Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 365点の連作 額作り
    今月12日のブログに書いた365点の連作のための額作りを始めました。12日に試作したものより大きめのアクリルと板材を購入し、板材をパネルにするために加工しました。何と言っても12ヶ月分あるので12枚作らねばならず、作品を額内に並べるために寸法を測り、またアクリル板を固定するボルト・ナットの位置を決めるなど実に手間のかかる作業になりました。作品制作以外で手間のかかることは面倒なことです。作業場に来ている教え子は大学の課題に追われ、こちらから手伝いもお願いできず、結局は一人でコツコツやっておりました。今月もあと一日で終わろうとしています。明日は制作の進み具合をチェックして、来月からの制作を考えていこうと思います。Yutaka Aihara.com
    「点・線・面」より訳者解説について
    西田秀穂訳によるカンデインスキー著「点・線・面」を読んだ感想としては「バウハウス」時代のの教材研究のひとつとして書かれた内容が、今でも新鮮さを失っていないことに気づいたことです。ただ内容は内容として理解したものの、実の面白さは別のところにありました。訳者解説がとくに面白かったのです。それはカンデインスキーの生きざまが身近に感じられたことです。訳者の「覚書」の中で「ドアを挿んで9年間、壁を挿んで7年間」カンデインスキーとクレーが住んでいた様子が描かれ「家の前には、それぞれ、カンデインスキーとクレーとの、丹精をこめて造った小さな庭があった。とくに区別する柵のようなものはなかったが、少しずつ違った鍬の入れ方をした二つの地所の間には、眼に見えぬ柵でも立っているようだった。」というエピソードが綴られています。そうした何でもないところに両家の交流が感じられ、それらをいろいろ想像をして楽しい気分になりました。芸術家・教育者として一流のカンデインスキーやクレーですが、隣同士の住居もちょっと覗いて見たくなりました。                        Yutaka Aihara.com
    「麻田浩展」で感じたこと
    京都の話題が続きますが、京都国立近代美術館で開催されている「麻田浩展」を先日見てきました。この細密な幻想絵画をどこかで見た記憶があります。大きな展覧会だったかもしれません。没後10年と副題にあったのが驚きでした。そんなことつゆ知らず、絵画を見ているとまだ旺盛な活動を展開しているような気がします。絵画が現代、いや現在に繋がっていると錯覚しそうなくらい新しい雰囲気を漂わせているからです。自分もかつてウィーンに滞在し、幻想絵画に親しんできました。当時から日本人の中にも優れた画家がいて、日本人特有の幻想絵画を築いています。それは「水」であったり、「自然」であったりします。「麻田浩展」を見て感じたことは、日本人あるいは京都という風土が生んだ幻想空間が現れていたことです。そこに郷愁は感じませんが、風土を感じ取ることができました。
    東福寺の「方丈庭園」
    見たい庭園のひとつに東福寺の方丈庭園がありました。このブログでも何回か取り上げた重森三玲による庭園だからです。かつて見た記憶はあるのですが、改めて空間造形としての視点から眺めて見たいと思っていました。先日京都を訪れた際、この方丈庭園を見ることが出来ました。「南庭」は渦巻く砂紋の八海に浮かぶ四仙島に見立てた石があり、その縦横に配置された石の絶妙なバランス、空間の心地良さに時間を忘れました。「東庭」は小市松がリズミカルで楽しく、イサム・ノグチが「モンドリアン風の〜」と評した理由がわかりました。まさに庭の抽象化。さらに北斗七星と呼ばれる庭は、柱石の余石を利用した庭で、まさに現代の「場の彫刻」や「空間演出」の先駆けとなるものだと思いました。東福寺にあって現代に通じる空間的な刺激をもらいました。                           Yutaka Aihara.com
    建仁寺の「双龍図」
    日本画家小泉淳作氏による「双龍図」は、かつてテレビで放映された制作ドキュメントで知りました。北海道の学校の体育館を借りて、綿密に描かれた下図から、いよいよ巨大な天井画に移していく過程は気迫に満ちていました。本物が見てみたいという気持ちになり、先日京都を訪れた際に天井画のある建仁寺に立ち寄ることにしました。法堂の天井に描かれた2頭の龍。やはり現代の作家だけあって、モダンなデザイン性が感じられ、まだ生まれたばかりの龍という印象を受けました。でも迫力は他の天井画に劣らず、むしろ歴史が認めた他の天井画を凌駕するとさえ思いました。背景の墨の美しさ、デザイン化された火炎のほんのりした紅色、渦巻く雲の薄墨などの画面処理も大変美しく、見飽きない大作と感じました。