2017.11.27 Monday
私のホームページにRECORDを掲載しています。ポストカード大の平面作品を一日1点ずつ作り上げていくRECORD(記録)は、文字通り日記の造形版で、毎晩苦しみながらイメージを絞り出し、下書きを行い、彩色や仕上げを施して完成になります。オリジナル作品はケースに入れて工房の棚に仕舞い込んでいます。RECORDを始めて既に10年が経っていて、今までのオリジナル作品をどこかで展示するとなれば、大変な準備が必要かなぁと思っています。過去には板材を使って半立体にした作品や、手漉き和紙や布をコラージュした作品がありますが、実験するには時間が足りず、最近は技法が定番化している傾向は否めません。来年の干支をテーマに賀状にまとめる作品を作っている時期があって、今月は犬を描いていました。そんなRECORDですが、今年の1月分から3月分までの3か月をホームページにアップしました。今年はひらがな3文字を月毎のテーマにしていて、1月は「かすむ」、2月は「うめる」、3月は「こわす」というテーマで日々取り組んでいました。RECORDのページを見るには左上にある本サイトをクリックしてください。ホームページの扉が表示されますので、RECORDをクリックしていただければ、そのページに入れます。ご高覧いただければ幸いです。
2017.11.26 Sunday
家内の叔父である声楽家下野昇は82歳になります。まだ家内と知り合う前に、80歳になる日本人声楽家の歌声をどこかで聴いたことがありました。声量に乏しく年齢を重ねるとこうなるのかと思ったことがありましたが、今ここにいる叔父はまるで違う人種で、堂々とした体躯を持ち、顔の色艶も良く、ホール全体に響きわたる絶大な声量を放つ、日本人離れしたテノール歌手と言っても過言ではありません。家内も私も父を82歳で亡くしていますが、同い年になった叔父の輝くばかりの歌声はどこからくるものでしょうか。親戚の贔屓はあっても、これはどう考えても叔父の自制と鍛錬の賜ではないかと思っています。東京町田にある和光大学ポプリホール鶴川で、13時半から「福成紀美子&下野昇ジョイフルコンサート」があって、家内と行って来ました。昨年、東京上野の文化会館小ホールでの傘寿記念リサイタルが叔父の最後の歌唱と思っていたので、今回は驚きでした。カンツォーネ、シャンソン、ミュージカルの3部構成で、ソプラノ歌手の福成さんと息のぴったり合ったコンサートは、鑑賞者を恍惚とさせるのに充分な楽想を感じさせ、心から音楽を楽しむことが出来ました。これは音楽にも美術にも言えることですが、作る側が気楽に楽しんでいるようでは、鑑賞する側は生ぬるくて納得できないのです。日常を非日常に変えるには、常軌を逸して表現していかないと心底楽しめる状態にはならず、わざわざ遠方より鑑賞者を呼ぶからには、来てよかったと思わせるレベルに達しないと、コンサートや個展をやる意味がないと私は思っています。そういう意味で叔父はいつも全力で挑戦し、私に向うべき方向を指し示してくれていると感じています。私も生涯が果てるまで全力投球でいきます。因みに私は今朝7時に工房に行き、土練りと窯入れをしていました。叔父のコンサートがあったために、制作を早朝に前倒してやっていました。今日は元気をもらえた一日でした。
2017.11.25 Saturday
例年、この時期になるとストックしていた陶土が底をつきます。栃木県益子町にある明智鉱業にファックスを送り、20kgの陶土30体を注文しました。土錬機の交換、窯のメンテナンス、そして陶土の注文と、このところ費用が嵩むことばかりが続いていますが、生活の嗜好品を削ってもこれは必要なモノばかりなので仕方がないかなぁと思っています。酒も煙草も嗜まず、夏季休暇以外は旅行にも出ない私は、唯一、陶彫制作だけが贅沢な行為です。再任用管理職として働いているうちに創作活動で費用がかかるものは全てやっておこうとしているので、一応計算通りと思っております。明智鉱業は茨城県に住む陶芸家の友人から教えてもらった陶芸専門の販売店です。20年以上も前から明智鉱業で陶土や道具を購入してきましたが、最初の頃は益子に出かけていき、その場で陶土を選んでいました。購入する陶土が決まっている最近は、電話とファックスによる注文で済ませています。搬入の日と時間を決めて届けてもらっています。今日の昼頃に益子から横浜の工房に600kgの陶土が届きました。これで1年間は何とかなります。土練りは明日やることにして、今日は乾燥した陶彫部品の仕上げと化粧掛けを行いました。夕方になって、家内と横浜のミニシアターに映画「猫が教えてくれたこと」を観に出かけました。横浜では今日から上映になるので、ミニシアターは猫好きの観客で溢れていました。この映画は家内の希望で観に行くことにしたのでした。飼い猫トラ吉が我が家に居ついてから、家内は熱烈な猫ファンになり、自宅にも猫グッズが増えてきました。まさに今は空前の猫ブームです。猫と暮らしているとブームになるのも頷けます。映画の詳しい感想に関しては後日改めますが、舞台になったトルコのイスタンブールは、自分が若い頃、滞欧生活を引き揚げてくる時に滞在した懐かしい街でした。その時のエピソードとともに記憶が甦ってきて、そこにいた猫たちがこんなふうに描かれていることに愛着を感じてしまいました。
