2011.12.09 Friday
通勤途中に読んでいる「ゴーギャン オヴィリ 一野蛮人の記録」(ゴーギャン著 岡谷公二訳 みすず書房)にある「ノア・ノア」は、ゴーギャンがタヒチ滞在の回想を綴ったもので、詩情溢れる文章です。ゴーギャンがタヒチの民族を受け入れ、また周囲からも受け入れられていく過程に興味を覚えました。そこから西欧の文明人が南海の島に出かけていき、そこで彼らと混じって漁に出かけたり、彫刻のための木を切り倒して運んだりという原始的で豊かな生活がイメージ出来ます。「私の前をゆく彼の動物のようにしなやかな体は、魅力的な輪郭を持ち、性を感じさせなかった。この若さから、周囲の自然とのこの全き調和から、芸術家としての私の心を魅する美が、香り『ノア・ノア』が生まれていた。単純なものと複雑なものとが互に牽かれあう気持ちから生まれた、この堅固な友情から、私のうちに恋情が花ひらいた。」という箇所で、若い青年に対する性を超えた感情が芽生え、ゴーギャンは不思議な恋情に憑かれてしまいます。「私は罪の予感、見知らぬものに対する欲望、悪のめざめのごときものを感じた。」と続き、やがて平静な我に返るくだりがあります。まさに芸術的なインスピレーションを与えてくれたタヒチでの生活が、その後のゴーギャンを憑き動かしていくのだと思いました。
2011.12.08 Thursday
「ゴーギャン オヴィリ 一野蛮人の記録」(ゴーギャン著 ダニエル・ゲラン編 岡谷公二訳 みすず書房)を通勤の途中に読んでいます。同書の中に「ノア・ノア」という章があって、その美しく香しい情景描写に没頭してしまいました。「ノア・ノア」を書き下ろした当時、ゴーギャンは友人の詩人に原稿を委ねたそうです。1893年頃の話で「ノア・ノア」に友人の詩人がかなり手を入れて共著として出版したようですが、もとの風味が損なわれていたことで、ゴーギャンは大変残念な思いをしたことが本書の前述にありました。いろいろな事情があって、初稿の「ノア・ノア」が復刻されて世に出たのはやっと1966年頃というので、ゴーギャンは既に他界していてこの事実を知りません。ここに掲載されている「ノア・ノア」はダニエル・ゲラン編によるもので、ゲラン氏自身が「(詩人の手を加えたものは)当初のものよりはるかに真実味の薄い、誇張されたもの」と述べているので、初稿の風味を生かしたものであろうと思われます。「ノア・ノア」の感想については別の機会にしますが、眼の前にタヒチの情景が広がる詩情溢れる文章に魅了されました。
2011.12.07 Wednesday
自分は昔から書物が大好きです。本の虫と言うわけではないけれど、常に書物を携帯しています。書物は扉を開くと無限な世界が広がっている感じがしています。それは映像のような視覚的イメージが限定されない世界で、自分勝手に想像できるところが良いと思っています。今読んでいるゴーギャンの著作は、画家が住んだタヒチが描かれていています。自分はタヒチには行ったことがありませんが、自分の中でタヒチの情景を作り上げていて、そこで生活するゴーギャンをイメージしているのです。タヒチの情景は、ゴーギャンの絵画から受けたものを自分なりにアレンジしているのです。ゴーギャンは自画像が残っているので、その人物が異文化の中で創作活動をしている様子を頭に思い浮かべています。書物の魅力はイメージ力を鍛え上げ、複雑に絡み合った語彙によって思索を提供してくれることだと考えます。小説も好きですが、やはり自分の読書癖はノンフィクションばかりで、架空のドラマはあまり読んでいません。ましてやテレビや映画になったものはほとんど読みません。イメージが予め作られていることを避けたいのです。書物は自分にとって心の友です。月並みな言い方ですが、通勤時間に友と密会しているように感じています。
2011.12.06 Tuesday
昨晩と今晩は工房に行って新作屏風の木彫部分の制作をしていました。職場から帰宅した後、工房に出かけているのでアフターセブンといったところでしょうか。アフターセブンが毎晩できればいいのですが、疲労のため意欲が湧かない日もあります。RECORDやこのNOTE(ブログ)のように習慣にするのは無理かもしれません。ただ、工房に来ると気分が高まって心地よくなってきます。周囲は暗くなって蛍光灯だけが煌々としています。そんな中で制作に没頭するのもいいものです。電動工具を使った木彫は音が出るので近隣に迷惑がかかる可能性があります。工房は植木畑にありますが、夜は静かな地域なのでそこだけが心配です。またアフターセブンができる日があるでしょうか。たかだか2時間程度ですが、されど2時間で作業はかなり捗るのです。作業を長い時間やっていられる週末より密度の濃い時間を過ごせます。帰宅しても気力が残っていれば、アフターセブンを再びやっていきたいと考えています。
2011.12.05 Monday
幾何抽象をベースにやってきたRECORDも今月が最後のシーズンになりました。パターンが限られた中で画面を作っていくのはなかなか難しく手枷足枷もここまでくると雁字搦めの状態になっています。やっと最後の1ヶ月がきて、ちょっとホッとしている感じは拭えません。今月は小さな正方形を碁盤の目のように並べた画面を作りました。過去にあったかもしれませんが、前述した通り展開の幅が少ないので、今月はこれでやっていきます。正方形をいくつか歪めて、整然と並んだ画面に変化をつけました。RECORDは一日1点ずつ仕上げていくノルマを自分に課しているので、その日の気分によって思わぬ効果を齎す作品ができたり、また苦労したわりには駄目だったりします。幾何形態を扱っていても心の変化が表れてしまうのです。継続することを目標として、今後も頑張っていこうと思います。