Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 「礒江毅 グスタボ イソエ」展
    先日、東京練馬にある区美術館で表題の展覧会を見てきました。礒江毅は2007年に53歳で世を去った夭逝の画家です。礒江毅は1954年生まれ、私は1956年生まれですからほとんど同世代なので、自分としては人事ではなく心中は穏やかではありません。去年展覧会を見に行った鴨居玲や有元利夫も夭逝した画家で、何か共通したものを探してしまうのは私だけなのでしょうか。共通していると言えば比較的若いうちにスタイルを確立し、それが世に認められ、ひとつの頂点を形成してしまうことかもしれません。これ以上何をすればいいのだろうと鑑賞者に思わせるほど完成した画業をもっていて、それは己を突き詰めた結果として得られる世界なのです。礒江毅の絵も、写実に関しては全体から細部に至るまで気が抜けないほど描写に長けた一種の凄みが表れています。描ききった存在感。それは絵の具の存在が消え、描写する行為も消え、実在そのものに迫るものです。ヨーロッパの伝統描写を踏まえながら、そこに自己の世界観を確立した日本人画家。スペインで評価されたのもよくわかります。画面構成に日本人らしい肌理の細かさと大胆な省略があって大変心地よい画風になっていました。
    「彫刻家エル・アナツイのアフリカ」展
    先日、夏季休暇を頂いて表題の展覧会を埼玉県立近代美術館に見に行きました。大きなポスターが葉山の神奈川県立近代美術館にも貼ってありましたが、機会を逃したため埼玉県に出かけたのでした。現代アフリカ美術に疎い自分は、アナツイの世界観を知るまではそれほど興味を持っていたわけではありませんでした。アフリカの土俗的な仮面や伝統的な木彫に興味関心はあっても、現代となるとどんなものか見当もつかないのでした。実際にアナツイの作品に触れて、現代アフリカ美術の見方は大きく変わりました。外資による物質に溢れ、その廃品を器用に再生するアナツイは、現代アフリカ社会を象徴しているように思えます。屑鉄を小さくカットして銅線で繋ぎとめ、その夥しいユニットで巨大な壁を出現させる手法に暫く眼を奪われました。廃品は美しくもありました。アフリカの息づく街が匂いたつような作品でした。環境によって作品の在り方が特徴づけられるならば、現代日本を象徴するものは何だろうと思わないではいられない展覧会でした。
    「新宿中村屋 相馬黒光」を読んで
    表題の書籍を自分としては短時間で読むことができました。彫刻家荻原守衛との関わりでしか知らなかった相馬黒光でしたが、彼女の生涯や生きた時代のことを考えると、荻原守衛との関係はほんのひとコマに過ぎないと思えます。相馬(旧姓 星)黒光(良)は仙台の没落士族の娘で、長野県穂高の相馬家に嫁ぎ、さらに夫の相馬愛蔵とともに東京に出てきて中村屋を創建した人物です。商才に恵まれていて、芸術家や学者と付き合い、亡命者や被差別者を庇護しました。当時の女性としては革新的、行動的な姿勢を持ち、ともすれば高飛車な言動や戦争協力をしたとして酷評もされていたようです。彼女は思想で動くというよりは、心情で動くタイプで、それ故誤解も生じたのだろうと思います。何はともあれ現代から見ても魅力的な人物であったことに異論はありません。明治から大正に移る時代に気骨のある生涯を終えた相馬黒光。今夏は何か日本のものを学びたいと考えておりましたが、相馬黒光の人生から見えた時代の動向を知ることになりました。もう少し掘り下げて見たい気もしています。当時を生きた人物をまた探してみたいと思います。
    11‘個展のお礼状
    今年の個展のお礼状の印刷をしました。もう個展から1ヶ月が過ぎています。懐かしい人が来てくれたことを嬉しく思います。今回はご無沙汰していた方々に会えて積もる話が出来ました。芸術家を目指す若い人たちが多く来てくれたのが今年の傾向でした。職場の人たちも来てくれました。普段仕事をしている人たちと、こうした環境で会っていると別の交流があって楽しく感じます。人の付き合いは仕事だけではないとつくづく思います。ギャラリーせいほうは企画展専門の画廊なので作品売買が根底にありますが、それでもやはり知人友人が駆けつけてくれるのは有難い限りです。お礼状は「構築~解放~」の解体している部分の写真を使っています。これをお礼状にするにあたり意外性があって面白いと判断しました。今回お礼状を郵送できない方々には恐縮ですが、この文面をもって感謝の言葉に変えさせていただきます。有難うございました。
    HPリューアル打ち合わせ
    図録からホームページに至るまで、ずっと作品や作品を取り巻く状況を撮影し続けているカメラマンやアートディレクターと今日打ち合わせを持ちました。ホームページのリニューアルは以前から話題にしていましたが、これから少しずつやっていくことになり、その工程を考えました。ホームページは24時間オープンのWebギャラリーとして重要な役割があります。とくに組み立てを必要とする集合彫刻では、本物を見せられない分、作品の全貌を確認できるホームページは無くてはならないものになっています。ホームページはただ作品を撮影するに留まらず、映像を充分に生かした世界も展開できます。野外に作品を置き、風景の中で作品が発する力を画像化することが可能です。今年の個展に使ったDMも青空の下で作品の陰影を生かしたものになっています。そうした環境芸術になりうる世界を、今後ホームページで発信できたらと思っています。