2009.10.16 Friday
今月のRECORDは市松模様を基本に、そこに他の要素を持ち込んで作品にしています。ちょうどチェス盤の上に様々な駒を置いていくような按配です。ブログで度々繰り返して書いていますが、RECORDとは一日1点ずつ作品を制作し、その蓄積としての行為を総称したものです。大きさはポストカード大で、主に平面作品でやっていますが、かつてはレリーフのようになっている作品も作っていました。市松模様で印象的なものは京都桂離宮の青と白の襖です。現代的な感覚が日本家屋の中にあって、かえって新鮮でした。RECORDの展開も何か新しい要素が欲しいと常日頃から思っているのですが、今のところ薄っぺらなイメージしか浮かびません。もう少し別の視点があればと思索しています。RECORDの今シーズンも残すところあと3ヶ月となりました。今シーズンはパターン化したフォルムの繰り返しをやってきましたが、そろそろ方向転換がしたくなっています。
2009.10.15 Thursday
今月12日「体育の日」の休日を利用して、東京上野公園にある3つの美術館(博物館)を見て周りました。3つ目に訪れた上野の森美術館では「聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝」展が開催されていました。ここに入場して、まず思ったことは若い観客が多いということです。チベット仏教の仏像や曼荼羅を熱心に見入る若い男女がよく目につきました。アジアの国々を旅したい思いなのか、また旅をしてきて、その思いを振り返っているのか、十一面千手千眼観音菩薩像や男女2対が一体化した父母仏立像やタンカ(チベット軸装仏画)をじっくりと眺めていました。自分もチベット人の美的感覚はひとまず置いて、その仏教美術の手の込んだ凄まじさに思わず見入ってしまいました。これは日本の仏像にも言えることですが、仏教の法典やその思想を折りあれば勉強したい欲求に駆られます。それらを学んだ上でチベットに行って、仏教美術が生まれている環境を体感したいと思いました。造形美術はその根幹に哲学を有しています。その哲学が純粋に美的価値を求めているのか、また宗教としての哲学を持っているのかで造形の在り様が変わってきます。それは洋の東西、古代から現代に至るまで全てに関わってくるものです。作品がどんな思想を表しているのかを探り、そうしたモノが出現する土壌を考えることは異文化理解に欠かせないことだと思います。
2009.10.14 Wednesday
一昨日の上野の美術館(博物館)巡りの2館目。東京国立博物館で開催されている「皇室の名宝」展に行ってきました。駆け回った3館のうち一番混雑していたのが、この「皇室の名宝」展でした。展示されているのは有名な作品ばかり。皇室の所蔵ではありますが、これは日本の名宝であり、どの作品にも見られる迫力ある表現は、日本人として誇りを感じました。写真図版でよく見る狩野永徳の「唐獅子図屏風」は、バランスの取れた構図に加え、筆致も的確で勢いがあり、鬣の渦巻く獅子の風貌は、しっかりとした骨格の上に風格のある表情が生まれていて気持ちよさを感じました。伊藤若冲の連作は鶏や花々が精緻な技法をもって描かれていて、とくに羽根の幾重にも重なる表現には浮き出てくるような空間が感じられ、その内容と技法は充実期を迎えた画家を物語っているように思えました。こういう大作ばかりが並ぶシリーズを見ていると、こちらまでウキウキしてきます。画家がこれでもかと自身の可能性を試しているようで、たとえばスポーツによって鍛えこまれた筋肉を作品がもっているように自分には感じられるのです。変な例えですが、自分はいつもこんなふうに感じています。「皇室の名宝」展を見ていたら、純和風の幕の内弁当が食べたくなりました。ちょうどお昼時だったせいかもしれませんが…。
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2009.10.13 Tuesday
本来なら公立美術館(博物館)の定休日は月曜日なのですが、昨日は「体育の日」だったので、美術館は営業をしておりました。そこで、東京上野にある3つの美術館(博物館)に足を運び、上野で体験できる世界一周美術の旅に出かけました。欧州代表は「古代ローマ帝国の遺産」展で西洋美術館、日本は「皇室の名宝」展で国立博物館、アジア代表は「聖地チベット」展で上野の森美術館。以前のブログにも書きましたが、一日3館までが美術鑑賞としては限界なので、昨日はこの3つの展覧会を満喫してきました。今日はまずイタリア美術を取り上げます。ヴェスヴィオ火山の噴火によってポンペイ等の街が灰に埋まって、それ故現在まで克明なカタチで遺産が残されたのは歴史の皮肉というべきか、ともあれ民家に残された壁画や装身具を、我々は目の当りに見ることができるわけです。とくに「庭園の風景」と題された壁画は、まるでA・ルソーの油彩画のような芳しい色彩美に溢れ、美術館の長椅子に座って、じっと眺めていると、葡萄の蔓が絡まる豊かな庭園が想像できました。ギリシャ彫刻のある柱にも新鮮さを感じました。かなり前に自分は5年間の滞欧生活を経験しているのですが、その時は何てことのなかった西洋の美が、今こうして日本で見ると不思議な魅力に輝いて見えます。ワインとパスタが恋しくなったひと時でした。
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2009.10.12 Monday
三連休最終日は制作を休んで、午前中は東京上野の美術館3館を駆け回り、午後は中国の伝統楽器の演奏会に出かけました。家内の知人で胡弓仲間の人が中国伝統楽器を独奏するというので、横浜の神奈川県民ホール(小ホール)に行き、二胡や板胡、高胡、二泉琴の音色にしばし時間を忘れました。最後にミニコンサートをした師匠の陳臻さんの演奏が大変素晴らしく、これを聴くことができて良かったと思える夕べになりました。家内のやってる胡弓と中国の伝統楽器はかなり異質なモノで、たとえば二胡はピアノと合奏していました。胡弓は三味線と合奏するので、二胡の方が音色としては西洋楽器に近いのかもしれません。また自由さもあるように思えます。陳臻さんの演奏した「三門峡暢想曲」は、フィナーレを飾るのに相応しい大作で、音色の緩急が胸中に染み入りました。ご本人の言う「日本と中国の懸け橋となるように…」という意図が演奏を通じてよくわかりました。自分のやっている造形美術もそうですが、音楽にも国境はないとつくづく感じます。
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