Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 窯出しと窯入れ
    初窯入れを行ったのが月曜日で、今日炉内が100度台に下がっていたので窯を開けました。何とか成功していて、ホッと胸を撫で下ろしました。前のブログにも書きましたが、窯出しはどんな場合でも緊張します。理由は自分の作品といえども最後は自分の手の届かない窯の中で、火の神様に委ねていくことがあるからです。逆に作品が自分の手を離れて一人歩きを始めるのに、窯入れは最適とも言えます。窯から出てくる作品は、本当に自分が作ったものなのか疑うほど他人行儀な雰囲気を漂わせているのです。面白いと言えば、これほど面白いことはありません。窯の中で何時間も焼成されて、しかも温度は1250度にもなり、やがて少しずつ冷めていく過程で作品に変化が生じるのです。これは炉内に神様がいるとしか言いようのない感動を齎せてくれます。今日は次の作品を窯に入れました。これから次々と窯出しと窯入れを繰り返していくことになります。その度に窯に向かって祈りを捧げる自分がいます。自然と合掌してしまうのです。
    非対象絵画探求への道
    昨日に続いてロシア人画家カンディンスキーの辿った非対象絵画探求の道を考えます。それは近代から現代へ美術界で大きな価値転位が行われた事件と言えます。カンディンスキーの絵画にはよく宗教的な題名がつけられています。「カンディンスキー研究」(西田秀穂著 美術出版社)を読み進んでいくと、カンディンスキーが宗教的感情によって芸術における精神性を唱え、「ヨハネ黙示録」等からのモチーフを、やがて記号化させていく過程が詳細に述べられています。時系列を追いつつ非対象化させていく世界は、その契機として「コスミックな悲劇性」の表現が芸術の目標とすることを念頭において、やがて到来するであろう神の救済「新しい精神の王国の建設」を祈念して描かれたものと論じています。現代絵画への価値転位が、そうした宗教的なモチーフによって成されたことに自分は新鮮な驚きを持っています。自分に置き換えれば、自分の創作活動にどんな探求が存在するのか、何によって自分は創作に興ずるのか、そこに何を求めているのか、カンディンスキーの非対象絵画探求の道を辿ると、自分のやっていることが浮き彫りにされてきます。この書籍を読むことで、自分自身の辿った道を見つめなおす機会となれば幸いと考えます。
    「芸術における精神的なもの」
    1912年にロシア人画家カンディンスキーが著した「芸術における精神的なもの」は、2011年の現在からすれば100年も前に出版されたことになります。その中に「…容貌や身体の各部分が、芸術上の理由から置きかえられたり、デフォルメされたりすると、ひとはやはり純芸術的な問題のほかに、絵画的意図を妨げたり二義的な計算を押しつけたりする解剖学的な問題にぶつかる。ところがわれわれの場合だと(比較的抽象的な形態や純抽象形態を用いることによって)、非本質的なものは自然と脱けてなくなり、ただ本質的なものー芸術的な目標ーだけがのこっている。この一見気まぐれな、しかし実は厳格に規定することのできる可能性、形態転位の可能性こそは、純粋芸術創造の無限の系列が湧きでる源泉のひとつなのである。…」(西田秀穂著「カンディンスキー研究」美術出版社より抜粋)という一文があります。自分も学生時代に人体塑造をやっていて、解剖学上の正確な形態把握に努めてきましたが、その巧みさを学ぶことと、芸術的な本質を捉えることは違うと考えていました。正確な人体塑造が居並ぶ権威ある公募団体展に出かけた折、心に響く感動がなかったことで、創造行為とは何だろうと考え始めたのです。「芸術における精神的なもの」は100年も前から芸術創造の本質に迫ろうとしたもので、たかだか30年前の自分に照らし合わせると、この著書をもっと早く読むべきだったと思わないではいられません。近現代美術史を自分なりに振り返ることは現在でも有意義と考える所以です。
    2011年初窯の日
    三連休最終日です。今日は昨日と違い効率よく作業ができました。成形加飾した作品6点に仕上げや化粧掛けを行い、そのうち2点を窯に入れました。今年初めての窯入れです。2年前の夏に工房に築窯して、昨年1月に試運転を行いました。ちょうど1年前になります。昨年の個展で発表した「構築~瓦礫~」はこの窯で焼成した作品です。今日入れたのは今年の個展で発表する作品です。今年の作品はひとつずつの部品が大きいのが特徴です。窯から鏡餅を降ろして、夕方スイッチを入れました。果たしてどうなるのか。窯入れは何回やっても期待感と心配する気持ちが交差します。これが面白いと言えば言えるのですが…。実は今年制作中の作品ばかりではなく、来年の作品がイメージとして浮上しています。一部作り始めていて焼成も終わっているのですが、少しずつ全体イメージが出来上がりつつあります。上手くすれば今年の作品と併行して来年の作品も成形していきたいと願っています。
    三連休 作業進まず…
    なかなか思う通りに作業は捗ってくれません。三連休でここまでやろうとしていた制作計画を見直さなければなりません。成形加飾が終わった陶彫部品の仕上げは、明日に持ち越しになりました。身体が思うように動かない分、RECORDのイメージは先々まで出来上がっています。カンディンスキー関連の書籍は暇があれば読んでいます。頭が先行する連休になっています。カンディンスキーが100年も前に提唱した「芸術における精神的なもの」のワンフレーズが頭の中で繰り返されていて、自分の作品をじっくり見てしまうことが原因の一つと言えますが、それはそれとして計画的に作らなければならないものが今目の前にあるので、願わくは職人に徹したいと思っています。明日こそ制作に精を出したいと思います。