2011.11.24 Thursday
職場に「Survivalism~70億人の生存意思~」(GENERATION TIMES編 ダイヤモンド社)が贈られてきました。美しい写真とわかりやすい解説が満載された書物です。普段は窮屈な近視眼的な社会で仕事をしている自分にとって、地球規模の大きな視点を与えてくれる楽しめる一冊です。自然環境に影響を受けて、太古から現在までさまざまな生活のカタチを作り上げ、大地に適応した暮らしをしてきた私たち人類。私たちの祖先は衣・食・住の確保のために道具を発明し、技術を伝承し、代々受け継がれた財産で今の暮らしを営んできました。とくに本書で自分が注目したのは家のカタチです。「私たち人類の生存のしるし」として文面に謳われていた家は、建築素材から工法に至るまで、その土地の気候風土と密接な関係をもっています。写真を見ていると、実際その場に行って、この眼で確かめてみたい欲求に駆られます。暮らしと密着した造形物の中で、家ほど人間の生存実態を示すものはないと思います。しかも何という美しい空間造形なのでしょう。構造と装飾の魅惑に富んだ世界各国の「生存のしるし」を見てみたいと願ってやみません。
2011.11.23 Wednesday
祝日法では「勤労を尊び、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」日と言うのが勤労感謝の日です。だから今日は通常の勤務を要さない日ですが、職場ではやらなくてはならない仕事を抱えて休みが取れない職員が結構います。私は今日は休みを取りました。ただし、創作活動は休むわけにはいかず、朝から工房にいました。陶彫の彫り込みや小さめの木彫をやっていました。週の途中に創作活動ができる日があると調子が出てきます。先週末から2日おいて作業が出来ると作品の思考に継続性が出てくるからです。日頃、朝から晩まで働いている自分に創作活動という褒美を与えていると考え、今日は思う存分作業をしました。創作活動は遊びの要素があって、自分にとって彫刻制作は労働ではありません。趣味というには気楽な要素はまるで無く、むしろ命をすり減らすことが多いので、それは労働以上に厳しいもので、趣味とは別のモノと考えています。勤労感謝の日に寄せて、そんなことを思いました。
2011.11.22 Tuesday
フランスの作家・劇作家のジャン・ジュネの著作を通勤途中に読んでいます。ジュネは若い頃から放浪や犯罪を繰り返し、投獄されていた時期があります。表題の「犯罪少年」は、当時の刑務所暮らしとそこで培った自己価値観を振り返って思索を交えながら描いています。この原稿はフランスのラジオで放映されるものだったらしく、内容が拒まれたので活字として公開したものだと前書きがありました。社会通念やモラルの虚飾を取り除く意図、あるいは意図しないまでもそうしたジュネの感覚は、危ういコトバを孕んでいて、ともすれば犯罪における美辞麗句とも取られかねない表現があります。人間の根源に潜む本当の意味での存在意義や尊厳を求めるために書かれた「犯罪少年」は、ジュネの描写における心理や思索、詩情を読み取り、また理解をしながらじっくり読んでいきたいと思っています。
2011.11.21 Monday
公務に追われ余裕のない日常を送っています。頭の中は来年度の人事計画のことでいっぱいですが、そういう時は週末以外には彫刻のイメージは出ないものと思っていました。ところが通勤時間帯にぼんやり立体的なイメージが見えて驚きました。現実逃避かなと思いつつ、昼間の仕事には腰が座ってきたので、仕事のやり繰りに負けているわけではないと思っています。こうしたイメージはどこからやってくるのでしょうか。また、どんな時にイメージが浮かぶのでしょうか。多忙な時ほどイメージが豊富に湧いてくる不思議さを、実は今までも経験したことがあるのです。時間がない時ほど作業が進む、イメージがまとまりやすい、これは自分の心理状態と無縁ではないはずです。イメージが湧く時、自分が置かれている状況はどんなものか、決して暇を持て余している状態ではなく、むしろ山積する仕事に立ち向かっている時にこそイメージが脳裏を過ります。夜の帳が下りるのを待たなくても、仕事の最中にほんの数秒で我に返れる時があるというのは何とも不思議です。
2011.11.20 Sunday
休日があっという間に過ぎていく感覚をもつのは自分だけではないと思いますが、自分は週末2日間でやるべきことが多い一人であることは間違いないと思っています。公務員と彫刻家。二束の草鞋を履いている者の宿命ですが、彫刻に勤しむ週末は、あっという間に時が経ってしまいます。今日は工房に朝から夕方までいました。陶紋の彫り込み、新作屏風の木彫部分の準備、RECORDの彩色等あれやこれやとやっているうちに日暮れになりました。何かひとつの制作に集中しているなら一日の充実を感じることができますが、今日のように雑多な作業をしている時は一日の達成感がないのです。何もせず一日が終わった感じがしています。よくよく考えれば必要なことばかりですが、週末の時間は矢の如く短いと思っています。明日からウィークディが始まり、それはそれでマネジメント力が問われる仕事が待っています。公務員と彫刻家。二束の草鞋がいつまで続くか、そんなことも念頭に入れながら、今この時間を過ごしています。