Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 窯出しの瞬間
    陶芸をやっていて、何と言ってもワクワクする瞬間が窯を開ける時です。何年やっていてもワクワク感は変わりません。歓喜か絶望か。ただ自分は陶彫の無理なカタチで何度も失敗しているので、焼成で味を出すようには考えていません。無難な焼成の設定をしてしまうのです。おまけに部分を焼いて、それぞれを組み合わせる作品となれば、なおさら冒険は出来ません。こんな焼き方をしたらこんな景色が出来たというのはありません。部品が同じように焼ければ満足なのです。でも窯出しの瞬間は興奮します。魔法のように土が変化して石化するのが楽しくてなりません。陶芸の醍醐味です。    Yutaka Aihara.com
    「柳原・土谷・江口」3人展
    練馬区立美術館で開催している「柳原義達・土谷武・江口週 彫刻3人展」に行ってきました。何故練馬区の美術館かというと、どうやら練馬にある日大芸術学部の教壇に立っていたことがある3人で、そうした関係で同地で展覧会をすることになったようです。ともあれこの3人の彫刻家は自分が敬愛し注目する作家ばかりで、これは横浜から行く価値が充分あると思いました。期待通り刺激的な作品ばかりで、見終えた印象は(日本の現代彫刻界で評価を得た人たちとは言え)自分が創作に立ち向かう気力をいただけたと思い、明日からまた頑張るぞと決意できました。中でも自分は土谷ワールドが気に入っていて、鉄を生き物のようにしてしまう造形感覚が楽しくて、今まで何度か見た作品も含まれていましたが、見るたびに新しい発見があります。とくに軽みを感じさせる晩年の作品は、ふと足を止めてしまう魅力がありました。Yutaka Aihara.com
    化粧土による深み
    白い釉薬のかかった陶器は白色が平面性を強調してシャープでシンプルな雰囲気を出します。また、厚めに釉薬をかけた陶器は淡雪のような景色を感じさせます。同じ白でも黒っぽい色の土に白化粧した陶器は、下の土の色と微妙な風合いを出して、立体的な深みを出してくれます。そこに透明釉をかけると、白い釉薬をかけた場合とは、まるで作品の印象が変わります。自分はこの化粧土が大好きで、自作の陶彫で様々な試みをしています。最初のイメージは風雨に晒された壁を、黒っぽい土にいろいろな化粧土をかけて表そうとしました。最近ではもっぱら錆びた鉄のような陶彫作りやっています。これも化粧土のもつ深みを利用しているのです。今日は夏に成形しておいたランプシェードに化粧土をかけました。近いうちに窯に入れようと思います。Yutaka Aihara.com
    仮想現実の世界
    先日ホームページにアップした自作の陶彫も、現在作っている木彫も仮想現実の世界に存在するものとして考えるようにしています。たとえそれがパソコン画面や映像によるものではなく、実材を使って実際に存在するものを作ったとしても、その空間を体験して感じるものはイメージの世界であり、たとえば木彫はそのイメージを喚起するために造られた装置とすれば、アートはすべて仮想現実と言えると思います。そうした造形物は人の心の余裕から生まれるものであり、またそのくらいの余裕や遊び心がないと、生活に潤いが生まれないと思います。それは大いなる無駄なのか、文化なのか、観る人や考える人によって感じ方も様々です。生活がぎくしゃくすると一番最初にヤリ玉にあがるのはこうした余裕の世界で仕事をしている我々で、経済的生産性の無いものは必要なし、ということになりかねません。そんな国にならないよう願うばかりです。 Yutaka Aihara.com
    「発掘〜円墳〜」ギャラリーにアップ
    今年の個展(ギャラリーせいほう)で発表した「発掘〜円墳〜」がホームページのギャラリーにアップしました。陶彫によるテーブル彫刻です。テーブルの中央に穴があって、そこから覗いた写真が2点あります。カメラマンによる独特な視点が作品に広がりを与えてくれています。タイトルを「円墳」としたので、発想した最初の原点に戻ってコトバを考えました。この作品はひとつひとつの陶彫ユニットをボルトで接合していますが、これがうまくいかず悩んだ作品です。陶彫は窯で高温で焼くので穴の位置が歪んで、上下に接合するユニットがずれてしまうことが多々あるのです。穴を複数開けて、たとえ歪んでも対応できるように工夫しました。テーブルに接合されて完成を見た時は嬉しかった記憶があります。たちまち反省に変わるのですが、何はともあれ頑張ったと今でも思っています。 Yutaka Aihara.com