Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 「魔術的芸術」混沌への…
    A・ブルトンの「魔術的芸術」を読み進み、ついに表現主義の時代に到達しました。昨年夏のブログに表現主義について多くの文章を掲載していることもあって、「魔術的芸術」における「混沌への誘い 表現主義から表意文字へ」の章は大変興味深く読むことができました。マルクの色彩を帯びた幻覚的な動物たちのモチーフ、ムンクの人間の苦悩を描き出す精神性、そして多く紙面を割いているのはカンディンスキーで、「魔術的芸術」の論点からカンディンスキーを知ることになりました。昨年夏に読んだカンディンスキーに纏わる評論や「点・線・面」などの自論に加えて、ブルトンの「カンディンスキーは世界の再創造の中心に一気に飛びこんでゆき、『抽象』の問題を提出すると同時に解決してしまう。(中略)カンディンスキーの作品は、『カオスの通過』のリズミックな、また、象徴どころではない紋章的な解決を提示している」という文面を通して、抽象化を進めた芸術の開拓者の並々ならぬ業績を感じずにはいられませんでした。             Yutaka Aihara.com
    体力消耗の一日
    今日はレンタルトラックで、朝から夕方まで実家と新築した倉庫を何往復かしました。実家の車庫に置いてある「発掘〜円墳〜」「発掘〜地下遺構〜」「発掘〜遺構〜」の3作品を倉庫に移すためです。この3作品はいづれもテーブル彫刻で集合体で作られています。そのため数々のパーツが箱に入っています。「発掘〜遺構〜」は木箱に入っていたので問題はなかったのですが、残り2点の作品はダンボール箱だったため、形がやや崩れ、また屋根つきの車庫といえども雨の影響もあって、何箱かは作りかえる必要を感じました。とにかくトラックに箱を積んで実家と倉庫の往復を繰り返すことはとても大変でした。今日に限って手伝う人がいなくて、おまけに炎暑に見舞われ、体力を消耗しました。汗が滴るシャツを何枚も替え、ミネラルウォーターをがぶがぶ飲みながら、立体作品は元気じゃないと出来ないなぁとつくづく思いました。もう一回トラックを借りて、別の倉庫から新築した倉庫へ作品を持ってこなければなりません。それはまた次回。もう少し涼しくなってからやりたいと思います。                      Yutaka Aihara.com
    「魔術的芸術」大いなるあやかし…
    A・ブルトンの「魔術的芸術」を読んでいます。「大いなるあやかし」という章に差し掛かり、「眼の錯覚の不思議とその限界」と副題がついています。いわゆる「だまし絵」を含めた視覚を惑わす絵画世界の論証です。ウッチェロはシュルレアリスムの先駆者と言われている画家で、「情熱と想像力と、もっとも厳密な数学とがまざりあった」画面で、特異な世界観にかなり紙面を割いています。続いてヴァン・エイクの引用もありますが、何と言ってもアルチンボイドの肖像画が登場し、「不思議な肖像の数々を制作するにあたって用いている寓話的要素の選択と配置が、ほとんど秘教的な配置の結果であるとする証言が存在する」といった論証が続いています。A・ブルトンはシュルレアリスムの思想家であることを考えれば、こうした世界に多角的にスポットライトをあてて検証することは当然であると思えます。   Yutaka Aihara.com
    「ゴーギャン展」を見る
    東京国立近代美術館に出かけたのは久しぶりです。皇居の周りを走る人たちを横目で追いつつ夜美術館に入りました。金曜の夜は遅くまで開館しているので、きっと混雑は免れると思っていたのですが、まだたくさんの人がいて熱心に見ていました。「ゴーギャン展」は代表作が来ていて、大いに満足しました。実はゴーギャンは昔から大好きなのです。今読んでいるA・ブルトンの「魔術的芸術」で、かなり紙面を割いてゴーギャンを論評していました。論評にざっと目を通したのですが(それは後述)、今回は実際に自分の目で確認したゴーギャンの世界について述べたいと思います。誤解を恐れずに言うなら、ゴーギャンの絵画で、最初に目に飛び込んでくるのは、独特な色彩で大きく分割された画面構成です。平塗りのようでいて不思議な立体空間を感じさせる色面。風景や人物の輪郭そのものが立体を予感させるような骨太で繊細な平面。画面上のひとつひとつが独立しているようなコラージュ化したモチーフ。そこに光を利用した立体感とも違う象徴とも表現主義とも言える世界を自分は感じ取ってしまうのです。この不思議な感じを持ち続けたまま美術館を後にしました。まだ考えが及ばないところですが、これは追々考えていきたいと思っています。                 Yutaka Aihara.com
    「魔術的芸術」伝説的メッセージ…
    A・ブルトンの「魔術的芸術」を読み進んで、ついに近代の時代に入ってきました。「伝説的メッセージの継承」という章はルネサンスから始まりますが、ここでは有名なダ・ヴィンチではなく、コージモを取り上げています。「汚物にまみれた壁に、彼はこの世のもっとも美しいもの、馬や戦い、すばらしい都市や壮大な風景を読み取っていた。」とコージモ絵画を語っています。次にカロンという政治的アレゴリーや壮麗な祭儀を描いた画家に不安な想像力を見出しています。そこからアングルにいたるまで通念としての美術史にはほとんど登場しない画家が続いています。「魔術的芸術」という視点で美術史を見直す時、最近になって発見された画家も含めて、近代的思考による合理化(ルネサンス等)と相容れない要素があって、人間が創造的行為のために何を受け入れてきたかを浮き彫りにする結果になっています。  Yutaka Aihara.com