2018.01.01 Monday
2018年になりました。新春のお慶びを申し上げます。今年もよろしくお願いいたします。昨年も書きましたが、早朝、刻んだ餅と油揚げを半紙の上にひとつまみ置き、小さな稲荷の祠に供物として捧げることから、我が家の元旦が始まります。祠は自宅と母の実家の間にある雑木林の中に鎮座しています。何代か前の私の先祖が、廃棄してあった稲荷を拾ってきて祠を作ったことで、相原の家は栄えたのだと祖母が言っていました。当時、我が家は半農半商だったようで、商いとして祖父は大工の棟梁をやっていました。父は大工ではなく造園業に転じ、確かに羽振りがよい時期がありました。私はそんな環境で育ったにも関わらず、何故か安定した公務員になりました。ただし、不安定な芸術家にもなっていて、この先どうなるのか自分でもわからない状況です。元旦くらい先祖に従い、氏神となった小さな祠を大切にしていこうと思っています。昨年は工房の窯で陶彫焼成中だったために作業をしていませんが、今年は元旦から陶彫成形をやっていました。今日は午前中で作業は終わりにして、午後は毎年恒例になっている東京赤坂の豊川稲荷に出かけました。母の息災延命と家内と私の芸道精進を祈願して護摩を焚いてもらいました。小さなお札も購入して祠に入れておく予定です。ここまでが毎年やっている定番の行動ですが、今年は豊川稲荷のある赤坂見附から浅草に行きました。工房に出入りしている若いスタッフが浅草の染工房で働いていて、仲見世近くの店にいると聞いたので、様子を見に行ったのでした。彼女は外国人観光客のためのワークショップをやっていました。布のコースターに絵柄を染める作業を外国人の親子がやっていました。英語を操りながらサポートしている彼女は楽しそうに見えました。明日彼女は相原工房に来て、大きな自作に挑むようです。年末年始を休まないのは私も同様ですが、不安定な芸術家は心を安定させておく必要があります。明日の工房はいつも通りの制作三昧の一日になりそうです。
2017.12.31 Sunday
2017年の大晦日を迎えました。毎年恒例になっている総括を行います。まず彫刻では7月に12回目の個展をギャラリーせいほうで開催させていただきました。大きな作品では「発掘~宙景~」と「発掘~座景~」を出品しました。個展も12回目になると慣れていると思われがちですが、毎回越えなければならない壁があり、綱渡りの状況があり、否応なく創作活動の難しさを感じています。その分毎回個展に足を運んでくださっている方々に心強い言葉をいただいて、感謝に耐えません。来年に向けて新作が既に佳境に入っていて今日も頑張っていました。創作の新たな展開は劇的にやってくるものではなく、薄い紙を一枚ずつ積み重ねていくようなものだなぁと思っています。陶彫とのつき合いも長くなりましたが、今も発見があって刺激をもらえます。あと20年も制作できたら少しはマシな作品が出来るのではないかと思うこの頃です。今年厳しかったのは一日1点づつ平面作品を作っていくRECORDでした。日によっては時間が取れない時があれば、意欲が低下している時もありました。下書きばかりが先行して、その日のうちに完成出来なかった作品も数多くありました。これは何年経っても厳しい課題ですが、怠け癖のある自分のためにも継続していきます。鑑賞は充実した1年間だったのではないかと振り返っています。運慶の木彫やジャコメッティの塑造が印象に残っていますが、絵画ではミュシャの「スラヴ叙事詩」やヴォルスが忘れられません。さらに美術館2つを加えれば、「イサムノグチ庭園美術館」と「故宮博物院」が存在感を放っていました。映画ではまずヒットしたアニメから観はじめましたが、シーレやセザンヌ、ロダンといった芸術家の生涯を扱った映画が印象に残っています。来年は芸術家を扱った映画が目白押しで今から楽しみにしています。読書は停滞気味でした。最近は難解な哲学や心理学の専門書から遠ざかっているので、来年は気合を入れ直そうと思っています。今のところ現象学に興味があるので、一冊はモノにしようと考えています。最後に私の拙いNOTE(ブログ)を我慢強く読んでくださった方々に感謝申し上げます。それでは皆さまにとって来年が良い年でありますようお祈りいたします。来年もよろしくお願いいたします。
2017.12.30 Saturday
