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  • 在野の長谷川等伯
    先日出かけた東京国立博物館平成館の「長谷川等伯展」。見たかった絵は当然「松林図屏風」ですが、御馴染みの画家でも生涯を通して、どんな画業を打ち立てたのか、とくに修行時代の作品が見てみたい気持ちがあって、混雑が予想される国立博物館まで足を伸ばしたのでした。予想は裏切られず大混雑の会場で、これも予想は裏切られず大変興味深い作品群に出会うことができました。若い頃の作品は丹念に描き上げた仏画が中心で、人物が纏う衣装に施された文様まで緻密に描かれていました。絵画の技術は天下一品で、眼を見張るものがありました。狩野一門が画壇を席巻する中、長谷川等伯は在野にあって、様々な趣向を凝らした画風で、画壇に一石を投じたものと考えられます。やはり「松林図屏風」の革新性は現代に通じるものがあり、何も描かれていない空間に、描いたもの以上の表現と説得力がありました。この時代にあって、どうしてこんな作品が生まれたのか不思議です。緩急極まる運筆に酔ったひと時でした。
    三連休の終わりに…
    昨年の三連休は図録のための写真撮影をして、7月の個展のために準備を始めていました。それに比べると今年はかなり遅れています。初日は手間暇かけた陶彫パーツをひとつ潰しています。翌日は気分転換のために美術館巡り。今日は朝から工房にいましたが、成形はなかなか捗らず、細かな部分に手を入れているうちに時間ばかりが過ぎていきました。制作途中でRECORDの厚紙を切断しに職場に行ったり、畑の植木を整理している業者や、近々工房の周囲に犬走りをコンクリートで作るための打ち合わせを別の業者とやっていたりして、三連休最後の日だというのに制作一本にはなれませんでした。理想通りの休日スケジュールではなかったのですが、ぼんやり過ごしていたわけではないので、その時々の気持ちの充実はありました。ただし、作品の結果が見えてこないので多少の焦りはあります。今月末には新作の全体図が見えてくればと思っています。
    週末 美術館巡り…
    三連休の中日です。今日は自分の制作をリセットして、もう一度新たな気持ちで取り組むために美術館巡りを行いました。一つ目は東京上野の国立博物館で開催している「長谷川等伯展」、二つ目は上野の森美術館で開催している「VOCA展」、三つ目は横浜美術館で開催している「ポンペイ展」です。自分は学生時代から美術館に行くとなると数館を駆け回り、同伴者の顰蹙を買うことが結構ありました。家内もその一人で、一緒に行くなら一日三館までと決められてしまっています。先日、若い美大生と湘南海岸に行った時に二館にしたのも、そんな理由からです。今朝は夕べから雨風が強く、交通機関の乱れを心配しましたが、天候は一転して青空が広がり、気持ちのいい一日になりました。それぞれの展覧会の内容は後日書くとして、入場規制が行われるほど混雑していたのが「長谷川等伯展」でした。それに加えて鳩山総理がボディガードとともに来館されていたので、一時は押すな押すなの混乱ぶりでした。ともかく今日は疲れました。それに面白い一日でした。疲れきるほど観て回るのが大好きな性分なので、今日は充実した時間を過ごしました。鳩山総理の後姿も拝見することができました。
    週末 苦渋の決断
    今日から三連休になり、制作三昧の日々を送る予定です。今日は陶彫パーツで苦渋の決断をしました。新作「構築~瓦礫~」の陶彫パーツが30数個出来上がり、工房の床に置いてあります。今まで焼成中に割れてしまったパーツが1点、さらに成形中に時間を惜しんだため、タタラが柔らか過ぎて壊れてしまったパーツが1点ありました。焼成で割れてしまったパーツは大ゴミにするしかありませんが、成形中の失敗は再び土錬機にかけて、成形前の陶土の状態に戻すことが出来ます。今日の苦渋の決断と言うのは、数あるパーツのうちで手の込んだパーツが3点あって、そのうち1点が気に入らず、あれこれ1週間ばかり悩んだ挙句、化粧がけ前に壊すことに決めたことです。体調を崩していた時期に、初めて手の込んだパーツを10数時間かけて作ったのですが、それからずっと毎週末に手の込んだパーツを作り続けています。現在3点出来上がってきていますが、その初めに作ったものが、自分の中ではしっくりいかず、壊そうと心が動いたのです。集合彫刻の場合は、目立つパーツとそれを支えるパーツがあります。目立つものは時間をかけて加飾を施し、全体を引き締める役割をします。初めにつくったものは力みすぎていて、異質な感じがしてしまうのです。手の込んだ作品をハンマーで叩き割るのは勇気がいるものですが、今日は苦渋の決断をして、作品を粉々にして陶土の状態に戻すことにしました。
    「シルビア・ミニオ=パルウエルロ・保田」作品集
    表題の作品集は物故作家によるもので、ずっと以前に神奈川県立近代美術館のアート・ショップで購入したものです。シルビア・ミニオ=パルウエルロ・保田さんはイタリア人で、美大の教壇に立っていられた保田春彦先生の奥様です。自分が大学で学んでいた時は、シルビア・ミニオ=パルウエルロ・保田さんはおろか保田春彦先生にも直接教えを請うたことがなく、ついぞ縁がなかったのですが、作品はよく知っていて展覧会があれば必ず出かけていました。キリスト教をテーマにしたレリーフや彫刻は精神性が高く、また気品に満ちています。とりわけデッサンはその手法が保田春彦先生とよく似ていて、確かな線描に支えられた形態は、そのまま立体として作品化できそうな要素が見受けられます。大学時代に、彫刻の基礎を教えていただいた池田宗弘先生は、やはりキリスト教をテーマにした作品を数多く手がけているので、シルビア・ミニオ=パルウエルロ・保田さんと共通するものがあるように思えます。そんな契機で出版されている作品集の類や図録を全て手に入れているわけです。