Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 苦しみの中で掴むカタチ
    自分は彫刻の制作を通して表題のようなテーマを考えましたが、生活全般にわたって苦労が報われる瞬間があると思います。もちろん徒労に終わることもあります。彫刻制作に関して言えば、彫刻を始めた若い頃に比べれば、多少なりとも失敗は少なくなりましたが、最終工程で焼成をする陶彫は試練ばかりで今でも巧くいかない状況があります。陶の性質に合わせると彫刻として不本意なものになったり、逆に心を込めて作ったものが、陶としては無理な造形であったため窯に入れて割れてしまったりして、意欲を維持することが辛い時があります。先日も失敗として処理するかどうか迷う場面がありました。そこを何とか踏みとどまって、陶土の厚みを確認しつつ自分が納得できるカタチに近づける苦しい作業を続けていくうちに、思わぬ新鮮なカタチが現れることもあるのです。苦しみの中で掴むカタチは、自分を追い込むことによって自分の既存イメージを超えていく創作そのものだと感じています。
    週末 陶彫しか見えない時間
    今日も朝から夕方まで陶彫しか見えない時間を過ごしました。若いスタッフが3人来ましたが、それぞれの課題をやっていて密度の濃い時間が流れていました。私の手伝いがない時はスタッフは個々の創作活動に勤しんでいます。私も自分のことに夢中で周囲を見ることもなく、制作に没頭しました。寒くなると陶彫制作は手が荒れます。水も使うので時々手を暖めにストーブの傍に行きますが、それ以外は作業に集中しています。人はどのくらい集中力が保てるのでしょうか。朝9時前に作業を開始して、休みなく続けて午後3時には集中力が落ちてきます。昼食は約15分です。6時間が限界かなぁと若いスタッフと話しました。そのスタッフは現在美大生で、普段大学にはもう少し長く留まっているそうですが、制作の合間に講義があったり、友人とお喋りしたり、構内をブラブラ歩く時間があるので、作業のみというわけではないと言っていました。そこへいくと相原工房は作業のみで6時間中ずっと自分の作品に正対しているわけです。相原工房の無駄のなさ過ぎる環境は大学の工房より厳しいと言えます。これがあってこそ制作工程が進んでいくのです。でも、せっかく若い子たちが来ているのだから、もう少しお茶の時間をとってもいいかなぁと思いました。
    週末 もう12月です。
    月日の経つのは早いもので、もう12月になりました。新作「発掘~地殻~」も「発掘~連築」も陶彫部品の制作は佳境を迎えています。今月どこまで出来るのか、制作工程を睨んでやっていきたいと思います。今月はほとんどの週末が制作に充てられそうです。休日出勤は今のところ入っていません。さらに年末年始に休庁期間があり、まとまった休みが取れるのが何とも嬉しい限りです。具体的な制作目標は見えていませんが、今月も先月以上に作りまくる姿勢を貫こうと思います。先月はウィークディの夜に工房に行って作業をやっていました。今月は毎晩出かけて行こうと思っています。週末は過激に作ります。今日も朝から夜10時まで工房で作業に没頭していました。自宅に食事に帰ると疲れた顔をしているせいか、家内が心配してくれます。再び工房に行くと気持ちが引き締まって、時間を忘れて作業をしてしまいます。覚醒しているのかもしれません。昨晩、陶土を練ってタタラにしておいたのを、午前中成形をして、さらに午後になって彫り込み加飾をしました。夜は土練機を回して菊練りをして、明日の新たな成形のためにタタラを作りました。時計を見ると10時を過ぎていたので引き上げてきました。自分を突き動かしているのは何なのか、力むことなく休むことなく続いている状態は歓迎すべきものなのかなぁと思いつつ、ただ成形では今日も右往左往して、自分のコントロールに逆らう陶土と闘いながら、また妥協しながら進めている次第です。
    猫と共存する夜間制作
    彫刻であれRECORDであれ、猫をテーマとするものがあれば、自宅には猫がウロウロしているのでモデリングやスケッチには最適です。ところが今は猫を作ろうとはしていないので、猫のトラ吉は時として邪魔な存在でもあるのです。仕事から帰った自分は、夕食前の食卓でRECORDを描き始めますが、トラ吉が食卓に飛び乗ってきて私の手に絡みます。RECORDは葉書大の小さな平面作品でアクリルガッシュで仕上げることもあります。絵の具を出しておくとトラ吉はそれを踏んづけていきます。トラ吉の餌は家内が用意し、別の部屋に連れ込むので、私たちの夕食は穏やかにとることが出来ます。そのままトラ吉は別の部屋に閉じ込めてしまうので、食後のRECORD制作はスムースに進みます。就寝前に私はパソコンに向かって、NOTE(ブログ)を書きますが、そこにもトラ吉がやってきてパソコン机に乗ってきます。キーボードの上は歩かせないようにトラ吉を追い払いながら、このNOTE(ブログ)をやっているのです。捨て猫を拾った時から猫と共存する夜間制作になりました。トラ吉は何にでも絡んでいくようなアクティヴな性格で楽しいこともありますが、制作に没頭したい時は厄介なキャラです。ペットと言えども、こちらの都合に合わせてくれないのはトラ吉が精一杯生きている証なのかもしれません。
    陶彫が連なる「発掘~連築~」
    来年の個展に発表する作品は、現在制作中の屏風「発掘~地殻~」に加えて、床置きの「発掘~連築~」を考えています。「発掘~連築~」は過去自分が制作した陶彫の中では、一つひとつの部品が大きく相原工房の窯で焼成するモノとしては最大です。陶彫部品は7体あって、それを連ねて構成します。自分の夢に登場した壁が連なる風景がこの作品のイメージの源泉です。夢に登場した壁はかなり大きく幾何学的なカタチが刻印されていました。壁は錆びた鉄のようでいて硬質でありながら人間臭さが残る素材がイメージされていました。それを鉄そのものではなく陶を使って自分は表現します。夢の中の壁は何かを拒絶するような印象を自分に抱かせました。国家間を分かつ壁もあり、また人を分かつ見えない壁もあります。壁をテーマに選ぶのは意義があるように思えます。今回制作する陶彫作品は視界を遮るほどの大きさはなく、壁としての表現効果は望めませんが、将来は素材を別のものに変えて、実体として壁を作ってみたいと思っています。