Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • カフェ文化とファミレス文化
    ウィーンのカフェのことをあれこれ思い出しながらブログを書いていたら、ふと今の自分はどうなんだろうと考えてしまいました。今は語る時間があれば、ひたすら制作をしています。作品のイメージをどう具現化するか、どう展開するかで頭はいっぱいです。たまに人と語るとすれば、日本ではファミリーレストランなのです。この違いこそ文化の違いなのかなと思います。頭でっかちになるカフェ。効率よく仕事を進められるファミレス。哲学や純文学が育まれそうなカフェ。雑誌やポップスを軽く受け流すファミレス。そうした環境の違いはどこに影響として表れるのか、ちょっとこれはファミレスではなくカフェで語って見たい文化論です。
    カフェで文化を語る
    大学で彫刻を学んでいた頃は、お洒落で手軽な「スタバ」や「ドトール」はなく、いわゆる喫茶店があって、友達と長い時間をそこで過ごしました。芸術論議は大好きで、制作もままならないうちに精神性ばかり語っている歪んだ学生でした。ウィーンに住んでもカフェが大好きで、芸術を語るほどドイツ語力はなかったので、街行く人を眺めたり、在外日本人で彫刻をやっている人と話したりしていました。同じクラスのウィーン女性と話した時は知っている限りのドイツ語を駆使しました。ウィーンのカフェは雰囲気に歴史と文化の香りがして、今思うと何と贅沢な時間だったろうと思います。それにしてもウィーン人はおしゃべりでカフェが大好きな人々で、いったい何時になったら仕事に取りかかるのだろうと思うことも再三ありました。
    カタコンベの居酒屋
    ウィーンの旧市街には、シュテファンス寺院の地下にあるような墓地があちこちにあり、埋葬された骨を片付けて、居酒屋を営んでいるところがありました。洞窟のような居酒屋は、もともとそこに何があったかを知らなければ、とても雰囲気のよい店でした。日本人観光客を案内して自分も何度か訪れ、赤ワインを味わったりしました。居酒屋でおつまみにする煮込んだ肉や酢漬けのキャベツ(ザワークラウト)は好物でした。
    カタコンベ(地下墓地)
    ウィーンの街の中心にシュテファンス寺院があります。目抜き通りであるケルントナーとグラーベンが交差する広場にあるゴシック様式の立派な寺院で、まさにウィーンのシンボルです。そのシュテファンス寺院の地下に墓地があって、一般公開していました。中世にペストが流行し、病死した人々を地下に葬ったらしく、多くのしゃれこうべが放置してありました。自分はとくに興味を持ったわけではないのですが、日本から来た人を案内して度々そのカタコンベに行きました。何回か見ているうち不気味さが消え、その空間が胎内であるような、また生まれ変わっていけるような錯覚を覚えていました。その時から地下に魅力を感じ、それが自分の造形に地下的な要素を考えさせた契機になっているのかもしれません。
    カフェ・ハベルカ
    どこの街にも芸術家や作家が集まったカフェがあります。ウィーンにはカフェ・ハベルカがありました。旧市街のグラーベン通りにあるペスト記念碑の近くの路地にあったように思います。ハウズナーやフックスといったウィーン幻想派の画家がよく集まっていたカフェで、いかにも文化的な雰囲気がありました。古い建物でしたが、個展のポストカードやらポスターが所狭しと貼られていました。自分もそこで「メランジュ」と言われるウインナーコーヒーを注文して悦に入っていました。ウィーンのカフェはどこも綴じ込みの新聞が置かれていました。あのくつろいだ空気は今も忘れられません。