2025.05.04 Sunday
日曜日になりました。日曜日は創作活動についてNOTE(ブログ)を書いています。今晩再放送のNHK「日曜美術館」でドイツの芸術家アンゼルム・キーファーの世界を取り上げていました。嘗て私は箱根彫刻の森美術館の室内展示室で大掛かりな「キーファー展」を見て、藁や木材を炭化させた巨大な作品に衝撃を受けた記憶があります。2018年2月8日付のNOTE(ブログ)にこんな表記がありました。「(私が彼に興味を持ったのは)1998年に箱根の彫刻の森美術館で開催された『アンゼルム・キーファー展』を見たことに端を発します。ナチスの負の歴史を直視し、ナチス式敬礼の写真を展示して物議を醸した芸術家は、その後もナチズムを白日に晒す作品を作り続けました。彫刻の森美術館では藁や炭化された木材、またコールタールで塗りこめた巨大な作品が壁を覆っていて、その素材感に圧倒されたのを今も覚えています。その時は題名に気を留めていなかったのですが、キーファーは主題や意味を尊重する芸術家であることを後になって知り、その意図を汲むべきだったと後悔しています。キーファーの作品には聖書や神話、さらにユダヤ教の神秘思想とも言うべきカバラ哲学も創作動機に入ってきていて、それを知るには芸術家個人の経験としての背景があるのだろうと察します。」今日の放映でキーファーの世界が京都の二条城で展示されていて、古い木造建築の中で見るキーファーの主張が、日本の伝統と対峙して、それが絶妙なバランスを持っていることに、私は刺激をもらいました。ただ、こういう素材が全面に出た作品は、作品そのものも巨大なこともあって、心身で体感してこそ、漸く表現の何たるものかが味わえるのです。実際に京都の二条城に足を運ぶのが最適ですが、現在オーバーツーリズムで京都は混雑をしているため、それを体感しに行こうという気が起きません。テレビで満足できるものではありませんが、想像を逞しくして心を満たしました。
2025.05.03 Saturday
週末になりました。今週の振り返りを行ないます。今週は4月から5月に移りました。新作が佳境に入ると時間が経つのが早くて、今週はあっという間に過ぎていった感じを持ちます。ましてや今日からゴールデンウィーク後半の4連休が始まり、高速道路が渋滞をしているようです。教職に就いていた3年前までは、ゴールデンウィークは連続して創作活動が出来るので大変貴重な時間でした。その時はゴールデンウィークに何をやるべきか目標を立てていました。退職した今となっては昔のような有難味はありません。ゴールデンウィークといえども通常の生活があるだけです。今週は平面作品のパネルを2点作成しました。縦横120cmの正方形のパネルなので既存のものはなく、板材や垂木を使って自分で作ったのです。そこに下塗り剤を施し、乾燥を待って創作の作業に移ります。平面作品に限ったことではないのですが、創作が制作工程に入ってくると、忽ち面白くなります。当初のイメージと折り合いをつけながら、さらにクオリティの高いものが出来ないかと思案していくからです。何かいいものが掴めた時は天に登るほど気持ちが高揚し、当初のイメージ通りにいかない時は心が塞がれます。一喜一憂が創作の合間に頻繁に訪れてくるのです。それは魔力に満ちたもので、それがあるからこそ創作活動がやめられないのです。それに長く時間をかけたからといって、いいものが出てくるものではありません。一日時間をおいて仕切り直しをした方がいい場合もあります。途中までいい具合に進んだものの、やり過ぎて作品を台無しにしてしまうこともあります。そうして苦しんでいる最中に、次の作品が上から降りてくることが嘗てありました。面と向かって作品に対峙できない現実逃避かもしれませんが、何であれ次の作品のイメージを私は有難く受け取っていきます。私の作品展開はこうして生まれてきたと言えます。苦しい時間帯は来週も継続でしょう。
2025.05.02 Friday
「近代絵画史(上)」(高階秀爾著 中公新書)の「第3章 新古典主義とロマン主義」について気になったところをピックアップしていきます。時代を代表する画家が3人登場します。まず、ダヴィッド。「新古典主義の中心的存在は、何と言ってもジャック=ルイ・ダヴィッド(1748-1825)であった。ゴヤとほとんど同じ時期を生き抜いた彼は、強い意志の力と、確実な職人的技術に支えられた厳格な画風とによって、新古典主義の美学を完成し、それを革命時代と帝政期の代表的様式にまで育て上げた。ダヴィッドの登場によって、18世紀の優雅艶麗なロココ趣味は、男性的な英雄主義にとって代われることとなったのである。」さらに劇的で短い生涯を閉じたジェリコーも登場しますが、次に取り上げる画家はアングルとドラクロアです。「アングルは、いわば新古典派にとっては、最後の切り札だったのである。そのため、《ルイ13世の誓い》は、サロンの主催者によって特別華やかな扱いを受け、アングル自身もびっくりするほど大きな成功を収めた。