Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 東福寺の「方丈庭園」
    見たい庭園のひとつに東福寺の方丈庭園がありました。このブログでも何回か取り上げた重森三玲による庭園だからです。かつて見た記憶はあるのですが、改めて空間造形としての視点から眺めて見たいと思っていました。先日京都を訪れた際、この方丈庭園を見ることが出来ました。「南庭」は渦巻く砂紋の八海に浮かぶ四仙島に見立てた石があり、その縦横に配置された石の絶妙なバランス、空間の心地良さに時間を忘れました。「東庭」は小市松がリズミカルで楽しく、イサム・ノグチが「モンドリアン風の〜」と評した理由がわかりました。まさに庭の抽象化。さらに北斗七星と呼ばれる庭は、柱石の余石を利用した庭で、まさに現代の「場の彫刻」や「空間演出」の先駆けとなるものだと思いました。東福寺にあって現代に通じる空間的な刺激をもらいました。                           Yutaka Aihara.com
    建仁寺の「双龍図」
    日本画家小泉淳作氏による「双龍図」は、かつてテレビで放映された制作ドキュメントで知りました。北海道の学校の体育館を借りて、綿密に描かれた下図から、いよいよ巨大な天井画に移していく過程は気迫に満ちていました。本物が見てみたいという気持ちになり、先日京都を訪れた際に天井画のある建仁寺に立ち寄ることにしました。法堂の天井に描かれた2頭の龍。やはり現代の作家だけあって、モダンなデザイン性が感じられ、まだ生まれたばかりの龍という印象を受けました。でも迫力は他の天井画に劣らず、むしろ歴史が認めた他の天井画を凌駕するとさえ思いました。背景の墨の美しさ、デザイン化された火炎のほんのりした紅色、渦巻く雲の薄墨などの画面処理も大変美しく、見飽きない大作と感じました。
    京都 旧交を温める
    今月9日に「益子・笠間 旧交を温める」というブログがあります。笠間に住んで陶芸をやっている友人との関わりを書いたものです。今回は京都編。京都には20数年来の友人である渡辺聖仁・広子ご夫妻が住んでいます。聖仁さんは木版画をやっていて、滞欧中に知り合って意気投合した作家です。人柄の良さばかりではなく、彼の真摯な制作姿勢は見習うところがありました。聖仁さんの木版画は、全体的には詩情溢れる画風ですが、情緒に流されることなく画面全体を堅牢な構成が貫き、引き締まった印象を与えます。とくにヨーロッパの街並みを純粋な色面構成に至るまで抽象化した作品は、木版画のしっとりした風合いに対照的なモチーフをぶつけて、ドライでモダンな世界を表現しています。長いウィーン生活で培ったものが深く押さえこんだ色彩として、またメリハリの効いた構成要素として表れ、それが彼のユニークな世界を作っているのだと感じます。23日は渡辺ご夫妻に会えたことで自分も元気をもらった貴重なひとときでした。聖仁さんの木版画は「ギャラリーあおい(名古屋)」のHPで見ることができます。        Yutaka Aihara.com
    修学院離宮から東山界隈
    久しぶりに叡山電車に乗りました。京都のはずれにある修学院離宮は宮内庁に許可を願うところで、桂離宮ともども初めて拝見することになりました。離宮の中に田畑があって、眼下に広がる京都市街を眺められる場所は、まさに絶景の離宮でした。宿泊した東山の霊山観音近くの宿舎からも京都タワーが見え、ここも絶景と呼ぶにふさわしい場所にありました。折りしも前が霞んでしまうような夕立があって、それから翌朝に雲が棚引く風景に一転した時は、まるで屏風に描かれた京都市街を見ているようでした。二年坂を散策し、祇園へ抜けていく道は、京都ならではの情緒がありました。     Yutaka Aihara.com
    桂離宮の印象
    昨日京都に到着して、まず桂離宮に向かいました。ドイツの建築家ブルーノ・タウトが「泣きたくなるほど美しい印象だ。」と絶賛し、それで自分も知ることになった桂離宮。また「桂離宮では眼は思惟する。桂離宮では、眼は思考と芸術との、或いは、哲学と現実との媒介者である。」との名言を残しています。宮内庁に許可を願い、入園時間も指定された桂離宮でしたが、やはり見てよかったという印象です。庭や書院、茶屋も全てを見渡せず、回遊しながら少しずつ絵画のように見せる方法に思わず唸り、庭と建物の絶妙なバランスに気持ちが高ぶってしまいました。どこに眼をやっても考え抜かれた構成に究極な美意識を見るようでした。茶屋の小さな細工に遊び心がいっぱいあって、絢爛豪華が決して贅を尽くしたものではない、むしろ選び抜かれた簡素さが心に沁みる究極の贅であると示しているようでした。   Yutaka Aihara.com