしようと思っています。自分の作品の多くは砂マチエールに油絵の具を染込ませていく要素を加えるので絵画性が出てきます。これが陶や木と出会って世界を創っていくので、これからは完成予想を立てながら、初めのイメージを思い描いて作業をしていくつもりです。