Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 創作一本への憧れ
    一日のうちでやることが多く、時間が足りないのはいいことか、よくないことか考えることがあります。創作一本では食べていくことはできず、他に仕事を持っているのは仕方ないのかもしれませんが、創作一本の生活への憧れは常にあります。でも仕事以外の限られた時間の中で、気持ちを高めて創作活動に向うのは、ひょっとして密度の濃い作品ができることもあると思います。多忙なほど多作になると思われるからです。自分は彫刻家としてスタートした時は既に公務員という身分でもありました。初めから時間的な制約があった上で創作活動を行っているので、気持ちのコントロールは最初からあたりまえのようにやってきました。長くやっているとさらにコントロールだけは上手になります。近い将来定年退職を迎え、創作一本になったらどうなるのか、今は憧れがありますが、生活のリズムはどうなるのか想像がつきません。あるいは憧れているうちが一番いいのかもしれません。      Yutaka Aihara.com
    「構築〜起源〜」全体構成
    畳9枚分の大きさの厚板を床に敷き、116本の柱をすべて立てて配置を考えました。今日はそんなことで一日が終わってしまいました。実際に彫ったり修整したりする作業は後回しです。柱に彫り込んだカタチを見ながら、隣り合う柱と柱のバランスやメリハリを考えて、柱の配置換えをする作業は、部分を作る作業より骨が折れます。全体構成は今日のうちにやっておかないと、次の機会は図録撮影か、または搬入の時しかありません。やはり全体の把握に雛型はとても役に立ちました。それにしても毎度のことながら集合彫刻は組み立てから分解までかなり時間を要します。自分が選んだ方法だから文句の言いようもありませんが、搬入時にはまた人の手を煩わせることになりそうです。
    素材の追加購入
    週末はずっと新作「構築〜起源〜」の土台作りをしているのですが、土台を床より10センチ程度高くするために、側面の厚板を買ってきました。製材所でカットしていただいた板を作業場まで運んでいるうちに、夕方になってしまい、今日の作業は何も捗らずに終わってしまいました。明日は遅れを取り戻さなくてはなりません。作品は全体が見渡せるようになり、頭で描いていたイメージと比べています。雛型はあるもののやはり実寸とは違って見えます。作品は柱がすべて垂直に立ち上がるので、思っていたほど大きくは見えません。柱がすべてセットされるとどうなるのか、土台は砂マチエールで覆われ、柱は下半分がバーナーで炙って炭化させるので、それが100本以上立ち上がるとどうなるのか、いよいよ制作が佳境に入ってきた感じがいたします。
    「クレーの贈りもの」
    平凡社から出版されている書籍にスイスの画家P・クレーに関するものが3冊あります。「クレーの贈りもの」「クレーの詩」「クレーの旅」です。そのうち「クレーの贈りもの」は内外の作家、画家、詩人、評論家等がクレーの絵によせて文章を綴っていて、内容にそれぞれ個性があって楽しく読めます。クレーの絵も多く掲載され、個性的な文章と相対して、それもかなり楽しめます。クレーの絵の解釈は幅広く多様で、それもクレーという画家が詩的なインスピレーションを受けて造形した結果だと思います。自分もクレーに関する本を自宅の食卓に置き、たまに手にとってページをめくると、創造的な刺激を受けてしまいます。子どものような絵を描くクレーですが、何か謎めいた、また哲学的なコンセプトが潜んでいるような気がしています。「クレーの贈りもの」は様々な視野をもつ人々がそこを我流で解き明かすのが面白いのです。                          Yutaka Aihara.com
    「みじめな、うちしひがれた生徒が…」
    「みじめな、うちひしがれた生徒が ぼくに白状した。窓辺へ吸い寄せられてしまう、と。ノートから離れ、インクにつけたペンから離れて。彼の目は彷徨い出ようとし、ひたいをおしあてた 窓ガラスを突き抜ける。」スイスの画家クレーの詩からの抜粋です。心の中に眠っていた昔の情景が自分にも浮かんできます。束縛からの解放。授業からの逸脱。当時の自分は実際の逸脱行為には及ばず、ただイメージの中で憧れていたものです。在りし日の思い出が甦る詩のコトバ。自分は詩は読み物ではないと思っています。目がそこにとまり、情景をキャッチするとイメージが膨らみ、心の琴線に触れてくるものです。そんな詩的要素が美術にもあるのではないかと思うのです。音楽ほど直接的な働きかけはありませんが、美術にもカタチや色彩で人の心に入ることはできると信じています。          Yutaka Aihara.com