2012.12.13 Thursday
世に知られた芸術家がどんな動物と共存し、また作品にどう表現したか、そのランキングがあれば知りたいものです。私見で言えば猫が一番多いのではないかと推察しています。犬や他の動物に比べて、猫は人に媚びる時と我関せずの時の仕草があります。芸術家の人気を集めている所以がそこにあるのかもしれません。人に媚びず唯我独尊というスタンスが芸術家に似ているとも感じます。自分が彫刻を学び始めた頃、東京都立美術館で池田宗弘先生の真鍮による猫の群像彫刻に出会いました。中心に魚の骨が置かれ、それを目指して四方八方から痩せ細った猫が忍び寄る状況を真鍮直付けで表した作品で、猫の骨格だけになったボロボロの姿態が、逆に生きる逞しさを表現していて、私はその作品に一目惚れをしてしまったのでした。最少の量感で最大の表現力。猫の圧倒的な存在感。そこに猫を愛してやまない芸術家の側面を見た気がしました。画家藤田嗣治の描く猫も素晴らしいもので、猫を飼っているからこそわかる猫の仕草や表情が絵から伝わってくるのです。まだ、猫をテーマにしている芸術家はいます。追々感想などを述べていきたいと考えています。
2012.12.12 Wednesday
「私の望みは、私たちを分離させえたあらゆる要素を乗り越え、分離の際に味わった感情、その一部はいまだ収まることを知らないのですが、そうしたもろもろの感情を乗り超えて、そこからは、何人もで一緒に辿った道を何ら苦い思いを感じないで眺められるような、そこからは、一定数の人間ーいつも同じ顔ぶれとはかぎらなかったにしろーをひとつの同じ大義のまわりにこの上ない熱情をもって結集させたものにたいしてなんの低意なしに感謝できるような、そうした平静な地点に到達することだと言えましょう…」現在読んでいる「ブルトン シュルレアリスムを語る」(アンドレ・ブルトン著 稲田三吉・佐山一訳 思潮社)の中で、シュルレアリスムの提唱者であるA・ブルトンがラジオ放送のインタビューに答えて、自分の望みを語った箇所を引用しました。シュルレアリスムは旧態依然とした価値観を壊し、人間の顕在・潜在意識双方に働きかけた芸術文化活動でしたが、それに留まらず政治にも影響を及ぼした大きな運動でした。それを組織するにあたって様々な苦悩があったことがインタビューによって窺えます。ブルトンの望みの吐露はその苦しさを十分物語っていると私は感じました。
2012.12.11 Tuesday
造形作家の故福田繁雄の作品に食器を束ねたオブジェがあります。そこに光を当てるとオブジェの陰影がバイクになるという作品で、だまし絵としての面白さで群を抜いています。タイトルは「ランチはヘルメットをかぶって…」(1987年作)。立体は光をあてると影ができ、それを計算して陰影で見せることに意外性を齎せてくれます。計算するまではいかないにしても自作の「構築~包囲~」と「構築~解放~」はテーブル彫刻として、床に落ちる陰影を展示の演出効果にしました。その時は陰影を造形の一部にする意図はありませんでしたが、今後は陰影を造形要素に取り入れてみたいと思っています。アレキサンダー・カルダーのモビールは浮遊するカタチの陰影が面白かったり、また身近な存在では師匠の池田宗弘のサーカス・シリーズは、細い針金状の造形に細い人体が絡まる作品なので、陰影が大変美しいのです。立体であればこそ楽しめる要素です。デジタル画像に残しても面白いのではないかと思います。うつろいゆく陰影と実材で構築した立体造形。その相反する要素が面白さを醸し出す陰影で表現する作品に、自分には興味関心があるのです。
2012.12.10 Monday
一日1点ずつポストカード大の平面作品を作り続けて、そろそろ7年が経とうかというところに差し掛かっています。全体をRECORD(記録)と称していますが、継続することを第一目的として、且つ表現が深められればいいと思っています。今年は月ごとのテーマを漢字2文字で表しています。「萌芽」「種子」「増殖」「飛翔」「対話」「表層」「束縛」「螺旋」「分離」「嗜好」「文様」ときて、12月は「蘇生」にしました。年初めに萌芽し、いろいろな経過があって年末に蘇生していく1年間を考えました。今年は具象・抽象に関わらずテーマに従ってやっていたので、鳥類や爬虫類、ペットボトルや菓子のパッケージもデフォルメして描きました。例年になく楽しいRECORDで、来年もこのコンセプトを続けていこうかと思っています。「蘇生」は蘇る生命を形態や視点を変えて取り組んでみようと思っています。
2012.12.09 Sunday
今日も朝から工房で制作三昧でした。昨日に引き続き陶彫制作に集中していました。昨日作っておいたタタラで3点の成形をしました。紐作りで補強し、表面に彫り込み加飾用のデッサンを施しました。集中して6時間、これが今日も限界でした。朝9時から午後3時までが作業時間で、その後は集中力は落ちていきます。今日は若いスタッフが3人来ましたが、彼らの集中力も同じでした。今日は特に大きな失敗もなく坦々と作り上げていきましたが、6時間を過ぎると急速に意欲が萎えていくのがわかります。集中力を持続することはやめて、この6時間をどう有効に使うかを考えることにしました。この週末の2日間は制作工程に遅れがあったものの、手順としてはまずまずではなかったかと思いました。明日から仕事帰りに工房に行けるのかどうか、気力が残っていることを期待します。