2017.11.24 Friday
「奇想の系譜」(辻 惟雄著 筑摩書房)をやっと読み終えました。継続して読んでいたわけではないので時間はかかりましたが、職場で仕事の休憩時間に楽しみながら読んでいました。本書で取り上げられている6人の画家は、現在展覧会があれば多くの人が押し寄せる人気作家ですが、本書が出版された1970年には美術史の片隅に追いやられた画家たちでした。本書で取り上げている岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳だけではなく、「奇想」という視点で捉えれば、まだ論じられる画家がいるのではないかと思いました。それについて「あとがき」で著者がこんなことを述べています。「〈奇想の系譜〉という題名は、これらの画家に共通する性格を的確に浮き彫りにするような恰好の言葉をあれこれ探しあぐねた結果、止むを得ずこうつけたにすぎないのだが、考えて見ると、〈奇想〉という言葉は、エキセントリックの度合の多少にかかわらず、因習の殻を打ち破る、自由で斬新な発想のすべてを包括できるわけであり、この意味で〈奇想の系譜〉を室町時代以後の絵画史の中にたどるならば、雪村の水墨画の奇態なデフォルマションが、先触れとしての意味を持つし、『本朝画史』に“怪怪奇奇”と評された永徳の『檜図屏風』のような巨樹表現がこれにつづき、宗達の『養源院杉戸絵』や『風神雷神図』、光琳の『紅白梅図』などもこの仲間であり、さらに白隠、大雅、玉堂、米山人、写楽…と、近世絵画の動向に大きな影響を与えた錚々たるメンバーが名を連ねることになり、こうなると、傍系とか底流とかいった形容はあてはまらず、むしろ、近世絵画史における主流といってさしつかえないほどである。そしてまた、これら〈主流〉の背後から動かし、推し進めている大きな力が、民衆の貪婪な美的食欲にほかならないことも指摘されてよいだろう。」些か長い引用になってしまいましたが、改めて日本美術の斬新な面白さを再確認した次第です。日本人は奇想が好きなのでしょうか。縄文土器から始まる美術史を辿ると、奇妙奇天烈な世界が生真面目に整理されたアカデミックな世界を凌駕しているように思えてなりません。
2017.11.23 Thursday
2009年に相原工房を建てて、すぐ陶芸窯を設置しました。それまでは窯を借用して焼成を繰り返していた自分は、ここで漸く自分の窯を持てたのでした。今までギャラリーせいほうで発表した陶彫作品のうち、借用していた窯で焼いた作品を調べてみました。2006年発表「鳥瞰」「点景」「円形劇場」「礼拝堂」「球体都市」、2007年発表「円墳」「地下遺構」、2008年発表「遺構」、2009年発表「赤壁」がそれに当たります。2010年以降発表した「瓦礫」や「楼閣」を初めとする多くの作品群は、すべて自分の窯で焼いたものです。因みにNOTE(ブログ)に記載した工房の歩みも調べてみました。2009年4月5日に建設計画、同年5月2日地鎮祭、同年7月18日立会い検査、同年7月24日引き渡し、同年8月3日築窯、2010年1月9日窯の試運転となっていました。ということは窯を使い始めて7年が経っていることになります。陶芸で生計を立てているわけではないにしても、頻繁に使っていることは間違いありません。窯の扉の部分に錆が目立ってきたので、今日は業者に来てもらって、窯のメンテナンスを行いました。窯の天板を取り外すと、錆だらけになっていて、まずそこから錆の除去作業が始まりました。最後に窯の表面全体に銀色の耐熱塗料を塗って終了になりましたが、新品のように生まれ変わった窯に満足しました。今日は勤労感謝の日で勤務を要しない日だったので、工房に籠もって陶彫部品の彫り込み加飾や、乾燥した陶彫部品の仕上げをやっていました。このところ土錬機を買い換えたり、窯のメンテナンスをやったりして、費用がかかっています。自動車にも車検があるように陶彫の道具も手を入れていかなければならないのです。そこをカバーできるほど陶彫作品が売れていないのが厳しいところです。窯の業者が傍らで作業する私を見て、作品が出来上がるまで大変だねぇと言っていました。集合彫刻のひとつずつの部品を見ていくと、確かに大変な労力ですが、自分にはこれが合っていると思っています。明日は勤務して明後日から週末になり、作業の続きは明後日から継続して頑張っていくつもりです。