Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 「魔術的芸術」二つの大いなる…
    A・ブルトン「魔術的芸術」もあと少しで終わりです。先日出かけた「ゴーギャン展」に纏わる章に差し掛かりました。「二つの大いなる綜合」という副題がついた章です。二つというのはギュスターヴ・モローとポール・ゴーガン(ゴーギャン)の二人の画家を指します。「魔術的芸術」で取り上げる芸術家はいずれも特徴があって、この二人の画家を見てみると、なるほどと頷けるものがあります。モローは神話の探求に専念し、魔術的な「眼」をもつ画家として語られ、今までの頽廃主義的な評価に厳しい論評を加えています。ゴーガンの作品もいたるところに魔術が存在すると書いていて、批評家のいう原始主義に対して批判的です。両巨匠とも「魔術的芸術」の観点からすれば、美術史の中で重要な役割があっていいはずと思えてきます。「ゴーガンの絵画はヒューマニズムなどではなく、タブローの物質的諸要素そのものから出発する神話の探求である。」という箇所が印象に残りました。  Yutaka Aihara.com
    「パウル・クレー 東洋への夢」
    表題の展覧会は、静岡県立美術館で開催されているもので、知人からチケットをいただいたので行ってきました。クレーはたびたびブログに書いている画家で、この巨匠に関する興味はずっと尽きません。自分は20代前半で初めてミュンヘンに行き、レンバッハギャラリーで見たクレーの版画や素描に刺激を受けて以来、ずっとクレーの展覧会があると出かけていました。今回の企画は、日本や中国の美術に対するクレーの影響が、どんなカタチで表れているかという視点で、主に素描を中心とした展示内容になっていました。やはりクレーは面白いと改めて思いました。サクっと描いた線や思い惑う線がクレーの心理描写そのもので、落書きのような紙片がクレーの内面を雄弁に物語っていました。北斎漫画のポーズを模した小作品に、自分は何かを瞬間的に感じ取って、当時クレーの身近で起こっていた出来事等に思いを馳せました。晩年迷いの無い線や面が強靭な画面を作り上げても、カタチや色彩の詩人でありつづけたクレーの詩魂を感じずにはいられませんでした。
    疲労感と充実感と…
    この夏は例年の夏より疲れていると感じることがあります。職場にいる時の立場のせいか、たまに休みを取れば新潟県や群馬県や長野県を渡り歩いているせいか、倉庫を建設して作業場として整備を急いでいるせいか、原因はよくわかりません。例年も夏の暑さと戦い、土練りや木に鑿を振るう毎日を過ごしているのですが、今年は定番化した夏の習慣とは少し違うので、やはり疲れているのかもしれません。早く倉庫での作業に明け暮れたいと思っていても、気ばかり焦って物事進まずといったところです。先日の作品引越しの疲れがまだ残っているらしく、今ひとつヤル気が出ないのです。明日もう一日休みをもらって…と思っているのですが、ブラブラ出来ない性分なので、静岡県に行ってしまうことになりそうです。それでも作業が習慣化した生活を夢見て、今月が終わるまでには何とかしたいと考えています。     Yutaka Aihara.com
    軽量棚搬入で環境作り
    亡父が残してくれた植木畑に倉庫を建てて、作業場の確保に全力を注いでいます。今日はスティール製1800×900×600の軽量棚が10台搬入されてきました。その組み立てに汗を流しましたが、今日だけでは終わるものではありません。出来上がった棚に収納箱を入れると少し室内の雰囲気が変わりました。どんな環境の中で作品のイメージが生まれ、また具現化していくのか、作家にとっては大切なことです。昨日伺った長野県の池田宗弘宅は、ドン・キホーテに現代の風刺を語らせ、またキリスト教に纏わる群像を真鍮直付けという技法で数多く制作する作家に相応しくスペインの修道院を模した工房です。塀に囲まれた中庭(野外)で溶接等の金属加工が出来るようにしてあります。蔦の絡まる壁に置いた真鍮の立体作品が、池田先生の美意識を物語っているように思います。では自分はどうなのか。自分が建設した場所は、まるで工場のような無味乾燥な空間です。外には緑が溢れていますが、室内は鉄骨等建築素材丸出しのオープンスペースになっています。でもこの合理性が自分には合っていると思っています。自分はこうでなくては作品のイメージが出てこないのです。軽量棚に道具や工具を整理して、早く作業を始めたいと思う今日この頃です。                     Yutaka Aihara.com
    「池田宗弘が見た善光寺街道」
    表題の展覧会は、長野県東筑摩郡朝日村にある朝日美術館で開催されています。彫刻家池田宗弘は自分にとっては師匠で、彼から彫刻のノウハウを教わり、今もお付合いをしていただいている人です。毎年夏に東筑摩郡麻績村にある池田先生のアトリエを訪ねるのが習慣になっています。今年は池田先生の住んでおられる周辺地域の旧道を先生自身が調べられて、絵地図としてまとめられた作品を、同地の美術館で発表することになったようです。先生曰く「スペインの巡礼地と同様に、日本中にその名は知られていた信仰の古道、廃れた善光寺参りの道、利用されなくなった状況に初めて気がついた。しかし意識して見ると古い民家もあり、歩き道は美しい風景の中に続く。その道と村々には驚く程沢山の石造文化財が地元の生活の中で大切にされ日々の習慣や年中行事の伝承に深く関わり続けていた。」といった動機で、この途方も無い調査を始められたようです。作品はまだ未完とおっしゃっていましたが、ざっと見るだけで1時間はかかる量が展示されておりました。美術館を出た後、先生宅にお邪魔して時間を忘れるほどお喋りをしてきました。相変わらず先生のお元気な様子を拝見して、ほっとしています。