2015.06.21 Sunday
今日は朝から工房に篭って、陶彫部品の梱包作業に明け暮れました。用意した木箱は9個でしたが、やや足りず2個追加して、小品は全て木箱に納まりました。「発掘~群塔~」の屏風に接合する陶彫部品、「発掘~丘陵~」の陶彫部品全て、「陶紋」の陶彫全てが木箱に納まった内容です。「発掘~群塔~」の床置きの陶彫13点が大きすぎて木箱に納まらず、これをどうしようかと思案中です。垂木を使った直方体を作ろうかと考えています。垂木に四隅を縛って内部に固定する方法で、今までも大きな陶彫にはこれを使っています。今まではせいぜい2個程度の作成で済みましたが、13個は半端ない作業です。創作以外に手間暇をかけたくないと頭のどこかで思っているのですが、これは仕方がないかもしれません。ともかく順調に搬入準備が進んでいます。心配しているのは、工房の作品倉庫に余裕がなくなっていることです。工房の3分の1は作品保管の倉庫になっているのですが、個展も10回目ともなれば、作品の置き場所がなくなるのも無理ないかなぁと思います。考えているのは素材を全て工房の制作場所に移動することで、多少の作品置き場所が生まれるのではないかということです。平面作品や額やエッチングプレス機を制作空間のどこかに置こうと思っているのです。制作空間は若いアーティストたちも創作活動を展開する場所です。上手に空間を仕切って、自分も含めた全員が心地よく制作できるようにしたいと考えています。
2015.06.20 Saturday
今日は7月に個展を企画していただいている東京銀座のギャラリーせいほうに、個展の案内状1000枚を届けに行きました。画廊主の田中さんに長い間ご無沙汰していたことを詫びて、搬入に関する打ち合わせをしました。もう今回で10回目となる個展なので、立ち話程度で打ち合わせは終わりました。個展前日の日曜日に搬入があります。これをスタッフに知らせたいと思っています。今日はせっかく東京に来ているので、東京駅のステーションギャラリーで開催中の「鴨居玲展」にも足を運びました。スペインの街角に集う老人たちに題材をとった画家は、深い精神性を湛えた重厚な画面を作り上げ、酔っ払いや道化師の姿を写し取りました。堅牢な教会の構築性にも画材を求めた画家は、そこに孤高な詩情を醸し出す独特な雰囲気を作り出しました。ステーションギャラリーの古びたレンガ壁が絵画作品ととても調和していて、その空間にいるだけで満足感を覚えました。作品に関する詳しい感想は後日改めたいと思います。その後、丸の内線に乗って四谷三丁目に向かいました。相原工房に出入りしている中国籍のアーティストがグループ展をやっているので見てきました。場所はアートコンプレックスセンターという若手作家育成のために発表の場を提供する複合ギャラリーでした。彼女は留学生アートフェアプログラムに出品していました。波を象徴的に描いた大きな平面2点と小さな平面2点の4点がありました。大きな作品は、先日工房で私も手伝ったアクリル板で額装した作品でした。なかなか良い感じにまとまっていました。
2015.06.19 Friday
2日間の山梨県への出張は、思いのほか疲労が溜まっていて、今日は横浜に戻ってから工房に行くつもりでいたところ、夕方から寝てしまって結局作業は出来ませんでした。やっとRECORDに手を入れたところで、今日は終了です。ボンヤリと過ごす中で、創作活動への思いが頭を過ぎっています。疲労はただ休んでいても回復はしないものです。自分は造形イメージに取り巻かれていると、漸く疲労回復となるのです。ただし、新しいイメージはこういう時にはやってきません。苦し紛れで制作している時に新しいイメージが天から降ってくるのです。疲れて身体を横たえている時は、過去や現在の作品が頭の中でグルグル網羅されているですが、それでも表現力の不足を嘆く苦しさも一緒に思い起こされてくるのです。実際の作品を眼の前にすると、思っていたほどヒドいものではないなぁと感じたりするのですが、自分は作り上げた造形を否定的に考えている場合が多いのです。疲労で身体が動かない時は尚更で、今までやっていた作品を全て壊したくなる瞬間があります。時間を置くと作品に対して肯定的に考えられるようになり、疲労回復が図れるというわけです。若い頃のように突如発作を起こして、石膏像をハンマーで叩き割ることはなくなりましたが、過去の作品に対して厳しく考える癖は多少残っているのかもしれません。プラスに考えれば、まだ伸びシロが残っているということでしょうか。今日は過去の作品を考える機会が与えられたのだと思うようにしました。
2015.06.18 Thursday
今日は関東甲信越地区の管理職の会議が山梨県甲府市でありました。今日は全体会で明日が分科会になります。私は早めに横浜を出て、一路現地に向かいました。せっかく山梨県甲府市に行くのであれば、会議の前に山梨県立美術館に行って、バルビゾン派のミレーの絵が見たかったのでした。山梨県立美術館はジャン=フランソワ・ミレーのコレクションで有名な美術館です。ボストン美術館とここにしかない「種をまく人」。ミレーがバルビゾン村に移り住んで初めて手掛けた大作です。この「種をまく人」と共に「夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い」がとりわけ知られた作品で、以前自分もここに来て見た記憶がありますが、もう一度ミレーの絵画群に会いたいと思っていました。農民画家として知られるようになったミレーは、バルビゾン村で農民として暮らしながら絵を描いていたわけではなく、あくまでも画家として生計を立てていたようです。若い頃のミレーは裸体画で成功したものの、周囲の評判が気になって、農民画家に転向したことが文献にあります。山梨県立美術館にはミレーの最初の妻となり、20代の若さで早世したポーリーヌ・V・オノの肖像画があります。私の好きな作品のひとつで、じっくり描き込んだ若い女性の表情に思わず魅了されてしまいます。仕事上の出張とは言え、横浜からわざわざ甲府まできてよかったと思いました。私にとっては山梨県はミレーに会える場所と言っても過言ではありません。
2015.06.17 Wednesday
20世紀を代表するシュルレアリスムの巨匠ルネ・マグリットは、自分にとって馴染みのある芸術家です。十数年前の日本での大がかりな展覧会も見た記憶があります。今回は混雑を避けて金曜日の夜の時間帯に家内と六本木の国立新美術館に出かけました。ゆっくりと鑑賞できて良かったと思いました。マグリットはシュルレアリスムの古典とも言うべき画家で、見慣れた画風であるにも関わらず、やはり面白さが伝わってきました。その中でもニューヨーク近代美術館からやってきた「光の帝国Ⅱ」の面白さを今回改めて確認しました。マグリット自身が語っているコトバが図録に掲載されていました。「この夜と昼との喚起は、私たちを驚かせ、魅了するような力を帯びているように、私には思われます。私はこの力を、詩と呼びます。この喚起がこのような詩的な力を持っていると私が信じているのは、何と言っても、私が常に、夜と昼とに対して最大限の関心を抱いているからです。~以下略~」街灯が灯る夜の風景に、白い雲が浮かぶ青空が同じ画面に共存している風景画は、綿密に計算されて描かれているからこそ不思議な説得力があるように思います。正確な具象絵画ではあるけれど、どこか超自然な世界が、見る人を魅了するシュルレアリスムの王道が、そこにありました。