Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 現れ出るイメージ
    公務で気持ちがギュウギュウ詰めになっている時に、ふと思い浮かべるイメージがあります。それは壁であり、地層であり、連なる家並であり、迷路のように入り組んだ路地です。会議で眠くなる時もイメージが現れ出ることがあります。現実逃避かもしれませんが、ただ思い浮かべるだけではありません。これは作品化できるかどうかをイメージと同時に考えているのです。今までの作品はこんな些細な心の動きから始まっていると言えます。ただ過去に自分が住んだヨーロッパの都市や旅した風景が頭の隅にあって、イメージが具体的に現れるのは、このようなところが起因しているのは言うまでもありません。今日は隆起した土地と陥没した土地がイメージされました。その断面が何とも心地よく、また彫刻的な美しさもあって、この断面のイメージを何とか作品にならないものかと思案しているところです。       Yutaka Aihara.com
    煤を払って週末が終わり…
    今週末はひたすら杉の柱の炙り作業に徹しました。作業場の外は煤だらけになり、木材の焦げた臭いが周囲に漂っていました。終日作業しても48本は終わらず、また来週末も炙り作業になりそうです。かつて「発掘〜円墳〜」や「発掘〜地下遺構〜」を制作した時も、枕木を炙ってテーブル彫刻の柱にしたことがありました。古びた枕木に比べれば、杉の柱は炙った跡が鮮明にわかり、作業としてはやりやすい状態ではありますが、煤だらけの顔を鏡で見るにつけ墨や炭を作る職人の大変さがほんの少しわかった気がしました。杉材は焦がすと時々乾いた音がします。急に熱を加えたので木が割れているのです。そこはお構いなしに作業を続けています。彫り跡も残したままです。充分炙った後、木についた煤を払って定着液を塗って1本完成です。この繰り返しが48回あります。来週末も延々と続きます。
    焦がした杉の柱
    48本の杉の柱。7月の個展に出品する「発掘〜遺構〜」の陶彫部分を支える部分になります。陶彫は錆鉄の質に近い色合いを焼きしめて出しました。それを支える部分には杉材の荒彫りだけの処理では何か納得が出来ず、杉の柱を触りながらいろいろ思案していました。結果、杉の柱をバーナーで炙って陶彫の質感と合うようにしてみました。杉の柱は半分以上が焦げた状態になり、素材の変化に面白さを感じました。イメージとしては沈黙した都市空間を表現しているので、焦がした杉の柱はイメージをさらに鮮明に捉えられると考えました。火災や震災などの大きな災害が根底にあって、作品は現代に対する警鐘のようにも取れますが、実際には社会的で具体的なメッセージは明確化できていません。これは単純に造形作品として観ていただきたいと思います。
    RECORDは「台形」
    6月のRECORDのテーマは「台形」です。台形らしい台形を考え、画面の中に自然な収まり方をするようにサイズを決めました。とにかく安定している図形です。あまり面白味もなく展開にも欠ける図形ですが、そこを何とか構成で工夫して、新しい台形の可能性を見つけたいと思います。台形は立体で言う台座のようにも見え、台形の上に何かを置かないと空虚に見える図形です。その空虚感を出してみるのもいいかなと思っています。彫刻でも台座しかなかったりすると、そこに不思議な意味が与えられているような気がします。台座の上に彫刻が置かれると妙に安心します。台形は何かを支える図形であり、支えるものが存在しなかったりすると不思議な意味を持ってくるかもしれません。                         Yutaka Aihara.com
    映画「ニキ フォル」
    ポーランド映画で「ニキ フォル〜知られざる天才画家の肖像〜」を観ました。坦々と描かれた老画家の物語で、演じている俳優もかなり老齢な感じを受けました。地方都市を舞台に観光客相手に絵を売る老いた画家がいて、その彼がある画家のアトリエに居候を決め込むところから物語は始まります。アトリエのある画家には家族がいて、突然やってきた招かれざる客の老画家を追い払おうとするのですが、そのうち老画家と心を通わせるようになり、病院に入れるまであれこれと面倒を見る展開になります。老画家は温かみのある素朴派の画風で、そうした風情が映像全体を包みこんで、詩情豊かな雰囲気を出しています。冬ざれた街がとくに印象に残りました。      Yutaka Aihara.com