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  • 「コーネルの箱」を読み始める
    「コーネルの箱」(チャールズ・シミック著 柴田元幸訳 文藝春秋)を読み始めました。先日読み終えたジョセフ・コーネルの伝記に引き続いて、自分はまだコーネル・ワールドに浸りたい理由で本書を選びました。本書は図版中心の所謂作品解説集です。代表作が図版で掲載されているのが嬉しい限りです。コーネルの伝記によれば晩年の作品に至るまで、芸術家自身は創作意欲を維持する気構えでやっていたようですが、やはり初期に作られたボックスアートに私は深い詩魂を感じます。1936年の「無題(石鹸の泡セット)」や1942年作の「メディチ・スロットマシーン」に見られる凝縮した小宇宙に憧れさえ抱きます。当時の画商や収集家がコーネルの作品を所有したいと躍起になったことがよく理解できます。例えば自作の「発掘シリーズ」や「構築シリーズ」が箱の中で展開し、持ち運びができるとしたら楽しいだろうなぁとコーネルに託けて勝手な想像をしているうちに、そんなイメージが頭を過ぎりました。コーネル・ワールドは覗き見的な自己表現世界を作って密かな楽しみにしたい自分の欲求に応えてくれる媒体だと思っています。
    「J・コーネル 箱の中のユートピア」読後感
    「ジョセフ・コーネル 箱の中のユートピア」(デボラ・ソロモン著 林寿美・太田泰人・近藤学訳 白水社)を連休中に読み終えました。本書は独特な世界観を持つアメリカ人芸術家の伝記ですが、「箱の中のユートピア」という副題がついています。これは過去の思い出や未来への憧憬を小さな箱の中に閉じ込めた造形作家に相応しい副題だと思いました。ジョセフ・コーネルは自分が想像していた通りの生涯を送っていました。彼は生涯独身であり、家庭環境が及ぼす影響が大きい中で、繊細な魂を持ち続け、キッチュなものから高尚なものまで収集し、それを創造の源として作品を作り続けました。踊り子、女優、鳥、天体等々のアッサンブラージュを使った詩情溢れるボックスアートは、千葉にあるDIC川村記念美術館に何点か所蔵されているので機会があれば見ることが出来ます。自分もボックスアートに大変興味があるので、コーネルの思いを込めた作品にも関心があります。本書を読んでコーネルの創作世界の背景が解りました。ますます好きになるコーネル・ワールドをいつか自分なりに解釈してRECORDで試してみたいと思っています。
    四連休 図録撮影の日
    ゴールデンウィーク後半四連休の最終日となりました。今日は随分前から予定していた図録の撮影日です。毎年この時期に個展のための図録を作ります。昨晩レイアウトを考え、今日の撮影に臨みました。手伝いに来てくれた若いスタッフは男性1人、女性3人の計4人。そこに家内と私を加えて6人で作品の設置を行いました。カメラマンは2人。今日は思いがけず多くの人たちが関わってくれた一日になりました。今回の作品は重量があるため人数的にはちょうどいいと思いました。屏風に陶彫部品をボルトナットで留めるにもテキパキと作業が進み、撮影後の土台の梱包も行いました。自分ひとりでは到底無理と思っていたところだったので、手助けしていただいた有難味を心底感じました。スタッフは全員創作活動を展開している後輩たちで、彼らは公募展やグループ展で作品を発表しています。彼らは油彩、木彫、染織と表現方法はさまざまですが、常に前向きに取り組んでいるため、自分は応援をさせてもらっています。そんな彼らと交流が持てることを幸せと感じた一日でした。
    四連休 撮影前日のあれこれ
    今日は朝から工房にいました。木彫による6点のボックスを連結し、三双屏風に仕立てました。ここにそれぞれ陶彫部品をボルトナットで取り付けます。ボルトが入る穴を数えたら、ボルトナットが足りないことが判明し、慌てて工具店に買いに走りました。前日に気づいて良かったと思いました。今日はそんな最終チェックの日で、早速見落としがあったのでした。明日は若いスタッフ数人が来て、撮影用設置の手伝いをしてくれることになっています。みんなボランティアで参加してくれて申し訳ないと思っていますが、通常お互いを励ましあって制作をしているので、持ちつ持たれつかなぁとも考えています。何しろ一人ではどうにも出来ない作品なのです。撮影に限らず搬入搬出も同様です。人の手を借りなければならないと思っている時に、手伝うことはありませんかと声をかけてくれる後輩に感謝です。新作を前にしてあれこれ動いている時に、ふと自分の掌を見ました。大切な手を労わることもせず、世話しなく動いていた手は絵の具と刃物傷でボロボロでした。眼も疲れています。ようやく辿り着いた明日ですが、全力で闘った作品の前で暫し呆然としていました。
    四連休 益子・笠間へ…
    毎年の恒例行事になっている栃木県益子の陶器市と茨城県笠間の陶炎祭の見物。親友が笠間で陶芸を始めて何年くらいになるでしょうか…。自分たちが彼の地に行き始めたのは、親友がデザイナーから陶芸家に転身するずっと前からなのです。親友が住みついてから必ずこの時期に彼らに会いに行きます。佐藤陶房を経営する佐藤夫妻の奥さんは、家内と中高生の頃からの親友で、東京芸大を出て現在は陶芸一本で暮らしています。グレートーンの渋い釉掛け、微妙な肌合いの器に魅了される人々も多く、自分もその一人です。毎回何点か購入しているおかげで自宅には佐藤陶房の器が揃ってきました。昨年は大雨でしたが、今日は好天に恵まれたため大勢の観光客で賑わっていました。自分が佐藤陶房の店の奥でくつろいでいる間に、商品が見る見る売れていきました。自分も陶彫をやっていく上で益子や笠間の作家に技法上の参考資料を求め、また毎回刺激をもらって帰ってきます。今回は小さな建造物が点在する心象風景を作った陶作品に自分のイメージと繋がるものを感じました。