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  • 8月になって…
    8月になりました。2日ずつ2回に分けて夏季休暇をいただくことにしました。管理職という立場で言うと長い休みがなかなか取れません。それでも長野県に彫刻家池田宗弘先生を訪ね、茨城県に陶芸家佐藤和美さんを訪ねていきたいと思います。京都にいる版画家渡辺聖仁さんも訪ねたいところですが、今夏は時間が取れなくて機会を改めることにします。毎年旧交を温めるために長野県、茨城県、京都府に出かけていますが、なかなか予定が合わず、8月も慌しく過ぎていくような気がしています。制作はどのくらい出来るのでしょうか。可能ならば平日夕方に工房に行きたいと考えています。一般職でいた時のほうが思い切り休暇を取って制作に没頭出来ていました。その時の作業と同じだけ作業をしたいと今月は考えています。そのために自分の工房を作ったのです。出来るかどうか試したいと思います。今日の夕方から早速工房に行って作業をしてきました。新作の全体像がある程度見えるところまで制作するのが今月の目標です。昼間の仕事が多少減る今月だからこそ制作のノルマを自分に課したいと思います。
    週末 加飾に明け暮れる
    昨日成形したドーム型陶彫部品に今日は朝から加飾を行いました。彫り込みを入れたり、穴を空けたりする作業をやっていると、これが作品化する上で一番面白みがある作業ではないかと思えます。生乾きの陶土の上に針でカタチを描き、鉄ベラや掻き出しベラで凹凸をつけていきます。小さな木ベラで表面を整理し、乾燥した後でヤスリをかけます。成形が立体的な作業だとすれば、今日の作業は平面的な作業です。立体の中に凹凸の浮き彫りがバランスよくおさまれば心地よい陶彫になります。立体と平面は分離したものではなく作品の中に一体化され、さらに一つの部品として大きな世界の中で、在るべきものが在るべきところに在るという成り立ちを感じれば集合彫刻として成功をするわけです。木を見て森を見ず、森を見て木を見ず、にならぬように細部に注意を払いながら、それが大きな世界を形成する要素として役割を与えていくのです。実際の部分に関わる作業は、まだ全体を考えず当初のイメージによるエスキースを信じてやっていますが、部品が出来上がってくるに従って全体を考慮しなければならなくなります。今日の作業はまだまだ部分でしかありませんが、これが今年の冬頃には全体の中でどんな位置を占めるのか見えてきます。加飾に明け暮れた一日でしたが、こうした労働の蓄積がやがて大きな世界に結びつくと信じてやっていました。
    週末 ドーム型陶彫部品
    朝から工房に籠もって制作三昧の一日です。夕方に休日勤務が控えていたものの制作は心地よく進みました。新作はボックスアートになる予定で、箱の中に様々なカタチを封じ込めています。先日まで擂り鉢型のカタチを成形していました。これが一応完成し、乾燥の段階に入っています。今日はちょうど擂り鉢型の逆になる半球形の成形に入りました。いわばドーム型です。陶土が柔らかいうちは一気呵成に作れないので、乾燥具合を見ながら成形を行いました。今日のところはここまでと判断し、明日また成形を継続します。ちょうど使用している陶土も無くなってきたので、午後から土錬機を回し、陶土のブレンドに入りました。60キロほど作ってビニールで包み込みました。今日は天候不順な一日で、雨が降ったり止んだりで、夕方職場に出向いた時は大雨警報が出ていました。上から下までびっしょりになって帰宅しました。
    11‘恩師からの手紙
    もう80歳になろうかという恩師が毎年銀座まで個展を見に来てくれます。文筆家の笠原実先生で、横浜ゆかりの文学に関する著作も出しています。自分は仕事の関係でずっとギャラリーにいられないため、毎回手紙による批評を頂いています。「自分の中から必然として生まれる造形を大切にしているご様子、そのとおりだと思います。『生まれる』から『生む』の方向でしょうか。『構築~楼閣~』に貴君の原風景を見るような印象を受けました。渾沌とした現実から多様な欲望が楼閣となって推積し増殖し、それらと競い合うように未来を構築しようとする意志が、放射状に伸長する造形に、貴君の現時点での創作意欲を垣間見る思いでした。『陶紋』が面白い作品でした。その折々の人間の心象風景がうかがえるようで楽しい時間をいただきました。」過大な評価を頂きましたが、確かに原風景を探し求めている自分がいるのです。自分とは何かを常に問いかけていて、無理をせず、背伸びをせず、自分の生きた証を素直に表現できるモノが造形できたら幸せと思います。また、明日から新作に立ち向かい、原風景を求める旅を続けます。
    「濱田庄司スタイル」展
    先日、自分の個展の最終日にギャラリーが開く時間より少々早く汐留に行き、表題の展覧会を見てきました。陶芸家濱田庄司は馴染みのある作家です。毎年栃木県益子の陶器市を訪れているので、そこに居を構えた巨匠の姿は、大変身近かで親しみが持てるのです。益子参考館は何度となく訪れた場所で、館内の土間でコーヒーを飲んだこともあります。濱田の作る褐色を基調にした厚手の陶器は、ざっくりして温かみのある器です。かけ流す釉薬はモダンで、まるで抽象絵画のようです。こんな器を作っていたら、自分さえもこの器に野趣あふれる料理を盛って客人をもてなしたいと思うでしょう。料理に限らず周囲の演出も考えるかもしれません。旧家を現代風に改築して、民芸調の骨董家具を配置して、欧州の田舎に共通する豊かな空間を作り出したいと考えます。現代建築に見られるシャープさに対峙するもうひとつのモダニズムがそこにあります。まさに濱田庄司は益子で国際的な客人をもてなし、そのモダンなスタイルによって、日本古来の伝統を現代に甦らせたと言えます。その魅力を余すところなく伝えているのが「濱田庄司スタイル」です。名も無き職人が作った家屋や家具、漆喰の壁や室内装飾の数々、それを現代の眼で見つめなおし、己の創作の中に取り入れる、民芸運動の真髄がここにあると思いました。