一方、ドラクロアは、2年前のサロンにはじめて登場した時から、一部の人々から注目されていたが、この年、《キオス島の虐殺》によって、一躍革新的な若者たちのあいだの中心的存在となっていた。1824年のサロンにおけるこのふたりの出会いは、その後40年にわたって美術界を二分することになる宿命的な対立の、いわば、出発点だったのである。~略~1855年、パリではじめて万国博覧会が開催された時、アングルとドラクロアにそれぞれ特別に一室が提供され、その画業の全貌を示す回顧展が催されたが、そのことはとりもなおさず、19世紀中葉におけるこのふたりの巨匠の重要な位置を物語るものと言ってよい。アングルがその比類ないデッサン力によって、官能性にも欠けていない純粋な美の世界を創り出したとすれば、ドラクロアは、色彩豊かな想像力によって、絵画表現の可能性を大きく拡げたのである。」今回はここまでにします。
2025.05.01 Thursday
5月になりました。新緑が眩しい季節になり、工房周囲の山や畑にも若葉が芽吹いてきました。この時期は暑くも寒くもなく絶好の創作活動日和です。今日は朝から夕方まで工房に籠り、平面作品のパネルを作っていました。今月は立体作品も平面作品も完成を目指します。今月の25日(日)に図録撮影を決めて、カメラマンやスタッフたちに連絡を入れました。その日から逆算して完成までの計画を立てていきます。問題は追加制作ややり直しがあった場合を考慮しなくてはならず、余裕を見ておいても結局ギリギリになることが多いのです。この最後の詰めは作品制作において最重要で、ここで作品の質が決まるといっても過言ではありません。今までもそうでしたが、最後の1ヶ月は持てる力の全てを費やして作品完成に向けて頑張るしかないのです。ただし、視野が狭くなっては作品が小さくまとまってしまうので、美術鑑賞とバランスを考えながら、常に冷静でいたいと思っています。今月も良質な展覧会があると思います。自分の向上心を刺激する展覧会は、自分が考える以上の豊潤な感動を齎せてくれるので、情報があれば展覧会に出かけていきます。自分が形態や色彩を使った表現活動をやっているのは、生きていく上で最高の喜びがないと意味がありません。今年、美大の4年生になった工房のスタッフに、自分は卒業した後でもずっと毎年卒業制作をやっているようなものだと言いました。工房に出入りしている後輩の彫刻家も、私同様に常に全力投球をしていて、それが板についてしまっているところがあります。集中力に緩急をつけることは必要ですが、気持ちが内向きにならないように努めていきたいと思います。自分が作ってきた制作環境は、そういう意味では力を発揮するには十分な環境と言えます、それは工房だけではなく、一緒に制作している仲間にも言えることです。読書は西洋美術に関する書籍を引き続き読んでいきます。自分にとっては旧知のことでも、美術史を再確認することは必要と考えるからです。
2025.04.30 Wednesday
4月の最終日になりました。今月を振り返ると、新作に向けた取り組みが佳境を迎え、毎日工房に籠る日々が続きました。今月は30日間ありましたが、工房に出かけた日は全30日で、休むことなく制作に精を出していたことになります。小品を除けば新作は、立体作品4点と平面作品2点で構成していきます。陶彫作品に関しては今月の窯入れは2回あって、これで陶彫作品の焼成は全て完了したはずですが、4点の立体作品を組み合わせてみないと確かなことは分かりません。追加や再度作り直しがあるかもしれず、それは来月の全体調整にかかっています。今月の制作の中心になっていたのは平面作品で、2点のパネルを作り、そこに炙った杉板をコラージュする計画でいます。今月は絵の具による塗装まではいかず、実際に平面作品の平面たる表現が出来上がってくるのは来月です。私は個展の度に新しい試みをしてきましたが、今回は立体と平面双方で世界観を表したいと考えていて、頭の中のイメージの具現化に気分の高揚と不安が交差しています。制作以外では固定資産税の納入や、高価な家電製品の購入がありました。家電製品では長年使ってきた電気マッサージ機や天井に嵌め込んだエアコンの交換があって、貯蓄を切り崩しました。今月は地域の学校運営協議会もあって、ここだけ自分が教職にあった時代との繋がりを感じさせる会議でした。美術館鑑賞では元同僚が出品していた「モダンアート展」(東京都美術館)、スピリチュアリズムに動機をおいた「ヒルマ・アフ・クリント展」(国立近代美術館)、若冲の襖絵が印象的だった「相国寺展」(東京藝術大学美術館)、3隻の屏風による「国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図」展(根津美術館)を見てきました。美術館鑑賞に関しては今月は充実していたと思っています。今月は映画館には行かず、鑑賞としては美術作品だけになりましたが、平日でも多くの鑑賞者がいて、日本人の美術に対する関心の高さが伺えました。読書は西洋美術の学び直しを私はやっていて、近代から現代に至る美術の潮流をもう一度捉えて、現在の自己表現に生かそうとしています。