Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 新作の梱包作業
    よくぞここまで辿り着いたと思うほど今回は制作に手間取りました。梱包作業は116本の柱と9枚の土台を別々に梱包するので、全部で125個の部品に分けて行います。とくに土台は自分ひとりで梱包するのに無理があり、今日ばかりは家内に手伝ってもらいました。部品が多いので箱詰めでは時間が足りず、ビニールシートにエアキャップを貼って、それにひとつずつ部品を包む作業になりました。梱包はとても大切な作業のひとつです。というのも自分がやっている集合彫刻は搬入設置に時間がかかるため、簡単に作品を見せられないところがあるのです。展覧会の後は、作品を梱包して倉庫に収めてしまうので、保存状態をできるだけよくしておきたいと願っています。梱包に気を使う理由はそこにあります。来週の搬入の後は7月の銀座の個展まで保存です。
    新作の最終チェック
    やっと新作「構築〜起源〜」がほぼ完成しました。116本の杉材の柱の裏に押印して番号をつけた和紙を貼り、その番号と照らし合わせて土台の裏にも同じ押印の和紙を貼りました。これで搬入の際に、土台のどの穴にどの柱が納まるのかわかるようにしてあるのです。搬入は自分ひとりでは出来ず、運送業者や美大生が手伝いにきてくれます。彼らに組み立て方を示すことによって、自分の指図なしで作品が出来上がっていくのです。今回の作品はテーブル彫刻ではないので、板材を支柱で浮かせることはありません。その分搬入作業は楽ではないかと思うのですが、どんなもんでしょう。今日はすべての柱の番号の確認と、土台の油絵の具に塗り残しがないかどうかのチェックを行いました。明日は梱包作業です。
    RECORDの落款
    今月は2つのシリーズを同時に作っているので、RECORDばかりやっているような毎日です。RECORDとは、一日一枚作るポストカード大の平面作品を言います。毎年2月始まりなので、これを1月始まりにしたくて今月は新シリーズを同時に作り始めているのです。そこでRECORDにも彫刻作品と同じように落款をつけることにしています。新シリーズの印をまだ作っていないので、早急に作ろうと思います。毎日押印して日付を記して完成させるものなので、印ができていないと何か作品が締まりません。新シリーズは今までよりデザイン性が強いので、印も洒落たデザインにしようかと思います。印による小さな世界に遊びたいと考えています。       Yutaka Aihara.com
    素材の変容
    素材がもつ力を引き出すことは彫刻にとって重要なことです。石や木はもともと自然界にありのまま存在しているので、それらに手を加えることで豊かな表現を示せるならば、彫刻としては大成功と言えます。逆に手を加えたことで素材が萎縮してしまうのであれば、彫刻などやめて、ありのままの状態で自然界においておく方がよいと考えます。土も自然界にありますが、石や木と違い可塑性のある素材なので、他の素材よりも便利に人に利用されてきました。とくに焼きものは火によって土が変容し石化してしまうのです。それによって液体を漏らさない器になったり、火を内部に入れた暖炉や照明になったりしています。今制作中の作品は木を焦がし、木が変容して別の表情を見せることを意図して作っています。生木と炭化した木のコントラストが気に入って116本の柱をバーナーで炙り、それらの柱が林立する風景を演出しようとしているのです。素材の変容も素材の持つ力であると認識しています。                               Yutaka Aihara.com
    彫刻制作の意味するところ
    毎日制作をしていて、ふと思うことがあります。作品制作はまず自分が作りたいイメージがあって、それをカタチにしたいと欲して制作をしているわけです。幸い個展やらグループ展で鑑賞者の目に触れる機会が持てていることで批評をいただいたり、認めていただたりしているのですが、こうした作品はどんな意味を持つのか、わからなくなることがあります。認められれば作品は「文化」として時代を形成するものとなり、認められなければ巨大なゴミになると考えます。基本的に作品は自分が作りたいものを作る自己満足の産物ですが、他者の存在がなければ何もないナンセンスなものと化してしまうのかと思うのです。別に人に見られるために作っていないと言ったところで、人に見られなければ認められることもないし、今自分がやっている彫刻という名の「労働の蓄積」はいったい何なのかわかりません。「いつかきっと認められると信じて…」と若い頃に仲間と飲んで喋ったことがいつまでも頭から離れず、今もそれを信じて制作に励む自分がいます。作品を巨大なゴミにしたくないと思いつつ、自己満足を認めてほしいという勝手な我儘がアートの実体なのだと考えています。                  Yutaka Aihara.com