2015.12.04 Friday
今月のRECORDが2015年最終月の記録(RECORD)となりました。今月のテーマは「剥」に決めました。「剥」というと剥奪や剥離という語彙が浮かびます。モノが剥がれてしまうイメージです。今までに作ったRECORDを振り返って見ると、「剥」に近い表現を持った作品もあり、自分にとっては制作しやすいテーマではないかと思います。嘘や偽りが剥がれて本質が現れる世界は、周囲に眼を凝らせば、いろいろなところで見られます。自分の作品も、時代の流れに翻弄されない本質を究めたものでありたいと願っています。そんな世界観を一日僅か1時間程度の制作時間でちょこちょこと表現していくのは失笑ものですが、RECORDも積もり積もれば、それなりの本質を示すものになるかもしれないと信じています。2007年から始まったRECORDも2015年まで続いているわけですから、緊張や緩慢を繰り返しながら、何かを求めてきたことは確かです。その何かとは何か、求めてきたものは自分の内的世界という得体の知れないものかもしれません。そうであるなら回答を得るのは困難で、自分が生きつづける限りRECORDを作り続けるしか答えを探す方法はありません。もちろんその覚悟はできています。今月もいつものように毎晩コツコツとRECORDに向かい合っていきます。
2015.12.03 Thursday
「夢解釈」(フロイト著 金関猛訳 中央公論新社)第六章「夢の仕事」の(c)「夢の描出手段」のまとめを行います。「夢の描出手段」は割と長い論文なので、これひとつだけでまとめます。「私たちは、『もし』、『なぜなら』、『あたかも』、『にもかかわらず』、『あるいは』といった接続詞、そしてその他もろもろの前置詞なしに文も言辞も理解できないのだが、夢においてこれらはどのように描出されるのだろうか。~略~(夢は)こうした論理関係を描出する手段は有していないとまずは答えねばならない。~略~夢がこうした表現能力を欠くのは、夢が作られる元となる心的素材のせいであるにちがいない。絵画や彫刻のような造形芸術は、言辞を用いることのできる詩と比べると、確かにこれに似た制限を受けている。そして、この場合も、絵画や彫刻にそうした表現能力が欠如するのは、それらの芸術が何かを表現しようと加工するのに用いる素材のせいだ。」論文の中で描出手段の動機となる文章を引用しました。それに続く展開は事例を挙げて研究することに大半を費やしています。フロイト自身の夢による考察やフロイトが担当した患者からの資料提供もあって、夢の描出が覚醒時では考えられない方向へ行くこともあると論じています。夢という曖昧な分野に目を向けた本論は、読んでいると虚を突かれたようでいて、妙に納得できる部分もあります。夢の内容に圧縮があったり、ずらしがあったり、欲望充足があることに、自分を振り返ってみて、改めて気づきました。
2015.12.02 Wednesday
漫画家水木しげる氏が93歳で他界されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。私は水木漫画が好きな一人です。水木漫画との出会いは自分が小学生の頃に遡ります。同級生宅に行くと珍しい漫画本が山積みされていて、自分はその漫画本目当てに何度もお邪魔しました。横山光輝の「鉄人28号」の初版本が1巻から揃っていたり、漫画雑誌も数多くありました。今になって思うとバックナンバーが揃っているというのは、子どもの力ではなく保護者の趣味だったのかもしれません。そんな中で目にしたのが「墓場の鬼太郎」という水木漫画でした。墓場や霊魂、妖怪をテーマにしている漫画は衝撃的でした。何より細かく描き込まれた背景に魅せられました。ペンで細密に描かれた墓場や雑木林のおどろおどろしさを、自分も真似て描いていたら、そんな絵を描くのはやめてほしいと母に言われました。私の過去をさらに遡ると、当時自宅は祖父母が取り仕切っていて、祖父は宮大工をやりながら家業として農家を営んでいました。玄関を入ると土間があり、奥まったところに薪を使う台所、その裏に五右衛門風呂という作りになっていて、東京の都会から嫁にきた母は環境に馴染めず苦労したようです。橫浜とはいえ1950年代にそんな環境で育った私は、自宅の隅々の暗がりや縁の下に何かが潜んでいるのではないかと不安に駆られていました。そこに水木漫画が登場し、妖怪キャラが自分の不安を払拭するだけでなく、創作的な面白さを提供してくれました。日本の妖怪文化はその後も私を魅了し続けて、水木漫画を窓口に、日本の古来から伝承された妖怪や幽霊に興味関心を持ちました。日本の絵巻に描かれた妖怪の姿態に人間臭さを感じながら、現在の画一化された住宅や管理された山林では、妖怪が棲めなくなっているのではないかと危惧しているこの頃です。
2015.12.01 Tuesday
慌ただしい12月になりました。師走とはよく言ったもので、職場の仕事も創作活動も多忙を極めます。多忙化は多忙感を伴います。この多忙感が厄介でストレスを感じる要素でもあるわけです。だからこそ今月は目標をしっかり定めて、一歩ずつ前に進みたいと考えています。現在陶土が不足しているので、今月は栃木県益子から陶土600㎏が届くはずです。新作2点の陶彫成形と彫り込み加飾を同時に進めていきたいと思っていて、大きい新作は陶彫成形20点、小さめの新作は陶彫球体を10点程度作れれば目標達成です。今月は年末の休庁期間があるので、まとまった制作時間が取れます。過剰な期待はできませんが、毎日制作していると週末毎の制作以上の効果があることは確かです。RECORDは2015年の締め括りに相応しい作品を日々作っていこうと思っています。読書はフロイトの「夢解釈」の継続です。今年中には読み切れないかもしれません。鑑賞は時間を見計らって展覧会に足を運ぼうと思います。映画も観たいものがあるので時間を作ります。先月はモチベーションがやや下がっていたところがあるので、今月は気分を高めていくつもりです。
2015.11.30 Monday
月日が経つのは本当に早いものだと実感します。今日で11月が終わります。気づいてみれば周囲は、冬枯れた樹木の落ち葉が舞っています。私もスーツの上にコートを羽織って出勤しています。職場では来年度人事が始まっていて気疲れする毎日ですが、何とか健康だけは保っています。週末の制作はペースダウンをしています。とりわけ土曜日はウィークディの疲れのためか動きが緩慢で、その分を日曜日に取り返しています。11月は2点目の新作に取り組み始めましたが、1点目は思うように作業を進めることが出来ず、この遅れはきっと後になればなるほど重くのしかかってくるように思えます。鑑賞は東京国立博物館の「始皇帝と大兵馬俑展」を見てきました。何度もNOTE(ブログ)に書いているのは、陶彫である兵馬俑に感動した証拠です。映画では橫浜のミニシアターでロシアの「裁かれるのは善人のみ」を観てきました。悲しい結末と政治の荒廃が心に残りましたが、美しい風景とそこで暮らす人々の情景が印象的でした。読書は相変わらずフロイトの「夢解釈」に挑んでいます。今月は前向きではあったけれど、思うような進歩が望めず、来月に託すしかないと思っています。健康だけは留意していきたいと思います。