2015.04.27 Monday
ピカソが縞のシャツを着て大きな猫を抱いている写真が表紙の「アーティストが愛した猫」(アリソン・ナスタシ著 関根光宏訳 エクスナレッジ)を毎日眺めています。古今東西の芸術家は猫派か犬派か、どちらが多いのかを統計したら面白い企画になるのではないかと思います。その理由を真面目に分析したら、芸術家の嗜好と思考がわかるのではないかとも思うのです。「はじめに」と題された文章に芸術家と猫の関わりが、心理学や古代史を通して書かれていますが、さらに進んだ学術的分析は可能でしょうか。師匠の池田宗弘先生は究極の猫派です。それに習って自分も猫派になりました。自分は幼い頃から実家で猫を飼っていて、何故か猫族に昔から好かれるのです。子どもの頃、自分は猫に虐待と見紛うくらいの悪戯をしましたが、猫はそれでも私に恐る恐る近づいてきたのでした。現在は野良猫だった茶虎のトラ吉を飼っています。過去に犯した罪滅ぼしに今のトラ吉を可愛がるようにしています。猫は悠々として威厳たっぷりな足取りでいて、何を考えているかわからない素振りで人に接します。「我が輩」と猫が自称している小説を書いた夏目漱石の観察眼は凄いなぁと思います。トラ吉も喋ることができれば、自分のことを我が輩と言うでしょう。人に媚びないところが芸術家に好かれる所以かもしれません。人相ならぬ猫相が哲学者のそれに似て偉そうです。パイプを銜えさせたら似合うと思いながら、トラ吉と毎晩同じ仕草で戯れ、あたかもニーチェの永劫回帰のような繰り返しに、よくも猫は飽きないものだと感心しています。
2015.04.26 Sunday
今日は午前中職場関係の仕事があって、工房には行けませんでした。どうやら今月の疲れがピークに達していて、昨日から身体が思うように動きません。昨日は家内に手伝ってもらいながら制作を進め、夜は水泳に行ってリフレッシュしたつもりでしたが、年度当初の仕事が結構厳しいのか、それとも神経に障っているのか、よくわからず自覚のない状態です。創作活動をすれば大抵のことは乗越えられるのですが、どうも疲れが取れずにいます。午後は若いスタッフが工房にやってきました。彼女は中国籍のアーティストで、今月から出身校である都内の美大に就職しています。学生ビザから就労ビザに変える時に右往左往しましたが、何とかなったようで気持ちは落ち着きを取り戻しました。晴れて社会人になり、先週金曜日に初任給が振り込まれたようで、よほど嬉しかったらしく奮発して工房の仲間のためにケーキを買ってきました。彼女は来日4年目になりますが、日本人以上に日本人らしいところがあります。常に周囲のことを考え、遠慮がちで礼儀正しい姿勢を貫いています。作品に対する内面的な自己主張は強いものがあり、大陸らしい大らかさを感じさせることもあります。でも印象としては細やかな気配りがあって、他人には傾聴を怠らず、コミュニケーションも良好です。私もたまに彼女が外国人であることを忘れます。私は疲労が蓄積されているにも関わらず、彼女の初任給の話に触れて心が軽やかになりました。社会人として第一歩を歩き始めた彼女に励ましの言葉を送りたいと思います。
2015.04.25 Saturday
2月22日に家内が陶彫制作の手伝いに来てくれました。その日は制作工程が進んで、大いに助かりました。NOTE(ブログ)に「サポート付き制作」として制作状況をアップしましたので、今回はその2回目になります。陶彫は成形が済んで、彫り込み加飾を終えると、乾燥させるために暫く放置しておきます。すっかり乾燥したところでヤスリをかけ、化粧掛けを施します。この仕上げに行うヤスリがけがなかなか手間がかかるのです。このサポートは本当に有り難いと思っていて、しかも手慣れた家内にやってもらうのは最適です。因みに家内がやっているのは5月6日に撮影する「発掘~丘陵~」の陶彫部品です。尊敬していた彫刻家中島修さんが生前言っていたコトバで思い出すのは、「女房と険悪になると作品が出来上がらない」という他愛のないコトバですが、今の自分に当てはまります。彫刻家は制作協力者が必要です。そんな訳で今日は制作が進んだ一日でした。
2015.04.24 Friday
今夏発表する「陶紋」の制作にやっと入れました。今までオブジェとして作ってきた「陶紋」ですが、なにか日用雑貨として楽しめるモノが作れないかと考えて、ブックエンドとしても利用できるカタチにしました。縦長ピラミッド型の「陶紋」です。勿論オブジェであることに変わりはありませんが、こんな使い方も出来るというのを提示したいと思っています。前に「陶紋」を購入した方が、内部に灯りを入れて照明器具として自宅を飾っているのを知って、日用雑貨として楽しめる「陶紋」を思いつきました。都会の最先端をいく洒落た店舗には、現代彫刻と見紛うほどの雑貨が飾られていることが少なくありません。最近は街を散策する人も増えて、日本人の休暇の過ごし方も欧米に近くなったと思っています。そうしたウィンドゥショッピングを楽しむ人の中には、美意識を擽る雑貨を求める人も増えているように思えます。生活に潤いを与える造形。新しい価値観を提示する造形。大勢の人々に享受されるようになった立体造形に、今後も活路を見いだしていきたいと思っています。
2015.04.23 Thursday
今日の話題は私のことではありません。私の家内は大学で空間演出デザインを学び、さらにウィーン美術アカデミーでは舞台美術を学んでいました。そんな家内が舞台美術の世界でプロにならなかった理由は、舞台美術家として職種確立が成されていないわが国の事情によるものと思っています。それでも若い頃の家内は演劇やオペラ公演のポスター等を作っていて、その世界に関わろうとしていました。舞台美術は装置、照明、衣装等が絡み合う総合芸術で、そこで繰り広げられるパフォーマンスとの関わりに絶妙な瞬間を与える媒体とも言えます。現在、家内は胡弓奏者として「おわら風の盆」の演奏をしていますが、来月に神奈川県海老名市で「おわら風の盆」のイベントがあり、そこの舞台美術を手がけることになったようです。再び舞台美術の世界に立つことになった家内ですが、演奏者と裏方の両方はなかなか苦しいらしく、時間の遣り繰りをしながら、今日も相原工房併設の野外工房で巨大な装置作りに励んでいました。私は昼間仕事があるので手伝えませんが、私自身も舞台美術に興味があります。学生の頃に見た前衛演劇の舞台は、空間を象徴化することの面白さを私に与えてくれました。今回の家内がデザインした舞台は抽象化されたカタチが宙に浮いたシャープな舞台です。来月になったら、工房に出入りしている若いスタッフと家内の舞台を観てこようと約束しているところです。