2006.09.06 Wednesday
亡父の墓石を立てた時に、若い日々に旅したルーマニアの村々にある墓地に想いを馳せました。ルーマニアの木造りの墓地は死者のエピソードを取り上げて、具象的な絵画作品、いや浮き彫りされた厚板に彩色された作品というべき墓標があり、その楽しさは思わず微笑んでしまいたくなるほどでした。ちょうどその頃旅した旧ユーゴスラビアの村で、農民が農閑期にガラスに描いたフォークアートと出会い、その素朴な雰囲気がルーマニアの墓標に似ていたのを思い出します。専門的な美術を勉強したわけではない人々が作る素朴な造形世界はどうして肩肘張らずに面白いのか、構成や色彩の取り合わせにはハッとするものも多く、琴線に触れることもありました。こんな墓地に葬られることは、あるいはとても贅沢なことなのかもしれません。
2006.09.05 Tuesday
ブランクーシのことを考えていると、今制作中の木彫が「無限柱」に似てくるので少々困っています。確かに「無限柱」は美しい造形で、簡素化させた形態の極みだと思います。ルーマニアの門や家の装飾がブランクーシの発想の源と以前ブログに書きましたが、それで思い出すのがルーマニアのマラムレシュ県にあった小さな村々に点在する木造りの教会です。周囲の牧歌的な風景と溶け合い、絵本の世界のようでした。復活祭やクリスマスになると民族衣装を纏った村人であふれ、タイムスリップしたような錯覚に陥ったものです。自分の作品もトルコやギリシャに見られる荒涼とした遺跡を陶彫で表している頃から、今はルーマニアの木造りの教会をイメージするような木彫に変わってきています。それでも陶や木といった日本古来の素材にこだわるのは、現在の自分の環境に一番しっくりくる何かがあるのかもしれません。
2006.09.04 Monday
昨日は黒部峡谷へ行ってきました。昔、両親に連れられて見た映画「黒部の太陽」ではダムやトンネル建設の壮絶さが印象に残り、機会があれば行ってみたいと思っていました。9月になってもまだ夏山の彩りがあって、トロッコ電車から見る黒部川の流れる水が爽やかな青緑色をしていました。黒四ダムはさらに先にあると知り、そそり立つ山々に建設された施設は殉難者を出すほど厳しいものだったということが認識できました。それにしても便利になった交通手段があり、そこから眺める景色の美しさは他に類を見ないほどでした。
2006.09.03 Sunday
おわら風の盆は胡弓・三味線・唄を伴奏に、若者が独特な衣装に身を包み、優美に舞うもので大変風情がありました。ところが年々増える観光客(自分もその一人ですが)で、昨日は10万人とも報道されていましたが、風情を味わう余裕がありませんでした。おまけに自分がいた西町会館前の福鶴酒造の2階には女優さんが2人(野際陽子、賀来千賀子かな?)いたため、下の歩道は混乱を極め、朝のラッシュのようでした。音楽が流れ、踊りが始まると気持ちは吸い寄せられるのですが、町の許容量を超える人の群れで、到底近くに行けず、ただ小さな町を右往左往しておりました。
2006.09.02 Saturday
昔から伝わる郷土芸能をずっと継承していくことは並々ならぬ努力が必要だろうと思います。横浜市内でも神楽や獅子舞を大切に保存している地域がありますが、我が町内では神社はあるものの古来伝承の芸能は久しく行われていない現状で、資料すら残っているのかどうかわかりません。富山県八尾のおわら風の盆は様々な歴史の変遷を経て、今に伝わる貴重な芸能遺産のひとつでしょう。マスコミに取り上げられて知った情報ですが、その情緒豊かな風情はたちまち自分を魅了し、実際に見てみたいと願っていました。勤めをしていると、なかなかこの時期に富山県まで足を運ぶのはきついものがありますが、この週末を利用して行くことに決めました。今晩がとても楽しみです。雨が降らないことを祈りつつ出かけてきます。