2018.05.21 Monday
先日観に行った映画の正式タイトルは「大英博物館プレゼンツ 北斎」と言います。江戸時代の絵師葛飾北斎の大掛かりな展覧会「Hokusai:Beyond the Great Wave」が、2017年5月から8月にかけてイギリスの大英博物館で開催され、それが契機となって、この映画が作られました。イギリス人スタッフが捉えた展覧会の舞台裏や、北斎絵画の学術的な検証、北斎の人生を読み解く考察など、北斎ファン(というよりオタク)を満足させるに足る充実した内容になっていました。私たち日本人にとって浮世絵は海外に比べれば身近です。私は幼い頃に、お茶漬けの袋についてきた浮世絵カードを集めていました。あれは広重だったっけと思い出していますが、絵そのものにはたいして気も留めていませんでした。ヨーロッパの印象派の画家が浮世絵を模写していることを知って、浮世絵の凄さを理解しました。西洋絵画から見れば、線の卓抜さ、面取りの大胆さ、色彩の微妙な美しさは注目に値する表現だったわけです。とりわけ北斎の奇抜さが群を抜いていて、まさに奇想の画家の代表格に相応しい画業だったと考えられます。映画の中で、北斎は6歳から絵の手習いを始め、死の床につくまで一日たりとも絵筆を握らない日はなかったという台詞がありました。晩年になるほど表現が冴えわたる北斎は、90歳代になっても寿命があと何十年あれば自分は一端の画家になれると言っていたそうです。イギリスの芸術家D・ホックニーは「偉大な芸術家は年を重ねるごとに進化する」と北斎を評価していましたが、私も見習うべきは北斎の創作への貪欲な姿勢だと常々思っています。僭越ながら私もRECORDをやっているので、毎日絵筆を握っています。ついでながら陶彫に関しては、私も長生きをしなければ、自分の求めるものが出来ないと実感しています。そういう意味で映画「北斎」はイギリス人の素晴らしい視点と考察によって、私に生きる勇気をくれた映画だったと言っても過言ではありません。
2018.05.20 Sunday
今日は朝8時半から夕方5時半まで、通常より長い制作時間を取りました。図録用撮影日が近づいているため、身体に鞭打って制作を頑張っていました。今日の作業内容は「発掘~根景~」の4本柱の先端の木彫でした。「発掘~根景~」の4本柱は陶板を貼り付けていく方法を考えていますが、先端部分は木彫で少しずつ細くしていこうと思ったのでした。床から80cmは陶板がありません。そこに鑿の彫り跡をつけてみました。昨年発表した「発掘~宙景~」も同じ表現方法でやっています。今年の新作は昨年に比べ、柱が高いのですが、その分彫り跡が多くなり、時間がかかりました。午後になって、柱陶になる陶板8枚と小品2点の仕上げと化粧掛けを行ってから、窯入れをしました。窯入れをもう1回やれば個展の作品は全て出揃います。今月終わりにある関西出張までに焼成は終わらせたいものです。昨日は「発掘~角景~」のテーブル部分に砂マチエールを施しましたが、硬化剤が固まるまでにもう少し時間がかかりそうです。「発掘~根景~」も「発掘~角景~」も完成までもう一息ですが、ここからが長い長い一息になり、気持ちの中では焦りと厳しさが交差します。緊張感が途切れないのは良いことだと思っていますが、シンドさを人一倍感じています。こんな時の息抜きは、遅い時間帯にちょこっと行ける映画館かなぁ、映画を観ていると辛い創作活動を忘れられるかなぁ、それとも映像に刺激を受けて息抜きにならないこともありうるなぁ等と、作業中の休憩時間に現実逃避とも思えることをぼんやり考えていました。しかしながら今晩は、映画館ではなくホームセンターに車を走らせ、接合用ボルトナットを大量に購入してきました。そろそろ全体を組立てることを考えなければなりません。
2018.05.19 Saturday
