2010.08.06 Friday
一日1枚ポストカード大の平面作品を作っているRECORD。その時の意欲がどうであれ気分が乗る乗らないに関わらず、とにかく一日1枚の課題をずっとやってきています。いつからか月ごとのテーマを決めるようになり、その中で5日間で展開できるような表現方法を考えるようになりました。一日ごとに新たにイメージを考えるよりは、初日から5日目を目指して展開するような継続したイメージがあった方がよいと思ったのです。今月のテーマは「増殖する」に決めました。比較的イメージしやすいテーマかなと思っていますが、果たしてどうでしょうか。日によっては上手くいかない時や、難なく過ぎてしまう時もあります。懲りずに続けることが大切と思い直して、今月もやっていきます。
2010.08.05 Thursday
このところ展覧会情報ばかり続いていますが、今日は東京上野の国立博物館平成館で開催されている「誕生!中国文明」展を取り上げます。中国河南省の出土文物で構成された展示内容で、その装飾や細工に眼を見張るものがありました。とくに鋳造による青銅の文物はその技術の高さに驚きました。連なる楽器の美しさ。そこに施された抽象文様が美しく、自分は何とかこれを自分の表現に出来ないものかと大それたことを考えていました。文様にはそれぞれ意味があるのはわかりますが、純粋に造形作品として見ても美しいのです。その密度の状態が自分の感覚と合ってしまったのかもしれません。自分は古いものに新しさを見ることが多いのですが、まさに自分にとっては典型的と言える展覧会でした。
2010.08.04 Wednesday
昨日のブログに「鴨居玲 享年57歳」と書きましたが、今日取り上げる画家は38歳の若さで急逝した有元利夫です。折りしも同時期に別々の美術館で、両人とも没後25年の展覧会が開かれていたので、先日「有元利夫展 天空の音楽」を見に東京都庭園美術館に行ってきました。このアール・デコ調の美術館は有元ワールドにとても合っていて、その環境の素晴らしさがとても心地よく感じられました。38歳と言えば、まだ自己表現の確立に至っていない場合が多く、自分を引き合いに出すのも恥ずかしいのですが、自分が38歳の頃は創作活動に自信を失いかけていた頃でした。有元利夫はそういう意味では早熟で、バロック音楽に触発された静謐な世界を形作っていて、その説得力は驚くばかりです。展覧会にはアトリエを写した大きな画像がありました。そこには大小の画布が壁一面に掛かっていて、途中で筆をおいてあれこれ眺めては、壁の中から1点を選び出し筆を入れるという制作方法が採られていたようです。実はこんな制作風景が自分には気になるのです。まだ有元が生きていれば、どんなに素晴らしい世界を築いたことか、それを考えると残念でなりませんが、時折このような展覧会を開催して、私たちの目に常に新鮮な感動を齎せてほしいと切望してやみません。
2010.08.03 Tuesday
画家鴨居玲、享年57歳。先日横浜のデパートで開催されていた「鴨居玲 終わらない旅」と題された展覧会を訪れた印象は、画布に己を塗りこめた壮絶な画風で観る人を圧倒するといったものでした。57歳と言えば働き盛りで、画家としてはこれからさらに邁進できると言っても過言ではありません。鴨居は若いときから己と格闘し、自身が納得のいく表現を打ち立てたと思ったら、あまりにも短い創作生活に自ら幕を引いてしまった画家でした。鴨居は海外に滞在し、そこに住まう人々をテーマに取り上げながら、常に自画像が投影されて、自分の内面を絵画によって見つめ続けた画家でした。自分はそんな独特な人物表現のみならず、鴨居の描く教会の空漠たる風景にも興味があります。傾いた塊となった教会。装飾もなくただ存在している建造物。孤独な中で確固たる主張を続ける表現世界が、自分の中に根を下ろしてしまったようです。
2010.08.02 Monday
先日、東京渋谷のBunkamuraギャラリーで開催している「ブリューゲル版画の世界」展に行ってきました。猛暑の中、涼しい美術館で名画を鑑賞するのは贅沢な時間です。同じような考えを持っている人が多いためか展覧会は大変混雑していました。人混みの中で小さな版画の世界を堪能するのはちょっと厳しい状況でした。それでもブリューゲルの風刺の効いた版画の世界にどんどん引き込まれていって、版画の中に隠されている古来の諺を知る仕掛けを見つけて歩きました。ブリューゲルは大好きな画家の一人です。自分は1980年から85年までの5年間をウィーンで過ごしましたが、ウィーン美術史美術館にあるブリューゲルのコレクションは世界有数のもので、滞在中は数え切れないほどブリューゲルの部屋を訪れました。美術アカデミーの学生証があれば無料で入れる美術館なので、散歩の途中にちょっと立ち寄るという習慣ができて、ブリューゲルの絵画はいつもさらっと見渡せる日常の中に存在していました。今思うと何て素晴らしい環境だったのか改めて感じている次第です。今回日本にきている版画も、自分にとって馴染みのある画風で、初対面とは思えない懐かしさがありました。