2018.09.18 Tuesday
先日、横浜のミニシアターにアメリカ人監督によるストップモーション・アニメ「犬ヶ島」を観に行きました。日本の風俗をテーマにしている点では、以前観た「クボ」に共通するものがありました。20年後の日本が舞台になっていましたが、どこかレトロな雰囲気が漂っていたのは監督の嗜好かもしれません。物語の発端は、メガ埼市の小林市長がドッグ病の感染を怖れて、野良犬も飼い犬も全てゴミ島とされる「犬ヶ島」に追放するところから始まります。市長の養子である主人公アタリは自分を護衛してくれていた犬スポッツを探しに「犬ヶ島」に単身乗り込み、そこで知り合った個性的な5匹の犬たちとスポッツを探していくストーリーになっていて、人間の中にも親犬派と嫌犬派が対立していたり、陰謀があったり、情の深まりがあって、どこか人間臭さを感じさせる雰囲気に満ちていました。私が美術をやっているせいか、画面全体に広がるヴィビュアルな美しさに気を取られました。殺伐としたゴミ溜めのようなグレーな背景も、廃物利用したような飛行機や船にも一貫したデザイン性があり、手作りの面白さが溢れていました。日本の風俗描写は些か安易かなぁと思っていましたが、細かな箇所に創作意欲を感じさせる映像に、異文化描写は大目に見ようかとも思いました。ともかく手間暇のかかった作り物の面白さには満足しました。モダンとレトロの融合にも楽しさを覚えました。鉄が錆びたような風景の質感は、自分の陶彫作品にも通じるものがありました。
2018.09.17 Monday
三連休最終日になりました。今日は残暑が戻ってきて、工房内は蒸し暑くなりました。昨日作っておいたタタラを使って、2つ目の塔を形成する陶彫部品の2個目に取り掛かりました。陶彫部品のトータルは8個目になります。今日は成形と彫り込み加飾を行いました。制作工程ではこの作業が一番面白いのです。立体としてカタチが立ち上がり、そこに彫り込みをしていく作業は創作意欲を掻き立てます。作品が実際にカタチを成していくのは気持ちを満足させてくれます。ただし、私の作品は集合彫刻なので、ひとつの陶彫部品に全てを盛り込むわけにはいかず、その部品が連続して組み込まれていくイメージを捉えながら、彫り込みをしていくのです。以前作った部品を横に置いて、その続きを作っていく按配です。陶彫部品はひとつでは完結せず、次へ繋げていくように加飾を施します。夕方になって8個目の陶彫部品が終わりました。これもまた前の作品のように乾燥を待つことになるのです。乾燥は急激に乾かないように軽くビニールをかけておきます。その後、いよいよ第1号の陶彫部品の窯入れを行いました。昨日仕上げや化粧掛けを行っていたので、慎重に窯に収めてスイッチを入れました。私の作品は素焼きをせず、いきなり本焼きに入ります。夕方から明日の午前中まで時間をかけてゆっくり温度を上げていきます。冷ましには2日間かかります。窯出しは木曜日になる予定です。毎回窯に入れる度に、私は無事に作品が返ってきてくれることを炎神に祈るのです。陶彫は最後の工程で人の手の及ばない世界を通過するのです。それが陶彫の醍醐味ですが、灼熱の世界を旅してきた作品は、鎧を纏ったような風貌になり、ひとまわり引き締まった体躯に頼もしささえ感じてしまいます。まるで土が生きているかのようなアニミズムを私は好意を持って感じ取っているのです。これで当分は夜の工房には行けません。ちょうどRECORDの山積み解消をやっている最中なので、ちょうどいいかもしれません。
2018.09.16 Sunday
今日は三連休の中日です。昨日は美術館や映画館に鑑賞に出かけたので、今日は朝から制作三昧でした。40キロの陶土を土錬機に入れて、最後は手で菊練りをしました。その混合した陶土を掌で叩いて、座布団大のタタラを6枚作りました。タタラは全てビニールをかけて明日まで待つのです。やや硬くなったタタラは成形し易くなります。このところ週末の2日間は、初日は土練りとタタラ、2日目は成形と彫り込み加飾というサイクルで制作を進めていくことにしています。今日は曇り空で、陽気も涼しくなって凌ぎ易い一日でした。今までに成形や彫り込み加飾が終わっている陶彫部品が7個あります。最初に作った陶彫部品は完全に乾燥しているので、そろそろ焼成をしていこうかと考えました。陶彫部品は全て土台を形成するものばかりで、どれも大きいため窯にはひとつずつしか入りません。私は窯入れをするため、まず乾燥した土肌にヤスリをかけて指跡を消すことから始めます。その後に化粧掛けを施します。この手間が私の作品の特徴になり、混合した陶土の焼き締めと相俟って、金属の鋳物で作ったような雰囲気を纏うのです。もう20年以上も同じ陶土を使い、同じ技法で制作してきた私は、さまざまな産地の土を使うことや釉薬などに興味がないのです。このシリーズの展開はいつまで続くのか、自分でも見当がつきません。現状のイメージが涸れるまでやっていこうと思っています。制作サイクルの中に焼成が入ってくるとなれば、その時間を確保しなければならず、また工房の電気事情で窯にスイッチを入れると照明等が使えなくなることも考慮しなければなりません。幸い二足の草鞋生活の私はウィークディに工房に来ることはなく、週末の最後に窯のスイッチを入れて工房を出ることになります。また窯入れの生活が始まります。焼成は3日間かかります。1週間で2回の窯入れが可能ですが、今週と来週は三連休が続くため、時間的に見て1週間に1回の窯入れが無難でしょう。明日、成形と彫り込み加飾の後、窯のスイッチを入れます。