週末になりました。6月3日(日)に予定している図録用写真撮影から遡ると、週末がやってくるのは僅かしかありません。作品を完成するまでの制作工程を考えながら、週末の時間を大切にしていこうと思っています。今日は朝8時から夕方4時まで工房に篭りました。「発掘~角景~」のテーブルになる厚板に砂マチエールを施しました。これは木材の材質感を変容させ、陶彫との調和を図る目的があります。硬化剤で砂を貼り付けて、それが固まったら油絵絵の具を滲み込ませていくのです。今日は一日がかりでテーブル全体に砂を貼って終わりました。陶彫部品を接合する時のボルトがテーブルに出てしまう箇所も隠す工夫をしました。硬化剤が威力を発揮するまで数日間かかるので、油絵の具による塗装はウィークディの夜になるかなぁと思っています。明日は「発掘~根景~」のテーブル部分の細工に取り掛かろうと思っています。「発掘~根景~」には砂マチエールは使用しません。油絵の具の塗装だけです。「発掘~根景~」はテーブルの上部が見えないことと、砂でテーブルが重くなることを懸念して塗装だけにしようと思っています。夕方、工房の作業を終えてから、定例になった土曜名画座に家内を誘って行くことにしました。横浜の中心地にあるミニシアターは、自家用車で行って外食をして帰って来るので身体的負担は軽いのです。気楽に映画鑑賞できるので最近は毎週のように出かけています。今晩観た映画は大英博物館が製作した「北斎」でした。葛飾北斎の大きな展覧会が大英博物館で開催されたのが契機になって、イギリス人スタッフによって映画「北斎」が作られたのでした。北斎ワールドをドキュメンタリーとしてイギリス人学者やアーティストが考察したもので、改めて北斎の魅力を西洋人感覚で発掘していました。北斎オタクが西洋人にかなりいることがわかって、しかもその考察力に思わず頷いてしまうことがありました。日本にいると当たり前になっている北斎の絵画ですが、自然事象や人物の象徴化や線描の巧みさに、私も再三見入ってしまうほどでした。葛飾北斎は世界屈指の偉大な芸術家であることは間違いありません。映画の詳しい感想は後日改めます。
2018.05.18 Friday
私の同業者は、今日のイベントが何なのか、察しがついていると思いますが、拡散を怖れて私は職種を言わないようにしています。今日、私の職場では1年1回の野外イベントがありました。このイベントは天候に左右されるものですが、今日は晴天に恵まれた一日になって、難なくすべてのプログラムを行うことが出来ました。私たちは普段は専門ごとに分かれて仕事をしています。言わば専門職集団ですが、職場全体で行うイベントは、専門の垣根を越えて、それぞれが連携し合ってイベントを盛り上げていきます。私たちの職種は自己判断や決断が要求されるもので、イベントでも指示を待つことなく全員が自ら考えて行動しています。もちろん指示系統はしっかりしていますが、細かい部分は臨機応変して対応しているのです。朝早くから夜の反省会まで、本当にお疲れさまと私は立場のある者として、全職員を労いたいと思いました。こうしたイベントは若手職員の人材育成に役立つもので、人とコミュニケーションを図ることで、職場としての組織連携が強いモノになり、若手職員のスキルが向上すると常日頃から感じています。私の職場は手前味噌ながら、若手職員が前向きで人一倍頑張る環境があります。若手職員がお互い切磋琢磨することもあり、それが職場全体に良い影響を与えているのです。小さな問題は多々あっても、私は監督者として職員全体には及第点をつけています。それがあるからこそ自分が思い切り創作活動が出来ると思っているのです。来週からは部署ごとに宿泊を伴う出張が続きます。私も含めて職員の健康維持を願うばかりです。
2018.05.17 Thursday
毎晩、仕事帰りに工房に行って、小品4点の彫り込み加飾をやっています。前にNOTE(ブログ)に書籍からの引用を載せましたが、そこに書かれていた通り、陶彫は陶磁器ではなくオブジェ概念に狙いをつけた芸術作品なのです。作品のサイズに関わらず、小品も芸術作品です。ただ、以前に作品を購入してくれた方が、陶彫の内部にランプを仕込んで、ランプシェードとして楽しんでいました。現在作っている小品は内側に水漏れしない器を置けば、花器として楽しむことも可能です。東京銀座のギャラリーせいほうは、彫刻専門の画廊のため工芸品を扱っていません。小品はあくまでも彫刻として販売していますが、購入した人の工夫次第でどのようにしても構わないと私は考えています。花器は花を鑑賞の主たるモノとして、器は花の盛り立て役に甘んじる傾向がありますが、私の小品は彫刻作品として意識していて、花のことなどは考えていないので、そこは悪しからずと言うところでしょうか。私は小品と言えども、大きな作品に匹敵するイメージを持って作品にしていて、まさにオブジェ概念そのものです。題名は「陶紋」にしていて、今まで発表してきた小品と同じ題名にしています。通し番号をつけているので、新作は43番~46番までの作品になります。今晩で小品の彫り込み加飾を終えました。後は乾燥を待つばかり、そして撮影に間に合うように焼成をしていきます。