2013.04.22 Monday
旅行はせず自宅の地下室に籠って創作活動を展開したジョセフ・コーネル。近隣を散策し、書籍を漁ってはあらゆるものを収集し、それによって空想の旅に出ることが、即ち創作行為に結びついていた孤独な造形作家に自分は共感を覚えます。自分は引き籠りではありませんが、それは社会的立場ゆえに人と交わらなければならない仕事があるからであって、本来持っている自分の素質はどんなものか自分でもよく分かっていません。ひょっとして社交的に振舞っているに過ぎないのではないかと思うこともあります。中高生の時代にズル休みをして、ゴロ寝をしながら窓から空に浮かんだ雲の行方を追った記憶があります。他愛のない日常を記憶しているのは何故なのか、自分は内向きに生きたい願望があるのかもしれません。週末を過ごす工房も引き籠りの創作世界に浸っているとも言えます。外部の情報を遮断し、自分の中の想像世界を逞しく育てて、時間や空間を飛び越えていく理想に自分を重ね合わせると、創作の糸口が掴めるような気がします。仕事が始まる月曜日は全てをリセットしなければならず、引き篭りの創造世界から抜け出てこなければ職場に足が向かないのです。二束の草鞋生活で気持ちの転換が上手くできるようになっていますが、時折これは自分に無理を強いているように思えてならないのです。
2013.04.21 Sunday
来週末は家内やスタッフに手伝ってもらいながら「発掘~地殻~」の土台塗装を行う予定です。そのため今日は油絵の具による塗装に備えて準備を行いました。午前中に6点屏風になるボックスの接着作業を終えました。接着部分をクランプで固定した後、裏にホゾ穴を開け、木杭を打ち込みました。釘は使わず全て接着剤とホゾで接合しました。最終的に若干の修整彫りを行って彫刻はこれで決着しました。工房内の作業台をいくつか動かして、床を広く取りました。床にビニールシートを敷き、作品をひとつずつ場所を開けて置きました。基調となる色彩の塗装は一気にやろうと思います。まだ接着剤がしっかりついていない作品は、ウィークディの夜にビニールシートの床に移動する予定です。いよいよ作品は最終工程に入りました。来週末から始まるゴールデンウィークが彫刻から絵画へ移行しての制作になります。ゴールデンウィーク最終日が図録撮影日なので、完成まで秒読み段階に入りました。
2013.04.20 Saturday
これから油絵の具で塗装するまで創作的な仕事はありません。今日と明日の作業は展示をするためにやる作業で、面白味のあるものではありませんが、作品全体が具体的なカタチで出来上がっていくので、それなりに意欲をもって取り組める作業です。厚板に木彫した柱を貼りつけたら相当な重量になり、一人で1点の作品を動かすのが難しいと思いました。それでも裏からホゾを作るのに作品を裏返したり、全体を見るのに工房の壁に立て掛けたり、作品の重さと闘いながら今日一日を過ごしました。作品を複数の人で持ち上げるため手を差し込む場所も作ろうと思います。持ち運びを考えるようになると創作に制限が加わって駄作になると若い頃に人から言われましたが、今まさに持ち運びを考えなければ作品を工房から出すことも出来なくなります。明日も工夫に費やす予定です。
2013.04.19 Friday
昨晩は区単位での管理職の集まりがあり、新たなメンバーを加えて歓迎会を行いました。私たちの職場は不祥事等の新聞報道に多大な影響を受ける職場ゆえに、管理職同士が相談し合える関係作りが必要なのです。お互いの気持ちを出しあうことで、日頃の精神的負担は軽減されると思っています。今晩は職場の歓送迎会でした。今まで難しかった場面で粘り強く運営を支えてくれた離任職員に敬意を払い、積もる話を聞く機会を持ちました。また、今年度から新たに加わった職員とは、今まで通り組織的な対応が図れるように気持ちの共有をしました。勤務時間外のこうした会は不可欠なものです。歓送迎会が毎年ある度に、出会いと別れを噛み締め、新たな一歩を踏み出す時でもあります。また1年間、頑張っていこうと思います。
2013.04.18 Thursday
世界的に認められた芸術家は、作品によって生活経済が豊かになり、またアシスタントも雇えるのだろうと推察しています。彼らは若い頃苦境に立たされた時期があっても、やがてパトロンが現われ、美術館が作品を買い上げて、誰にも憚れず作品を作っていられる身分なのです。現在読んでいる「ジョセフ・コーネル 箱の中のユートピア」(デボラ・ソロモン著 林寿美・太田泰人・近藤学訳 白水社)の中に世界的に認められた芸術家としては考えられない一文があったので抜粋します。「地下室の仕事場が静まりかえることはほとんどなかった。一階上で母親が歩きまわり、鍋釜がガチャガチャと鳴り、彼の衣服を洗濯するあいだ水がシューッと水道管を通って流し台を満たすのが聞こえ、母が忙しく立ち働いているのに自分は無為徒食、芸術家としてどれだけ価値があるのか定かではないのだ、と思い出さずにはいられないのだった。」伝記からすれば些細な描写ですが、自分にはコーネルの妙に生々しい生活が見えて気に留まりました。芸術家である後ろめたさ。コーネルの伝記は自分の感情の機微に触れてきて、今後の読書が楽しみでなりません。