2008.06.07 Saturday
48本の杉の柱。7月の個展に出品する「発掘〜遺構〜」の陶彫部分を支える部分になります。陶彫は錆鉄の質に近い色合いを焼きしめて出しました。それを支える部分には杉材の荒彫りだけの処理では何か納得が出来ず、杉の柱を触りながらいろいろ思案していました。結果、杉の柱をバーナーで炙って陶彫の質感と合うようにしてみました。杉の柱は半分以上が焦げた状態になり、素材の変化に面白さを感じました。イメージとしては沈黙した都市空間を表現しているので、焦がした杉の柱はイメージをさらに鮮明に捉えられると考えました。火災や震災などの大きな災害が根底にあって、作品は現代に対する警鐘のようにも取れますが、実際には社会的で具体的なメッセージは明確化できていません。これは単純に造形作品として観ていただきたいと思います。
2008.06.06 Friday
6月のRECORDのテーマは「台形」です。台形らしい台形を考え、画面の中に自然な収まり方をするようにサイズを決めました。とにかく安定している図形です。あまり面白味もなく展開にも欠ける図形ですが、そこを何とか構成で工夫して、新しい台形の可能性を見つけたいと思います。台形は立体で言う台座のようにも見え、台形の上に何かを置かないと空虚に見える図形です。その空虚感を出してみるのもいいかなと思っています。彫刻でも台座しかなかったりすると、そこに不思議な意味が与えられているような気がします。台座の上に彫刻が置かれると妙に安心します。台形は何かを支える図形であり、支えるものが存在しなかったりすると不思議な意味を持ってくるかもしれません。
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2008.06.05 Thursday
ポーランド映画で「ニキ フォル〜知られざる天才画家の肖像〜」を観ました。坦々と描かれた老画家の物語で、演じている俳優もかなり老齢な感じを受けました。地方都市を舞台に観光客相手に絵を売る老いた画家がいて、その彼がある画家のアトリエに居候を決め込むところから物語は始まります。アトリエのある画家には家族がいて、突然やってきた招かれざる客の老画家を追い払おうとするのですが、そのうち老画家と心を通わせるようになり、病院に入れるまであれこれと面倒を見る展開になります。老画家は温かみのある素朴派の画風で、そうした風情が映像全体を包みこんで、詩情豊かな雰囲気を出しています。冬ざれた街がとくに印象に残りました。
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2008.06.04 Wednesday
今年7月21日から予定している銀座での個展。図録作りが最終段階に入っています。今晩はお馴染みのカメラマンが来て、追加撮影をしていきました。ギャラリーせいほうに今月末までには図録やDMを持っていかなければなりません。今回も前回同様に図録が楽しみです。個展はまだこれからなのに自分の足跡を残している実感とともに現在の作品の履歴が刻まれます。作品の反省も多々あるのですが、それは個展搬入の時にしておきます。いろいろ公務が立て込んで大変な時に、こうした自分の世界があるのは幸せなことで、またそれによって癒されもします。定年になれば創作活動一本でやっていく所存なので、今は二束の草鞋で頑張っていくより方法はありません。
2008.06.03 Tuesday
昨日出かけた熱海市の池田満寿夫・佐藤陽子の「創作の家」。そこから車で20分程度走ったところに故池田満寿夫が主に陶芸を試みていた「満陽工房」がありました。山の中腹にある大きな町工場のような工房です。ただし工場とは違うのはカラフルに塗装された工房の壁でした。工房そのものは未公開で、隣接している記念館に陶芸作品が展示されていました。自分にとって有意義だったのは、たとえ外側からだけでも工房が見れたことでした。周囲の環境、工房の大きさから作家の創作の在り方を想像することができるのです。とくに周囲の環境は重要で、作品は環境によって影響を受けるからです。自由奔放な池田満寿夫の作風が、みかん畑の点在する山の中から生まれたという事実。しかも空は大きく広がり、眼下に川が流れる自然のままの環境。そんな場所に羨ましさを感じながら「満陽工房」を後にしました。
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