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  • 鎌倉の「辻晋堂展」
    自分の学生時代、池田宗弘先生が個展をしていた縁で、ギャラリーせいほうに通い始めました。そこで陶彫による個展を開催していたのが辻晋堂と速水史朗でした。当時、ギャラリーせいほうの関連会社であった聖豊社から「現代彫刻」という雑誌が発行されていました。彫刻家辻晋堂は「現代彫刻」に特集が組まれ、自分は興味をもって読んでいました。その頃、初期の作品は雑誌に掲載された図版でしか見ることができず、辻晋堂が歩んできた彫刻家としての道を、実物の彫刻作品で辿ることができませんでした。今回、鎌倉にある神奈川県立近代美術館で、かねてより見たかった初期から晩年までの辻作品が一堂に集められたのは自分にとって幸運でした。とりわけ初期の写実を追及した木彫作品が見られたことは感慨一入でした。木彫は鑿の彫り跡からして技巧的には天下一品で、端正で確かな造形力に驚きました。ただ、木彫の肖像作品はあまりにも自然で印象が薄く、やはりこの時代に類を見なかった陶彫作品の方が地球規模の存在感を示しているように感じました。まだまだ書きたいことがありますが、次回に稿を改めたいと思います。
    2月になりました。
    2月になりました。今月も先月に続き「構築~楼閣~」の制作続行です。具体的には8つの陶彫土台に木彫の柱を接合したいと考えています。木彫は8本ともまだ荒彫りの状態です。今月中に仕上げ彫りをして、1本ずつ炙って炭化させていく計画です。作品の中心になる8本の柱がサークル状に立てば、「構築~楼閣~」全体の雰囲気が掴めます。はたしてイメージ通りになってくれるかどうか、全体を見渡した時に答えが出ます。集合彫刻は部分をひたすら作り続けているので、全体は自分の頭の中にしかありません。スケッチ等のメモは残さないので、イメージは時間の経過と共に流動します。それがいいと考えて、敢えてイメージの描き止めをしないのです。また、今月は自分の後輩たちがそれぞれのグループ展に出品することになっているので、それらを見に行く予定もあります。寒さに負けず、休日の貴重な制作時間を大切に過ごしたいと考えております。
    「保田春彦展」錆鉄の柱に再会
    タイトルに錆鉄の柱と書きましたが、本来の題名は「集落の跡 Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ」。3点1組の錆鉄による作品で、床から柱状に伸びた上部に幾何的な構成が施された作品です。自分はこの作品が大好きで、平塚市美術館をはじめ、さまざまな空間でこの作品に会っています。観る人を拒絶するような理知に富んだ作品ですが、柱と構成された部分の割合が理屈抜きで好きになってしまったのです。現在、世田谷美術館で開催中の「保田春彦 デッサンによる人間探求」展は、裸婦クロッキーを中心とした展示内容になっています。自分は神奈川県立近代美術館鎌倉別館でこれを初めて見て、東京の南天子画廊で再び見て、さらに世田谷美術館で見たので通算三度目になります。だんだん脳裏にすり込まれてしまい、迷いなく引かれたクロッキーの運筆が心地よく感じられるようになりました。そこに置かれた木による「白い風景」シリーズと上記の鉄による作品、いずれも旧知のものですが、また違った場所にあると見たくなって出かけてしまうのです。自分の母校の大学の教壇に保田先生は立っていられたのに、ほとんど指導をうけたことがない自分です。でも距離を置きながら保田ワールドを見続けてきました。これからも見続けていきます。人生の先達の行く末を思い描きながら…。
    週末 窯出し 成形 加飾
    今日は工房で制作の一日です。まず、朝は窯出し。この窯から出した作品で陶彫土台8個の全部が終了し、荒彫りの柱との調整を行います。調整はまた次回です。次に前週タタラにして置いてあった三角錐の成形。これは午前中いっぱいかかりました。午後から以前に成形が終わっている作品の加飾。これは夕方までやっていて、全て終わらずに来週に持ち越しになりました。今日の制作風景はこんな感じです。あれやこれやとやっているうち時間はあっという間に経ってしまいます。朝8時半から午後4時までで作業終了。これ以上長く制作していると気持ちが萎えてしまうのです。陶彫の場合、一気呵成に作り上げることは困難です。また来週継続です。スケジュールが詰まっている感覚が付き纏います。
    3つの美術館と4つの展覧会
    久しぶりに美術展三昧の日でした。付き合うなら一日に行く美術展はせいぜい3つまでと家内に言われているのですが、今日家内が胡弓の演奏に出かけたので、知り合いの美大生に声をかけました。そこで今日は美大生と3つの美術館と4つの展覧会を駆け巡ることになりました。まず、東京の世田谷美術館で開催中の「佐藤忠良展」。具象彫刻の重鎮で99歳の現存作家です。次に同館で開催中の「保田春彦展」。かつて鎌倉の美術館でやっていたクロッキーによる展覧会が世田谷にきていたのですが、もう一度見たいと思っていたのです。場所を東京から鎌倉に移して、神奈川県立近代美術館で今日から開催している「辻晋堂展」。学芸員によるギャラリートークを聞くことができてラッキーでした。次に同館の鎌倉別館で開催中の「山下菊二 コラージュ展」。これが唯一の絵画作品による展覧会でした。今回の展覧会は、自分の彫刻制作の振り返りを目的として巡ってきた感があります。彫刻科でもないのに、よくまぁ美大生が付き合ってくれたものです。それぞれの展覧会の感想は機会を改めますが、いずれも質量ともに高く、緊張感が漲った内容で自分の脳裏にしっかり印象を焼き付けた一日となりました。