2006.09.21 Thursday
クリムトやシーレに比べるとココシュカはしばらくの間理解できませんでした。油彩の厚塗りされた画面が最初はピンときませんでした。ココシュカにすごい才能を感じたのは「夢見る少年たち」のシリーズです。何気なく描かれた線、平塗りされた色彩の妙に追従を許さない世界観があったからです。本格的な油彩ではない作品ですが、つい魅せられてしまいます。当時「ウィーン工房」に参加していたココシュカは前述のような装飾的な仕事をやっていますが、やはり表現主義的な油絵で自己表現を確立した人だと思います。まとまった作品を見る機会は日本にいるとほとんどありません。厚塗りのタッチは図録ではなかなか伝わりにくいのです。ココシュカをしばらくの間理解できなかったのはこんなところに理由があります。
2006.09.20 Wednesday
クリムトの弟子とも言えるエゴン・シーレは若干28歳で病死しています。シーレの絵を見たのは渡欧前でしたが、衝撃を受けたのを覚えています。デッサンの線はシーレとわかる独特なもので、人物のポーズにしろ画面構成にしろ斬新な感覚を持ちました。ウィーンの美術館でクリムトの隣の部屋にシーレの作品がたくさんあって、つい師弟を比較して見てしまいます。クリムトはブルジョアの人々を描き、シーレは貧困をテーマにしたと感じてしまうのは自分だけでしょうか。クリムトは完成されたタブローが多く、夭折のシーレは未完のデッサンが多く残されています。シーレは息せき切って走る短距離選手のように生涯を走りぬけ、時間をかけて完成させることより、描く行為そのものを作品化したと思います。
2006.09.19 Tuesday
世紀末ウィーンの美術界で活躍した画家です。作品はベルベデーレ宮殿内のギャラリーにありました。ウィーンではあまりにも有名な画家で、作品を絵葉書やポスターにして街のあちこちの土産物店で売っていました。刺繍によるネクタイにもなっていて、自分も2本持っています。なんといっても絵柄が美しくどんなデザインにもなりうるのです。具象的な人物の周囲を抽象的な模様を施してあるのは、現代にもウケル要素だと思います。瀟洒な感じがいいのです。ただし、美術的に考えれば完全に革新をもたらせた画家ではないと思います。周囲の模様はエキゾチックな装飾であって、抽象まで到達しているとは言えないでしょう。バウハウスで活動したクレーや渡米したモンドリアンに見られる抽象化とは少しニュアンスが違うと思います。でも具象的な人物と抽象的な模様の狭間を行き来して、幻想空間を作り上げたところはさすがと言えます。
2006.09.18 Monday
最新型テーマパークのアトラクションは結構好きで、そろそろ人気が落ち着いたかなと思う頃に出かけています。でも衝撃のアトラクションとは違う意味で忘れられないのが、浅草花やしきのローラーコースターです。民家すれすれを走り抜ける面白さ、古色蒼然とした風格が楽しいのです。ウィーンにも「第三の男」に出てきたプラター遊園地の観覧車があります。ウィーンに行く前に「第三の男」を見て、オーソン・ウエルズが乗っていたあの観覧車に自分も乗って見たくて、ウィーンに到着してすぐプラターに行きました。古色蒼然とした風格はこちらも負けてはいませんでした。高さを楽しむというより古い鉄の造形物に囲まれている楽しさ、ウィーンの街の情緒を味わうには何と適したアトラクションでしょうか。秋のプラター遊園地では紅葉した樹木が大変美しいのです。
2006.09.17 Sunday
自分が通っていたウィーン国立美術アカデミーの裏に不思議な建物がありました。建物の頭に金属の葉で出来た球体をのせた建物で、よくアカデミーの窓から眺めていました。その建物は「セセッション」という建物でした。自分がアカデミーにいた頃は「セセッション」館は閉鎖されていましたが、まもなく修復されて、内部ではクリムトの「ベートベン・フリーズ」という壁画を見ることができました。この「セセッション(分離派)」に興味を持って書籍も手に入れましたが、ドイツ語の原書を読む気が起こらず、書棚に眠っています。分離派とは、旧態依然とした19世紀美術界からの分離を意味し、モダニズムを提唱した運動だったようですが、完全な抽象までは到達しないまま短期間に終わったようです。でも画家や彫刻や工芸家が一同に集った展示内容は革新的なものだったのではないかと想像されます。