2012.11.13 Tuesday
展示空間一面に広げられた物質。小さな単位を点在させることで大きな空間を獲得するインスタレーション。壁に掛けられ、床に置かれ、空中を浮遊するカタチ。言うなれば最少形態を撒いて最大空間を創出させる装置に、自分は今後の自己表現の可能性を感じています。そんなインスタレーションを数々見てきて、自分ならばどんな空間演出ができるだろうと思いを巡らせることがあります。現在制作している集合彫刻は、単位を組み合わせることによって量を獲得しています。集合があるならば拡散があります。拡散彫刻という言い方は変ですが、最少形態で最大空間の試みをやってみたいと思うこの頃です。床や壁に撒き散らした小さな複数形態は、それぞれが主張し合って相互に緊張した空間を作るものと期待しています。自分の集合彫刻は複数形態が主従の関係で組み立てられて、ひとつの大きな量を形成しますが、拡散すれば全ての形態が個々で主張する関係が出来ると思うのです。調和も不調和も併せて空間を創出しうる作品を考案しています。音楽に不協和音が導入されたのは1世紀以上も前ですが、美術にも調和を崩す様々な運動が起こりました。刺激や緊張ある空間解釈が生まれ、それも美術史の中に組み込まれている現状があります。自分も自作によって自己美術史を繋ごうと思っています。
2012.11.12 Monday
現在制作中の「発掘~地殻~」は、屏風として展示することを考えていますが、加えて屏風の前にも床置きの陶彫部品を作ります。壁になる陶彫・木彫部品と床に置かれる陶彫部品を一体化して作品を完成する予定です。自分は壁と床を使って空間を演出する展示は初めてです。床から壁に立ち上がっていく空間の繋ぎとなる陶彫部品も考えていて、近々成形に入ります。床置きの陶彫部品は、以前制作した「発掘~瓦礫~」や「発掘~楼閣~」と同じく配置はその場で考える自由なものです。置く場所によって配置を変える方法は集合彫刻だから出来る方法です。ひとつの作品で壁と床を使う展示方法は新しいものではありません。造形作品に限らずディスプレイやステージデザインでもよく見られます。「発掘~地殻~」は生命体が床を畝って屏風(壁)に這い上がっていくところを作り出そうとしています。また逆に壁から床へ行動範囲を広げようとしているとも取れる表現です。解釈は鑑賞される側に任せますが、旧作にないドラマ性のある世界にしようと思っています。陶彫制作が佳境を迎える中で、表現の拡大を図ったものとして頑張ってみようと思います。
2012.11.11 Sunday
今日は朝から工房にいました。成形から彫り込み加飾へ作業が進み、まさに陶彫制作は佳境を迎えています。今日は若いスタッフ2人が来て各々の制作に励んでいました。夕方になって制作を切り上げるまで休むことなく作業を続けていると、全てを忘れられて浮世離れしていく自分に気づきます。同じ空間に何人いようが時間も空間も自分ひとりになって自問自答しながらやっていくのが創作です。昼食時間がきて、ふと我に返ります。スタッフの一人が、大学の卒業制作をこの工房でやりたいと申し出てきました。テキスタイルはどこでも出来るのであれば工房での制作を認めました。創作に邁進できる空間があるからこそ現在の彫刻が作れる上、若いスタッフにも制作場所を提供できます。工房を出る時に窯入れを行いました。窯出しは3日後になります。今のところ着実に制作サイクルがまわっているように思います。
2012.11.10 Saturday
週末の2日間を全て制作に充てられることは少なく、今日も午後は出勤になりました。午前中は工房に行って制作をしましたが、短い時間の中で集中して作業を行い、少しでも制作工程を先に進められるように頑張りました。二束の草鞋生活では、集中力を高めることは否が応でも訓練ができていて、一気に作品内容の中枢に気持ちを入れ込んで制作を始められるのです。朝9時から昼12時までの3時間で何をどこまでやるのかを決め、心が途切れることなく突き進みました。ただ、こういう日は作品をじっくり眺める余裕がありません。思索もできません。あれこれ考えるには別の日を当てて、時間が限られている日は作業中心でいくのが得策です。とりあえず作る、作った陶彫部品をどう組み込むかは時間がある時に考える、そんな按配で3時間を過ごしました。明日は時間が取れるので、じっくり考えつつ制作を進めたいと思います。
2012.11.09 Friday
スポーツにはトレーニングがつきものですが、創作行為や物事の発想にもトレーニングが必要だと感じます。創作における日々のトレーニングは、イメージ力を高めると確信しています。私の場合のトレーニングはRECORDで、一日1点の小さな作品制作によって常に創作と向かい合う状況を作っています。週末ごとに工房に行って彫刻制作をしているのも次に繋がるイメージが出易い状況を作っていると思います。造形イメージは制作を続けている工程で湧き上がってくることが多く、創作に関わっていない中でイメージをもつのは困難です。若い頃、制作したくても出来なかった時期に、何をどのように作るか具体的な画像が見えませんでした。エーゲ海沿岸の遺跡、陶芸の地肌、丘陵のパノラマ、砂埃立つ大地、出土品の数々、これらを思い浮かべても作品の具現化に繋がらなかったのでした。まず油絵を描き始め、陶技法を模索するという行動に出たおかげで、イメージが固まってきました。砂マチエールを駆使した油絵の具で大地を表し、そこに陶彫による出土された都市を配置するべくカタチは象徴化・抽象化の傾向に発展し、現在の造形イメージが登場してきました。そこから日々のイメージトレーニングが始まっています。どんなことから始めてもいいのではないか、ともかく作る行動を起こせばイメージが湧いてくると思っています。