2013.04.07 Sunday
今日は朝から工房で木を彫りました。「発掘~地殻~」の6点屏風の木彫荒彫りが全て終わり、そのうち仕上げ彫りは4点終了しています。来週末に木彫は完成予定です。そこから油絵の具による塗装に入ります。油絵の具を使う段階で、作品は彫刻から絵画領域に入ります。絵の具を散らせ、陶彫部品との対峙または調和を考えながら進めていきます。自分の作品は彫刻と絵画の要素が双方あって成立する作品なので、油絵の具の塗装も最後の重要な工程です。今日はそんなことも念頭に入れながら木を彫り続けました。朝から夕方まで鑿先を見つめ、身体は木屑だらけになりました。床に落とした木屑は毎回ゴミ袋に入れて処理していますが、今までどのくらいの量になっているのか見当もつきません。木屑は彫っている途中や作業の最後に箒で履き寄せますが、大小の木屑を掃除していると不思議に気持ちが落ち着きます。細かな木屑が服にも付着していて、自宅に帰った後、床に小さな木屑が点々と落ちています。完成間近になってようやく木彫のリズムが出来てきました。また来週、リズムに乗って木を彫り続けようと思います。
2013.04.06 Saturday
昨日、職場では新年度の大きなイベントがありました。職場では例年3月初め頃と4月5日に職場全体に関わるイベントがあり、全職員が協力して取り組むのです。そのせいか今日は少々疲れ気味でした。朝から工房で木彫の作業をやっていましたが、夕方4時頃には疲れが出て、暫し呆然とすることがありました。それでも夜は近隣のスポーツ施設に泳ぎに行きました。二束の草鞋生活になって、自宅で何もせずに過ごすことのない自分ですが、今日ばかりはゴロゴロしていたいと思っていました。ところが、朝になってみると無意識に足が工房に向き、いつものように作業を始めている自分に気づきました。夜のスポーツも同じです。難なく作業もスポーツもやってしまうので、これは気分的なもので体調不良ではないと認識しました。自分は気分に左右されることが少なく、決まった時間にコツコツと作業に取り組むのが得意です。作品も一気呵成に作り上げることがなく、労働の蓄積として生まれるものです。今日も疲れていると思いつつ鑿の刃先だけを見つめて過ごしました。明日も同じです。木彫がそろそろ完成に近づいています。明日も頑張ろうと思います。
2013.04.05 Friday
「夢の家ⅩⅩⅩ」は1972年に作られたルイーズ・ニーヴェルスンの彫刻です。先日行ったDIC川村記念美術館「BLACKS展」に展示されていて、とくに印象に残った作品です。箱を積み上げて、その中に様々なモノをアッサンブラージュし、全てを黒く塗装したニーヴェルスンの彫刻は、壁面の大きな部分を占めて存在しています。そうした作品群とは、ちょっと趣を異にしているのが「夢の家ⅩⅩⅩ」で、箱を積み上げたユニットではなく単体で表現された作品です。ニーヴェルスンの作品にしては、比較的小さく縦に長い直方体で上部は切妻屋根になっています。一見すると積木細工のように小さな角度の付いた矩形で覆われていて、土俗的であり未来的でもある住居のようにも見えます。自作と繋がる要素を感じて印象に残りました。自分は表面に矩形が刻まれた碑が大好きで、人々の営みの記憶をそこに見て取るのです。「夢の家ⅩⅩⅩ」からそんな恒久なる歴史に思いを抱いてしまうのです。
2013.04.04 Thursday
先日出かけたDIC川村記念美術館「BLACKS展」に15点もの作品が展示してあったルイーズ・ニーヴェルスンは、自分がかなり前から注目している女流彫刻家です。自作と似ているとすれば、全体に黒い色彩を施して箱型に詰め込んだ半立体の彫刻という外見だけですが、その外見ゆえに自作の展示の仕方に利用できるところが数多くあります。「BLACKS展」では照明を落として、しかも部屋一面を黒い壁にして闇の演出をしていました。そこに黒い作品が置かれ、かすかな照明が当てられた雰囲気は、深遠の中から立ち上がる静謐な宗教性をもったオブジェに見えました。またひとつひとつが棺のようにも見え、生と死を鑑賞者に考えさせる装置であるかのような趣もありました。箱に入れられた部品をよく見ると、椅子の脚を初めとする諸々の用途に使われたもので、そうした廃品を寄せ集めて、彫刻として永遠の命を与えている言わば再生芸術です。廃物を再生させる手段が全てを黒く塗装すること、作品が置かれる場の演出をすること、それにより不可思議な雰囲気が現れ、お馴染みのニーヴェルスンの世界が登場するのです。「私が黒を使うようになったもともとの理由の一つは、形をよりはっきり見せるためでした。黒が一番強く、そして明確であったからです。」とニーヴェルスンは述べています。つまり形を形として認識させるために素材感を消し、色彩を消し去るという訳です。「BLACKS展」でニーヴェルスンのまとまった作品群が見られたことは本当に良かったと思っています。
2013.04.03 Wednesday
表題は画家フランシス・ベーコンによる大作絵画で、図録によると1975年に描かれています。先日、東京国立近代美術館で開催中の「フランシス・ベーコン展」に行き、とくに印象深かった作品です。ベーコン独特の歪められた人物像が複数描かれていて、中央の上部に肖像画が掛けられた室内を描いたものです。複数の人物の関連性は絵画から読み取ることができず、ただ肉体の塊の変容があるに留まっていますが、このデフォルムに自分は生々しい皮膚感を感じ、妙にリアルな錯覚を与えられました。これはベーコンの世界に共通するもので、自分は写実より現実そのものに近い肉体感覚を感じてしまうのです。ベーコンが同性愛者であったことを今回の展覧会で知りましたが、「三つの人物像と肖像画」に見られる男性的な筋骨隆々とした変形人体の表現動機がこんなところにあるように思えます。脊柱が飛び出ている人物は自殺した恋人のジョージ・ダイアであることが資料写真から判ります。ベーコンの独特な感性は実際の作品を見ることで強烈に伝わってきました。かつて雑誌で紹介されていた作品写真では分からなかった凄みが今回の展覧会にあったと思います。