Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 屏風と襖絵
    日本画の表現媒体である屏風と襖絵。日本家屋の中で室内を装飾する重要な要素です。屏風は空間を仕切る衝立として用途があって、しかも折り畳めて仕舞いこむことができます。狭い空間を巧みに利用した素晴らしい発明品だと思います。屏風は画面の折れ目に立体的な空間の解釈が成り立ちます。自分が魅かれるところはここです。現代の空間にも現代生活に合った屏風の表現があってもいいと思います。襖絵は部屋を仕切ると言う意味で、やはり魅かれる表現です。襖を開けると、その向こうにまた別の世界が現れて、まるでドラマに誘い込むように様々な世界を描いては部屋の雰囲気を変えていきます。そしてこの世界はやがて庭園に続くように意図されています。襖絵は固定された構えを見せ、一方の屏風は可動式の出店のように展覧される媒体です。多くの人を呼び込む襖絵と多くの人のもとに出かけていく屏風。この2つの表現が自分は気になり出していて、いづれ自分なりの方法で試してみたいと思っています。
    横浜の「田渕俊夫展」
    同じ日本画家と言えど加山又造と田渕俊夫はまるで異なる個性を持った大家と言えます。同じ水墨画でも加山芸術が岩肌に打ちつける波濤のような華麗さがあると思えば、田渕芸術は静寂な森林や草原に爽やかな風を送る微細な世界観があります。しかも墨の濃淡だけで表現された鬱蒼と繁る木々の美しさ。いつぞやのテレビで紹介された投影機材を使った構図に、墨のひと筆ひと筆を丹念に入れていく気が遠くなるような作業。そうした描写の蓄積が、やがて大きな世界を作り、画面から潤んだ空気が流れ出してくるような味わいがあります。「田渕俊夫展」は横浜のデパートで開催されていますが、会場に一歩踏み込むとデパートの喧騒は忘れて、智積院講堂の襖に収まる予定のきりりとした世界が立ち現れて心が洗われます。以前から屏風には注目してきましたが、今回の展覧会で襖絵の面白さにも心が動かされました。
    東京の「加山又造展」
    時を同じくして日本画の大家2人が個展を開催しています。2人とは加山又造と田渕俊夫です。まず今日は東京六本木の国立新美術館でやっている「加山又造展」の感想を書きます。加山又造は日本画の画壇で三山(東山・平山・加山)と言われるように有名な大家の一人で、ともかく幅広い分野で活躍した人という印象を持っています。個展の会場もかなり人が多く、大勢の人に支持されてきたように思いました。初期の動物を象徴化した作品は、まだ混沌とした迷いのようなものがあって、全体的に鬱々とした暗い感じを持ちました。画面に金銀を施したうねる波や月や花々が登場する大きな屏風になって装飾的で華麗な作風が確立し、そこから怒涛の如く幅広い表現が現れて、いよいよ加山芸術が花開いたように思いました。絢爛たる色彩表現から一転して水墨画へ変わっていっても、墨の色に色彩が宿っているように思えます。むしろ墨一色の方が深く潤んだ色を湛えているように感じました。全体を回覧してみると画面構成が巧みな人だなあという印象を強くしました。個人的には屏風という媒体に興味が出て、自分の表現にも応用できないかと思案しています。文様を屏風にすると視点に傾斜がかかり立体的に見えるのが新鮮でした。
    窯の業者との打合せ
    今日は朝早くから制作に取り掛かりました。午後から自宅に陶芸窯の業者がやってくるので、今日の制作予定を午前中にクリアしなければなりません。時間は勢いよく過ぎていきました。午前中の4時間が10数分のように感じました。午後は業者がやってきて今年新たに購入予定の窯について打合せを持ちました。窯は電気窯を使っていますが、今度購入する予定の15キロ程度の窯も電気です。自分は登り窯で焚いた経験がありません。横浜では登り窯は無理だと思っているからです。まず薪が手に入らないし、街中で許可が出るかどうかもわかりません。修練も必要なため、自分はついに登り窯に縁がないかもしれません。だから本当の焼成の面白み、醍醐味は知らないと感じています。さらに自分の陶彫は釉がけをしないので、焼成によって窯変する釉薬の楽しさもわかりません。今のところ自分は陶芸家ではないと決めているところがあって、彫塑のカタチを焼き締めて固めるくらいにしか陶芸を捉えていないのです。でも、今の公務員を退職して時間が出来たら、陶芸の面白さを満喫しようと思って、新たな窯を手に入れようと思い立ったわけです。
    貴重な週末の制作
    3月22日に夏の個展用の作品撮影をすることになりました。また図録を準備する予定です。撮影する作品は1月に横浜のグループ展に出品した「構築〜起源〜」と現在制作中の陶彫作品です。タイムリミットが設定されたので、陶彫作品の完成までのスケジュールを立てることにしました。だいたいの目安はあったのですが、具体的なことが決まると時間があまりに少ないことがわかり、ちょっと慌てています。週末は貴重な制作時間です。とは言え一日10数時間も集中力がもたないので、自分のバイオリズムを考えつつ午前中3時間、午後4時間を制作にあてています。制作が終わるとグッタリしてしまいます。今日は陶彫が置かれる土台の彫りをやりました。土台は木の板材を使っていますが、レリーフ状に格子文様を彫り込んでいます。格子が波打つように僅かに傾斜を加えました。明日も継続です。明日は朝早くから取り掛かる予定です。                        Yutaka Aihara.com