2012.04.12 Thursday
ドイツ人画家ジョージ・グロッスの生涯を論じた書物を読んでいると、ダダイズムについて自分の知識の乏しさが浮かび上がります。ダダイズムは既成の芸術を壊した運動としか自分は理解していませんでしたが、それを言うなら印象派でも表現主義でも既成に囚われない芸術概念を作り上げたところは同じです。ダダイズムは反芸術とも微妙に異なることもグロッスの書物から知りました。ダダイズムは政治色が強く反戦主義を掲げ、ダダイストたちは共産党にも入党しています。どんな時代でも現実を見据えた芸術運動が生まれていますが、ダダイズムはまさに大きな戦争の狭間に生まれた辛辣な社会風刺をテーマにしたものであると言えます。ダダイズムは長く続く芸術運動ではなかったようですが、その目的とするところを考えればそれも頷けます。歴史的に長く支持されたシュルレアリスムの源泉がここにあったように感じます。
2012.04.11 Wednesday
先週末「発掘~混在~」の制作で砂マチエールに油絵の具を染み込ませた際、絵の具が手に付着しました。工房を出るときには、ブラシクリーナーを使って手を洗ったのですが、爪のところに付着した絵の具が残ってしまい、今だ汚れが取れません。職場で女性職員から指摘されて恥ずかしい思いをしながら、これは油絵の具です、と弁解しました。カッコいいですねぇ、絵を描いていらっしゃるのですか、と問われて、週末には作品を作っています、と答えました。スーツを着ているのに職人のような手で出勤している自分は、他人からどう見えているのでしょうか。陶土を扱っている時は手がガサガサになり、木材を扱っている時は手が棘で傷だらけ、砂マチエールを扱っている時は手がベトベト、そして油絵の具を扱っている時は少量の絵の具が付着したまま、それら全てが自作の制作工程で起こる困ったことです。おまけにスタッフを巻き込んで作る作品とはどんなものなのか、スタッフは若い女性が多いので申し訳ないと胸中で思いながら手伝ってもらっている次第です。
2012.04.10 Tuesday
木材は美しい素材です。木目の美しさに惚れ惚れすることがありますが、自分の造形は木目が邪魔になります。工芸品として木目を最大に生かしたものは身近に置きたいと思うほど木材好きな自分が、自作では木質を否定しています。自然が生んだものを敢えて突き放し、素材を変容させ、木材らしくないものにしてしまうのです。木材には個性があります。石材も同じですが、木らしさ石らしさは日本的な美意識の中で大切にされてきました。自分の造形における素材は無個性でありたいと考えているのです。木目や石目を読み取って造形する作家が多い中で、自分は否定的な立場を取っています。木らしさを捨てて木で表現する、土らしさを捨てて土で表現する、そうした行為に走る自分の思索を巧く言い表せませんが、素材に頼らず自立できる強固な造形を目指していることだけは確かです。
2012.04.09 Monday
4月のRECORDのテーマは「飛翔」にしました。年度が変わり、新しい出会いがある4月に相応しいテーマを探していたところ、鳥が羽ばたく様子を見て「飛翔」がいいと思いました。空中を何かが飛ぶテーマを自分は今までに扱ったことがなく、宙に颯爽と舞う表現を突き詰めていければと考えます。でも翼は飛行機にしろ鳥にしろ美しいと感じます。翼のバリエーションを描くのも楽しいし、また飛翔する想像上の生命体を描くのもいいなぁと思っています。大地にどっしり根ざす作品が多いなかで、重力を感じさせない表現にも関心を持って取り組みたいと思います。これを立体表現に出来ればいいのですが…。今月は楽しみながらRECORDを作っていきます。
2012.04.08 Sunday
昨日は油性塗料によって塗装をしました。引き続き今日はスタッフに手伝ってもらいながら油絵の具による塗装に切り替えました。砂マチエールに油絵の具を染み込ませる方法は久しぶりです。今日は半分程度しか終わりませんでしたが、来週末には油絵の具による下塗りを完成させてドリッピングを行いたいと思っています。油絵の具は硬化するのに時間がかかります。油絵の具が乾くまでの時間を使って、新作「発掘~場~」の土台作りに入る計画でいます。「発掘~場~」は5月の連休中に制作が終われば、何とか図録撮影に間に合うのではないかと考えます。来週末は休日出勤が一日予定されているのが苦しいところですが、新しい年度が始まったばかりなので仕方がないのです。今月はウィークディも週末も密度の濃い時間を過ごしています。身体に気遣いながら頑張りたいと思います。