2009.08.27 Thursday
ブログはホームページを開設してから、ほとんど日課として欠かさず書いています。過去の記録を読むと内容はまちまちで統一したものはありません。まず作品制作のあれこれについて。イメージの源泉を辿ってみたり、素材や技法のことや制作過程のこと、時に不安や焦りも交えて、よくもこんなことまで書いているなぁと思います。次に読んだ本の感想やそれによって得た知識や思索したことなど。浅はかな思考を露呈する結果になっても凹むことなく書いています。さらに旅行した先で見聞したことや展覧会の情報などを伝えることもあります。ブログは自分だけのメモではなく、ホームページ上でアップしているものなので、全世界に向けて公開していると言っても過言ではありません。にも関わらず自分のメモ的な内容も含まれていて、昨年の個展ではどの時期に案内を出したか、お礼状はどうだったかを見て確認しています。むしろ自分ではこれが便利なのです。3年以上も続けていると、前に書いたことがある内容も繰り返してしまう恐れがあります。でも振り返るのが面倒な時は、そのまま平然と済ましてしまうこともあります。今日はブログに纏わるあれこれを思いつくままに綴ってみました。
2009.08.26 Wednesday
個展に来ていただいた方々へお礼状を出すことにしました。芳名帳からピックアップして数十人の方々に郵送いたします。とくに今回のお礼状は自分から案内を送った方々に限らせていただいています。個展を開催する際に、案内状、図録、お礼状の3点は準備するようにしてきました。わざわざ東京の銀座まで足を運んでいただいたことに対する感謝です。個展開催も人に支えられていることは言うまでもありません。自分はお陰さまで毎年個展をやらせていただいています。自分を叱咤激励する意味でも気力・体力が続く限りやっていこうと思います。ギャラリーせいほうは、彫刻専門だけあって空間がたっぷりとれる広い画廊です。大作をひとつは作らないと空間が生きません。来年も「構築シリーズ」を作ろうと思っています。新築した仕事場での最初の作品になります。木彫と陶彫という二つの技法で再び挑むつもりです。来年もよろしくお願いいたします。
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2009.08.25 Tuesday
表題は岡本太郎著「日本の伝統」の中に収められている縄文土器を扱った章です。今夏新潟県の十日町市博物館に行き、国宝「火焔型土器」を見て、自分もかつて岡本太郎の文章に啓発されて、縄文土器の美しさに気づいたひとりとして、もう一度「日本の伝統」を読み返してみたくなったのです。「彼らはきわめて厳格な宗教儀式なしには猟ができないと考えていますが、それはけっしてたんに功利的な理由ではありません。〜略〜矛盾にたいしてとられる、せっぱつまった厳粛な営みにほかならないのです。そこに不安と危機があります。強烈な矛盾に引きさかれ、それに堪え、克服する人間の強靭な表情を縄文土器ほどゆたかに誇り、しめしている芸術を私は知りません。」といった文章はどれもテーマに対してまっすぐに語られていて、気持ちよさがあります。まるで縄文人が自作を語っているようであり、文章によって縄文文化が構築されていくようです。なるほど若い頃の自分に沁みてきたエッセイだなと改めて思った次第です。
2009.08.24 Monday
A・ブルトン「魔術的芸術」の最終章に辿り着きました。今夏ずっと本書を読んでいたわけではなく、いろいろ浮気もしましたが、これはなかなか手強い書物であったという印象は拭えません。最終章は「ふたたび見出された魔術 シュルレアリスム」で、ブルトンの世界観が面目躍如とした章です。本書で、シュルレアリスムは「人間精神の全面的な建てなおし」と述べ、「心の領域の深みにおける内観と、宇宙および情念の激動への狂おしい参加とを一体化させるような『王道』」と説いています。デュシャン、クリンガー、デ・キリコ等を流暢に論じていて、「魔術的芸術」がふたたびシュルレアリスムによって継承され、「精神の無条件の解放」を結びの言葉にしています。読み終えてみると、本書は最終章で語られていたシュルレアリスムの視点・思考が、即ち「魔術的芸術」の根幹を成すものではないかと思ってしまうほど、最終章で述べられていることにすべてが向っていたとも思えるのです。通念の美術史を別の角度から論じた本書は、歴史の継承が論証によって影にも日向にもなりうることを示しています。書店で偶然見つけた本書には、自分の興味関心がある図版が多く掲載されていたので、つい購入して読むことになったのですが、本書をじっくり読み解きながら、今夏は素敵な時間を過ごせたことに感謝せねばなりません。またこんな本と出会えればと願っています。
2009.08.23 Sunday
現在、MOA美術館で「アフリカの美〜ピカソ、モディリアーニたちを魅了した造形〜」という企画展が開かれていて、これは自分の興味関心のある分野なので、休日の高速道路の混雑にも関わらず、熱海まで出かけていって見てきました。かつてニューヨーク近代美術館で「20世紀美術におけるプリミティヴィズム展」があって、それに関する分厚い書籍(図録)を、自分が滞欧していた国で手に入れて持っています。その書籍はドイツ語で書かれています。(翻訳はキツいので図版だけ見ていました…)今回の「アフリカの美」展は、ピカソを初めとするヨーロッパの巨匠との作品をアフリカ民族の仮面や布と並列して、確かにその相似性を打ち出した展覧会ではありますが、それだけに留まっていない印象を持ちました。アフリカでそれらのモノが美術ではなく、儀礼や日常生活の中から生み出されてきたモノであることを捉え、さらに現代アフリカの「美術」も総括する内容になっています。いわば西洋一辺倒な考え方(ヨーロッパの芸術家がアフリカから着想を得た当時の思想)から、一歩抜け出し、アフリカ側の美術も網羅した展覧会になっていると思いました。
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