休庁期間の2日目です。昨日から工房での生活が一日の大半を占めています。身分保障されている職場よりも、ある意味では厳しい緊張を強いられる空間です。若いスタッフが来ていますが、自己イメージの具現化に向けて基本的には孤軍奮闘でやっています。朝9時過ぎから夕方4時までが頑張る時間と決めています。昼前の空腹時に不思議と作品が進みます。スタッフとストーブの前で食事を取った後は、多少気分が緩くなりますが、それでもすぐに頑張りが戻ってきます。作業が終了する4時前が一番の頑張り時かなぁと思っています。作業が続くと手の罅割れが酷くなってきています。薬を塗りつつやっていますが、この時期は笠間あたりで陶芸をやっている友人たちは大変だろうなぁと思っています。制作に向う姿勢の維持は、この数日間は絶対に必要です。自宅に帰ると腰や肩や腕が痛くなっていたり、脚が筋肉痛になっていたりしますが、それでも今のところ意志が勝っているので、今年も目標が達成できるのではないかと思っています。困難な状況に陥った時に、創作を諦めたことは一度もなかったのかと若いスタッフに聞かれました。彼女は今年の春に大学院を出て、今が困難な状況にあるらしく、このところ工房でも必死に制作している様子が伺えるのです。私自身はそんな状況でも諦めずにやってきました。私にとって二足の草鞋生活は口で言うほど簡単なものではありません。ましてや今は重責な立場にいて、この立場と彫刻家を貫いているのは自分くらいかなぁと思っています。もちろん私自身が授かった人生の運もありますが、誰もやろうとしないのは、この道は決して楽ではないからです。年の瀬が迫り、今年を振り返っても二つの世界双方とも楽しいことばかりではありませんでした。でも、頑張った分、与えられたものも大きかったと思っています。今年も残すところ後一日、姿勢を維持していきたいと考えています。
2017.12.29 Friday
毎年、休庁期間をどう過ごすのか、創作活動に没頭する中で制作目標を立てています。目標としては大きな陶彫の新作の床に這う根の部分の完成と、やや小さめの3点のテーブル彫刻のテーブル部分を作ることです。3点のテーブル彫刻には、それぞれ陶彫部品を設置しますが、まずは木材でテーブルを作るところから始めようと思います。今年の3日間は陶彫のみ制作する予定です。来年からテーブルの天板の切断にかかります。今年3日間では根の部分の陶彫部品を全て作り切ることは難しいと考えます。陶彫部品は来年に持ち越しになりますが、休庁期間が終わった後に成人の日を含む三連休が続くので、ここまでに根の部分を終わらせる予定です。窯入れは三連休の後になります。窯入れをしてしまうと電気の関係で翌日の作業が出来なくなるのです。窯入れは1月9日から始めます。今日は窯の上にお供えを置きました。例年、正月になると1年間無事に焼成が出来ることを天に祈ります。一般家庭では考えられない高温で何時間も窯を焚くので、常に危機意識を持っていたいのです。今日は朝から夕方まで工房に篭って制作に明け暮れました。制作工程の中で、陶彫の成形が一番面白いと感じていて、今日はあっという間に一日が過ぎていきました。毎日制作すると、仕事がどんどん進み、常に土を練ったり、タタラを作ったり、成形や彫り込み加飾をやっています。立ち止まって考えることなく制作サイクルが回り始めます。自分の肉体疲労を顧みないので、工房を出る夕方になって、一気に疲労に襲われる結果になりますが、それでも心は充足していて快いのです。翌朝は筋肉痛に悩みますが、工房に行ってしまうと痛みがなくなり、パワーが全身に漲ります。昨年は休庁期間前後を含めて9日間継続しました。新年の職場復帰の頃は放心状態になっていました。今年は暦の関係で昨年のような長い制作時間は取れませんが、出来る限り頑張りたいと思っています。
2017.12.28 Thursday
近代彫刻の祖であるオーギュスト・ロダンは、彫刻を学ぶ者にとって避けて通れない存在です。私も例外ではなく、ロダンの鋳造された代表作を日本の美術館が数多く所蔵していることを学生時代から喜んでいました。ロダンの生き生きとした肉体の量感を見る度に、20代の頃の私は立体把握の不甲斐なさを嘆いていましたが、最近になってロダンという人物に迫る映画が、没後100年を記念して作られたことに喜びが隠せませんでした。早速、横浜の中心街にあるミニシアターに「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」を家内を誘って観に行きました。40歳近くになって認められた彫刻家ロダンは、その先も物議を醸す作品を世に送り出し、それでも彼は微塵の妥協もなく、革新的な彫刻家として道を突き進んだのでした。ロダンを考えるうえで、弟子で愛人でもあったカミーユ・クローデルは欠かせない存在です。以前に彼女を主人公にした映画を観ましたが、本作でもロダンとの葛藤が余すところなく描かれていました。ただし、本作はあくまでもロダンを中心に扱っているため、内妻ローズのことも丁寧に描いていて、女性関係に揺れ動くロダンの心情が伝わりました。ロダンの塑造は官能性を秘めており、創作活動を展開する上で、造形行為と女性を愛することの繋がりは重要な骨子として表現されていました。「地獄の門」や「バルザック像」の制作過程を映像化した場面に、私は個人的な興奮を覚えました。広い大理石保管所を国からアトリエとして提供された場所も、撮影用の空間とは知っていながら、石膏の粉塵や匂いが立ち込める制作場所を想像しつつ、彫刻のモデリングを行う場所は自分にとって身近な場所だけに心が湧きたちました。その日は朝から相原工房で陶土と格闘し、手の罅割れも顧みず、夜の映画に行ったので、自分にとって朝から晩まで彫刻一辺倒になった素晴らしい一日だったことを記しておきます。