2013.05.02 Thursday
先月の制作追い込みの大変な時に次なる作品のイメージが浮かびました。これはいつものことで気持ちが追い詰められている時ほど発想が豊かになるのかもしれません。今回は中世のフランドルの画家P・ブリューゲル作「バベルの塔」が発想の源泉となり、崩れた塔を陶彫の集合体で作ろうと思います。まだ雑駁なイメージしか思い浮かびませんが、円錐状に構築された彫刻が頭にあります。大きな円錐をどう作るのか、技巧的な問題は多々ありますが、いつものようにイメージを優先していきたいと思います。P・ブリューゲルは自分が20代の頃にウィーンの美術館で見て以来、頭から離れられない画家になりました。「バベルの塔」はブリューゲル作品群のなかでもとりわけ好きな作品です。そんなことが次作のイメージに結びついたのかもしれません。塔は不完全なまま風景の中に放置されていますが、天に届けとばかりに聳え立った建造物です。旧約聖書によれば崩壊は神の仕業となっていますが、自分は宗教性よりも、より大きな造形空間を得るために欠損した塔を作ることにしました。完璧な完成形には行き場のない窮屈さがあります。発掘された古代の品々は、欠損を補う現代人の想像力が試されると同時に豊かな空間を感じさせてくれるのです。新作の塔も発掘品のような豊かな空間を創出したいと考えています。
2013.05.01 Wednesday
5月になりました。3日からゴールデンウィークの後半四連休が始まり、4日には毎年恒例になった益子・笠間へ友達に会いに行きます。6日には個展図録のための撮影会があります。今年夏に東京銀座で発表する作品がこの日をもって完成するのです。それから先の週末は個展に向けての梱包作業と同時に新作の準備に入ります。毎年5月から来年の5月にかけて1年間で新作に取り組むのが恒例になっています。自分は作品が出来上がると同時に次の作品に入り、作品完成の所謂ケジメとしての休みは取りません。作品制作をちょっと休む時は制作途中で休むようにしています。その方が作品展開をする上で精神的に楽なのです。未完成の作品を常に抱えて未来志向にある時に休みをとれば、休みっ放しにならないという安心感があるのかもしれません。今月は新作のイメージを固めます。すでにイメージはあるのですが…。次なるイメージはいつも制作の最中に湧き上がり、それを頭に留めておくのです。今月は新しい世界に向かって一歩踏み出す1ヶ月です。
2013.04.30 Tuesday
先日、和紙に押印したものを作品に貼りつけてサインの代替としている旨をNOTE(ブログ)に書きました。今年夏に発表する「発掘~地殻~」と「発掘~連築~」の印のデザインをしました。以前NOTE(ブログ)に書いたことがありますが、自分は書道に使う落款とは異なる自由な印を作っています。自分は印を抽象絵画のように考えていて、不思議な記号が登場するミロやクレーの作品に近いものを求めています。使う文字も篆書体や草書体をさらにアレンジして文字の態を成さないものに変えてしまいます。アルファベットも自由に使っています。今回は漢字とアルファベットを組み合わせて、さらに構成化して絵画的な印を作ろうとしています。文字の変形は楽しいと感じます。画面が迷路のようになり、小さな宇宙が生まれてきます。石を彫り、版を押す工程もあり、印はそれだけでひとつの作品に成り得ると思っています。
2013.04.29 Monday
ゴールデンウィーク前半の三連休最終日です。朝6時から工房で三層目となるドリッピングの続きをやっていました。「発掘~地殻~」は畳6枚にそれぞれ木彫による半立体を接着し、油絵の具で支持体を作り、さらに絵の具を撒き散らすドリッピングを施しています。今日は6点全ての側面にドリッピングをしました。片面をやったところで暫し乾くまで時間が出来ました。そこで家内を誘って車で美術館に行くことにしました。東京の町田にある市立国際版画美術館は、町田駅からやや高低差がある所を歩くため、車で行くのがいいと思っていたのです。開催していたのは「空想の建築」展。中世イタリアの画家ピラネージの作品が再見できるので、これは絶対に行こうと決めていました。休日のせいか多少混んでいましたが、じっくりと鑑賞する事が出来ました。感想は機会を改めます。帰宅してから再び工房に出かけ、途中だった作業の続きをやりました。作品の向きを変え、もう一方の片面にドリッピングをしたところで今日は夕方5時で終わりにしました。あとは絵の具が乾くのを待つことにします。ゴールデンウィーク後半の四連休まで3日間あるので絵の具がほどよく乾くのではないかと思っています。最後の仕上げ点検は5月3日の予定です。無我夢中で駆け抜けた三連休でした。その理由はここ一番の踏ん張りが作品の内容を左右すると思っているからです。後半四連休の作業は、料理で言えば最後の胡椒一振りといったところでしょうか。
2013.04.28 Sunday
ゴールデンウィーク前半の三連休中日です。朝から工房で昨日の続きをやっていました。屏風6点には既に一層目の絵の具が施され、今日はその上に二層目となるドリッピングを行いました。ドリッピングは絵の具を滴るのに任せ、または飛び散らせたりして偶然の効果を狙います。米国人画家のJ・ポロックがやったアクション・ペインティングのことで、画面が絵の具による大小の斑点で覆われていきます。幾度となく色彩を変えてドリッピングをやりました。6点の作品を全て床置きにしているせいで、しゃがんだり中腰になったりして筋肉痛がひどくなりました。実は昨日も同じ姿勢で作業をしていたので、昨晩は近隣のスポーツ施設で水泳をしてきたのですが、足腰の痛みはやや残っていて、今日はさらに身体に追い討ちをかける結果になりました。絵の具が撥ねて、身体中絵の具だらけとなり、床はテロにでも襲われたような乱れた状態になってしまいました。今日は夕方5時で終了にしました。筆洗液で身体に飛び散った絵の具を拭き取り、全体を眺め回しました。明日はもう少し冷静になって三層目に入ろうと思います。今日全身全霊を込めたおかげで、明日は午前中で何とかなるかなぁと思っています。