2011.05.18 Wednesday
帰宅途中に夜空を見上げたら、見事な満月が出ていました。昼間の慌しい日常をふと忘れさせてくれる大自然の演出です。夜空にポッカリ浮かんだ月は周囲をたちまち幻想世界に導きます。肌寒さが残る空気が立ち込めて、春の宵は郷愁を誘います。こんな気分をRECORDにしたいと思い立ち、帰宅後に懐中電灯をもって工房のある畑道に出かけました。鬱蒼とした木々は黒ずんだ物体となって道を塞いでいて、これもまた詩情があるなぁと妙に感慨深くなってしまいました。夜の工房は生暖かい空気があって、昼間の締め切っていた状況を物語っていました。RECORDは今までの分も含めて彩色しました。絵の具を散らせて淡い画面を作りました。気候としては今が制作にはちょうどいいのです。週末だけではもったいない気がしています。と言っても毎晩工房に来られるわけではありませんが、満月に誘われて今晩は工房で過ごすことになりました。
2011.05.17 Tuesday
抽象形態をベースにした今年のRECORD。今月は小さな正方形が並ぶ画面に造形を加えています。当初は単調な画面にモチベーションが保てず結構苦しむのではないかと思いましたが、不思議なことに飽きることなく展開し続けています。要素が少ないほうが展開しやすいのかもしれません。葉書大のサイズの厚紙に毎日1点ずつ作品を作り上げて、かれこれ4年目になり、作品の数は1200点を超えています。毎晩の習慣とは凄いもので、RECORDが滞ると気になって仕方がないのです。日によってRECORDの質が多少変わります。それを避けるために5日間で展開するパターンを作り上げたのですが、やはり日によって気分が乗らない時もあります。下書きだけで終わる日もあります。彩色は週末にまとめてやっていますが、下書きだけで終わった日やペン入れまで出来た日を振り返ると、一週間の気持ちの変化が見て取れます。心と労働の蓄積。RECORDを一言で表せば、これに尽きると思います。
2011.05.16 Monday
「疲れているように見える」と家内に言われ、このところ体調を気にしています。公務員の仕事の影響ではありません。管理職として書類作成やら提出等は毎年やっていることなので、最近は負担を感じることがなくなりました。季節の変わり目か、あるいは心に引っかかるものと言えば創作活動のことで疲労を覚えるのかもしれません。新作の方向性を変えたことで、新たなイメージを想起し、それに伴う作業工程を考えつつ制作を進めているせいだと思います。「発掘~鳥瞰~」や「構築~起源~」を作り上げた時に、例年とは異なる精神的・肉体的な負担を感じました。いずれも方向性を変えていくことになった作品です。新作は再び発掘シリーズに戻すので、今まさに曲がり角に差し掛かっているように自覚しています。家内に「気分が乗っているようにも見える」とも言われました。同じ方向で展開する作品とは異なり、自分の中で、手探りをして何かを得ようとしている気持ちの表れではないかと思います。疲労と意欲の混在。プラス思考になったり、マイナス思考になったり、心や手が揺れ動きながら新作の生みの苦しさを体感しています。
2011.05.15 Sunday
今日も工房で新作屏風の制作です。屏風は直方体6個を三双として構成するものです。今日はまず1つ目の直方体に取り掛かりました。直方体の内部構造をイメージしながら木材で作り始めました。いわゆるボックスアートです。直方体の内なる空間に配置する彫刻で、閉塞感のある造形です。今年の7月に個展で発表する作品は「構築~解放~」と名付けていて、文字通り開放(解放)的な空間を演出します。今作ろうとしている来年の作品は、正反対の空間を有する内向きな作品です。三双を閉じてしまえば単なる直方体にしか見えない作品です。制作という労働の蓄積を隠す行為は、逆説的にイメージを掻きたてると考えます。想像で空間を補う彫刻。その一部が見えている造形の破片。ですが、決して表層だけを作っているわけでなく、全体を作って覆い隠す行為は、鑑賞者にその意図を委ねることになります。そんなことに思いをめぐらせながら制作に励んだ一日でした。
2011.05.14 Saturday
まだタイトルを決めていないので、新作屏風としておきます。今日から新作屏風の制作を始めます。まず円形に刳り貫く部分の作業から入ることにしました。円形刳り貫きは木彫で行う部分です。そこは砂を貼り付けていくので木目は出ません。陶彫部分も時間差で始めたいと思います。三双屏風で1点の大きさがほぼ一畳分の縦置きです。つまりそれが6点あるわけです。今日は長い作業工程の第一歩です。頭の中にしかイメージされていない新作屏風。雛型を作るかどうか思案中です。本来なら雛型で試してから作業に入るところですが、時間がないのでぶっつけ本番でやり始めて、迷いが生じたら雛型を用意する方法をとります。期待に胸膨らませて、初めの一歩を踏み出しました。