2013.03.13 Wednesday
かつて人が住んでいた建物が残骸として残る廃墟。とりわけ石造建築は残骸さえ美しいと感じるのは万人にあるらしく、その欠落した建造物を多くの画家が描いています。私も時間が経過し蔦が絡まる廃墟に魅了された一人です。廃墟を描いた画家として頭を過るのは18世紀に活躍した牢獄の絵で有名なイタリアの画家ピラネージとドイツ・ロマン派の画家フリードリヒです。ピラネージが1720年~1778年、フリードリヒが1774年~1840年という生存記録が残っていますが、同時代にあっても2人が出会う場面はなかったように思います。あるいはフリードリヒがイタリアの都市景観を描いた年上のピラネージを知っていたかどうか、歴史に疎い自分に詳しいことはわかりません。ピラネージは、日本で版画による大規模な展覧会があった時に知って、その堅牢な画面構成とモノクロによる迫真性に惹かれました。その時ピラネージの廃墟がある風景が頭に刻まれました。自分がフリードリヒを知ったのはピラネージを知った以前に遡り、何かの書籍によるもので彩度を抑えた画面に荒涼とした雰囲気が印象に残りました。「樫の森の僧院」「雪の中の修道院の墓地」「エルデナの廃墟」は、さらに後になって知るところとなり、その卓抜した表現に驚嘆しました。イタリアとドイツ。いつかもう一度彼の地を訪ねて、廃墟による絵画作品を堪能したいと願っています。
2013.03.12 Tuesday
背中の痛みが直ったので、昨晩久しぶりに近隣のスポーツ施設に出かけました。水泳をしてみると腹筋や背筋や腿あたりの筋肉が多少落ちていて、これはまずいなぁと思いました。水の抵抗が重く感じるのは明らかに身体が衰えている証拠です。脚のキックに比べると腕のリカバリは木彫のおかげか相変わらず楽にできています。改めてスポーツを日常生活に組み込んで、これからは週何回か施設に通いたいと思います。身体を保つバロメーターとして自分は水泳でチェックしています。習慣化することで体調を良くしようと考えているのです。スポーツによる疲労は多少ありますが、それよりも体力を保つことの方が重要です。加えて水泳は泳いでいる間、全てを忘れて没頭しているので精神面でも良いと思います。創作行為と同じように定期的に自分を取り戻してリセットする時間でもあるのです。
2013.03.11 Monday
2年前の3月11日に東日本大震災が発生しました。津波被害の映像を見るにつけ、まだまだやりきれない気持ちで一杯になります。一命を落とされた多くの人を思い、14時46分に職場で黙祷を行いました。立場上自分が全館放送を入れました。昨年は日曜日だったので自分は工房にいました。「発掘~混在~」の制作中で、鑿を置いてその場で黙祷しました。FMラジオから穏やかな音楽が流れていました。この日を風化させることは絶対にしてはならないと思います。現在の職場は地域防災拠点と医療拠点に指定されています。館内に防災備蓄庫が設置されていますが、横浜駅に近く、また海抜も高くない職場は、有事の際に様々な困難に直面することがあろうかと思います。先日は地域の人たちと夜の防災訓練を行いました。夜の訓練は初めてのことだそうですが、有事にいつ見舞われるかわからない状況では、こうした取り組みも必要と思いました。
2013.03.10 Sunday
朝から工房で作業に勤しみました。今日は木彫一辺倒ではなく、先日成形を終えて乾燥を待った陶彫部品の追加分があって、その陶彫の化粧掛けと仕上げを行いました。久しぶりに陶彫をやり、夕方窯入れをしました。窯のスイッチを入れてしまうと電力の関係で工房の照明等が使えなくなるので、陶彫を窯に入れたまま、夕方まで木彫の荒彫りを行いました。ということで今日は午前中は陶彫、午後は木彫、工房を出る時に窯のスイッチを入れる3つの工程で締めくくりました。陶彫は窯で焼成されて作品化されます。窯には炎の神がいて、自分の手の届かないところで作品の良し悪しを決める審判が下ります。これは祈祷するより方法がなく、三日三晩の末、神のみぞ知る結果となって自分の前に変容した作品として現れてくるのです。一方、木彫は工程全てにわたって、木と対話を交わしながら彫っていきます。木目を読んで流れに逆らわず彫っていくと美しい彫り跡が残ります。これは木塊には木霊が存在し、森から切り出した木塊を生かすために木霊が指図しているように思えるのです。木塊の中から現れてくるカタチは木質となった自分そのものです。陶彫、木彫とも自然界が齎す不思議な力があるように自分は感じます。差し詰め工房は、炎神と木霊が棲まうところなのかもしれません。
2013.03.09 Saturday
昨日は職場で大きなイベントがありました。昨日の疲れがとれない中で、今日は朝から工房にいて木彫の荒彫りをやっています。今一つ調子が出ないのですが、これは公務員と彫刻家の二足の草鞋生活の辛さです。人は生涯のうち何回大きなイベントを迎えるのでしょうか。誕生、成人、卒業、結婚等々人生の節目をどんな思いで過ごすのでしょうか。個展も自分にとっては大きなイベントです。初めての個展は2006年東京銀座のギャラリーせいほうで開催しましたが、あれから7年が経ち、毎年ギャラリーせいほうで個展をやらせていただいていて、今回で8回目を迎えます。個展には慣れたとはいえ自分にとっては大切なイベントなので精一杯努力して、最高の成果を出したいと思っています。今日は相変わらず木彫の荒彫りに終始しましたが、やや細かい部分に彫りが進んだことで面白みが出てきました。明日も続行です。