2018.09.15 Saturday
三連休初日です。夏季休暇が終わり、仕事が始まったこの時期の三連休は、ちょっとした骨休みになって嬉しい限りです。私は公務員管理職と彫刻家の二足の草鞋生活なので、一日中ゆっくり休むことは出来ませんが、それでもこの三連休は大好きなアートに接することが出来るので気分が上がります。初日の今日は工房での制作を休んで、家内と一緒に美術館や映画館に足を運びました。生憎の雨天でしたが、東京上野駅に降り立つと大勢の人が出ていました。東京都美術館で開催中の「藤田嗣治展」も混んでいましたが、それでも充分に鑑賞することが出来ました。今まで藤田ワールドに幾度となく接してきましたが、年代を追ってその代表作とも呼ぶべき作品が網羅されているという規模では、今回の没後50年を記念して開催されている「藤田嗣治展」は圧巻でした。初めて見る中南米の風俗をテーマにした作品があり、乳白色の裸婦や自画像を描いた画家とは思えない強烈な色彩に戸惑いました。詳しい感想は後日に回します。次に向ったのは六本木の国立新美術館で、ここで開催されている「二科展」の招待状をもらっていたので見てきたのでした。毎年、後輩の彫刻家が出品していて楽しみにしているのです。彼は合板を重ねて塊を作り、その積層を効果的に使う木彫家です。今回は会友推挙の褒美がついた力作を展示していました。シャープな彫りと形態が見事でしたが、これ以上継続していくと彫刻とは違う世界に入ってしまいそうで、やや危機感を感じました。技巧に軸足が置かれている状況を何とか変えて、彫刻としての精神性を追求して欲しいと思いました。彼には充分な実力があり、展開力もあるので、それも可能だろうし、何より私が最も期待する作家でもあるのです。私も彼の作品によって刺激を与えられていることは確かです。国立新美術館の地下にはギャラリーショップがあり、その中に小さな展示スペースがあります。いつもなら見過ごしてしまうスペースですが、「工芸、語りかけるけんちく展」と題した若手作家4人によるグループ展をやっていました。陶や木材を使った小さな箱状のオブジェがあって、思わず足を止めてしまいました。建築物の雛型のようでいて、そのサイズだからこそ発信できる面白さがありました。「二科展」の大きな作品ばかりを見てきたので新鮮な感動を覚えました。ここで一旦横浜の自宅に帰り、夜は車で横浜の街中にあるミニシアターに出かけました。映画「犬ヶ島」はアメリカ人監督が作ったストップモーション・アニメで、日本をテーマにしていました。ペットとして飼われていた犬を街から排除するという物語でしたが、日本の風俗が大好きな監督らしく、いろいろな場面に日本を意識した映像が盛り込まれていました。ストップモーション・アニメは手間のかかる技法で、そうした作りものに私は惹かれます。一緒に行った家内は映画全般に慌しさを感じたと言っていましたが、執拗に作った痕跡が感じられて私は満足しました。詳しい感想は後日に回します。三連休初日は朝から晩まで充実した時間を過ごしました。明日は制作一辺倒です。
2018.09.14 Friday
一日1点ずつ制作しているRECORDは、そのタイトル通り日々記録をしていく作品です。大きさはポストカードと同じで、現在は平面作品に限っています。2007年の2月から制作を始めているので、かれこれ10年が経っています。最初の年は横浜市中区にあった市民ギャラリーでオリジナル作品を12か月分額装して展示したことがありました。それ以来オリジナル作品の展示はしていません。その代用としてデジタル作品をホームページにアップしています。ホームページを開ければいつでも見られる状態にしてあり、過去の作品を俯瞰できる便利さがあります。デジタル作品にするためにはオリジナル作品を撮影しなければならず、これは懇意にしているカメラマンにお願いしています。毎年秋になるとRECORDの撮影日がやってきます。前年の10月分からその年の9月分までの1年間の作品を撮影し、ホームページに順次アップしていくのです。アップの際にはコトバを付け加えます。これはRECORDの説明ではありません。RECORDと同じテーマで、まったくイメージの異なるコトバを絞り出しています。カタチや色彩は比較的簡単に思いつくのに、私は昔からコトバに苦しんできました。それでも毎回コトバを掲載してきました。今回2017年の7月分、8月分、9月分のRECORDをホームページにアップしました。昨年秋に撮影したRECORDはここまでです。10月以降はこれから撮影してもらいます。私のホームページに入るのは左上にある本サイトをクリックしてください。ホームページの扉にRECORDの表示が出てきますので、そこをクリックすれば今回アップした画像を見ることが出来ます。ご高覧くだされば幸いです。