2009.10.26 Monday
今年我が街横浜は開港150周年を迎えています。先日幕を閉じた「Y150」の観客動員数をめぐっては賛否両論があって、今後の始末を考えるべきでしょうが、横浜の開港が150周年を迎えていることには変わりなく、ここは横浜市民として素直に喜ぶべきと思っています。現在、横浜美術館では表題の展覧会が開催されているので見てきました。江戸時代から幕末の動乱期、そして明治時代の優れた工芸品が中心となった展示内容で、その技巧たるや目を見張るものがありました。当時、ヨーロッパの万国博覧会でこれを見た海外の人々が驚いたことをどこかで読んだことがありますが、今の自分でさえ精緻な造形に脱帽してしまいます。油絵はこの頃西洋から入ってきて丹念にその技法を学んでいる様子が、絵を見るとよく伝わります。光や陰影を捉えて、線ではなく量感として表す西洋技法を、日本人特有の生真面目さで描いています。やはり当時は絵画や彫刻といえども芸術より職人の域で仕事をしていたので、芸術という概念がなかったのか、または育っていなかったと考えるべきでしょうか。あれこれ先祖が辿った道を探っていくうちに、幕府が鎖国を解いて、横浜が開港し、堰を切ったように西洋文化がなだれ込んできた当時の混乱した事情が少しわかったような気がしました。
2009.10.25 Sunday
前に実家の車庫にあって風雨に晒されていた「発掘〜円墳〜」と「発掘〜地下遺構〜」を、今夏大汗をかいて倉庫(工房)に持ってきたことは、いつぞやのブログに書きました。さらに梱包してあったダンボールを全て処分しました。作品は剥き出しのまま工房に放置していますが、陶彫のパーツはやはり梱包しておいた方が無難と考えて、今日は木箱を作ることにしました。「発掘〜遺構〜」は全て木箱にして積んであります。「円墳」も「地下遺構」もそれに習って、合板でとりあえず600mm×450mmで高さ450mmの直方体の箱を15個準備しました。それで済む量ではありませんが、まず似たサイズのパーツから梱包していこうと決めました。今日のところはそんなことを工房でやりましたが、木箱を作るのに時間がかかって15個全ては終わりませんでした。彫刻の制作も進めていかなくてはなりませんが、同時に工房の整理として旧作の保護も必要なのです。これは自分が懸念していることのひとつです。旧作はまだ別の倉庫に保管してあって、出来るなら年内に全ての旧作を工房に収納したいと考えています。そのための梱包材を新たに作ることも頭に入れておかなければなりません。現在の2つの作品を早く収納できる状態にして、次の旧作の運搬に移りたいと思います。
2009.10.24 Saturday
週末で時間があるというのに制作は思うように進まず、ボランティアの子が土錬機を動かしている間中、自分はウロウロしてしまいました。RECORDをやってみたもののやはり乗らず、結局木彫の仕上げ彫りは出来ませんでした。10月も半ばになり工房内が涼しかったせいか疲れが出たのかもしれません。それでも工房内で過ごす時間は珠玉の時間です。FMラジオから流れる音楽を聴きながら、ぼんやりしているのもいいものです。公務員を退職したら、ずっとこういうふうに過ごすのかなと思っていますが、まだ実感は沸きません。ずっと工房にいるのなら、長椅子があった方がいいかな、作品棚はもっと必要かな、書棚もあった方がいいかな、簡単な料理ができるようにすればもっといいかな、などなど頭の中で想像が膨らみ、ひとりごとを呟きました。でも場所は農業用倉庫として建てたものなので、とてもカッコいい空間にはなりません。なんだか中途半端に過ごした時間が嫌になって、夕方近隣のスポーツクラブへ行って、ひたすら泳いできました。緩んだ気持ちを吹っ切って明日の制作に臨みたいと思います。
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2009.10.23 Friday
「瀧口修造全集1」に収められている「ヨーロッパ紀行」の中に、ダリを訪ねた時の随想が載っています。アトリエの中の描写やダリの人柄に、ほんの少しばかり親近感が持てるような気になります。スペインの海辺のアトリエは理想的な環境だろうと思いつつ、大きなカンバスが立てかけてある部屋の様子から言えば、日々制作に励む日常が垣間見えます。「見えない彫刻」の著者飯田善國も同書の中で、ココシュカを訪ねた時の随想を載せています。ダリやココシュカのように美術史に名を刻んだ巨匠を訪ねた時の印象は、一生忘れない思い出でしょうし、何かに留めておきたい気持ちが湧くのではないかと思います。自分もウィーン国立美術アカデミーに在籍していた20代に、同校でマイスタークラスを持っていた画家フンデルトワッサーに会って話をしたことがあるのです。内容はよく覚えていませんが、「色彩が欲しい」と私の版画作品を見て言っていたことだけは記憶にあります。もっとゆっくり話せばよかったと今では後悔していますが、当時自分はまだ20代で、会えただけで有頂天になってしまったようです。それだけに芸術家の自宅やアトリエを訪ねた随想を見つけると、ともかく読んでみて、自分なりにあれこれイメージしてしまうのです。
2009.10.22 Thursday
自分が制作に没頭できるのは週末だけです。それこそ週末は朝から晩まで作業に打ち込んでいます。ウイークディは横浜市公務員という身分なので、制作に没頭はできません。その代わり、僅かの時間でも制作を続けるという自分に課したノルマがあって、小さな平面作品を毎日作っています。このブログも同じです。心が浮き足立って楽しい時もあれば、仕事に疲れて制作なんてやっている場合じゃない時もあります。それでもそこだけは自分に厳しく、制作が乗ろうが乗るまいが継続あるのみです。一日のうち多少でも創作活動に関われば、ずっと先になって後悔することはないと思うからです。以前のブログにも書いた記憶がありますが、これは塵も積もれば山になる例え通り、蓄積していく創作活動です。蓄積によって心の平穏を保ち、安心を得ることにも繋がっていきます。この塵のような蓄積はRECORDというタイトルでホームページにアップしているので、発表する場所があります。不特定多数の人に見られるという意識が、自分にとって大変プラスです。毎日作って、インターネットに乗せる、この方法により塵のひとつひとつが意味のある塵になっていくと思っています。
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