2009.09.11 Friday
何年か前に横浜市民ギャラリーに作品を並べていた時、ひとりの鑑賞者から「これはテロに対する抗議か?」と聞かれたことがあります。爆風で半分壊れたような陶彫による都市は、あるいはそんな捉え方ができるのかもしれません。9月11日になると、そんな一言が頭を掠めます。もちろん自分の作品は政治や社会性をテーマにして作っているわけではありません。ただし、発想はどうであれ、観る人がそう感じ取ってもらえるならそれで構わないと思います。自分が思いもよらなかったことを感想として言ってもらえる事があります。驚きとともに嬉しく感じることがあります。様々な解釈が可能な作品であればこそ、観る人が自由に想像してくれるのだと思っているからです。作品に説明の要素はいらないというのが自論です。それは抽象に限らず、やや具象傾向であっても、多様な解釈ができるものがいいと自分では思い込んでいるのです。嬉しいのは自分の作品に上手下手というテクニックに関する感想はなく、これはこんなものを表現したのではないかと同意を求められることです。そうだそうだと否定しないでいると、本当のところはどうなのさと詰め寄られます。作品が醸し出す多様性。これが自分の作品の命です。
2009.09.10 Thursday
去年の今頃は何をしていたのか、2008年のブログを開けてみると、眠さに誘われてどうしようもないようなことが書いてありました。さらに2007年のブログはどうか、ここにも頑張らないでやっていこうというようなことが書いてありました。最近は眠くて仕方がないので、過去のちょうど今頃はどんな思いでいたのか、ひょっとして果敢に創作に立ち向かっていたのではないか、そうなれば今の自分を叱咤して頑張らねば…と思っていたのですが、2年前も昨年も似たり寄ったりで拍子抜けしてしまいました。空気が澄んでくる秋はやはり眠くて、今ひとつ盛り上がれず、何だかホッとしたような気分です。ただし、ここ数年と今年が異なることは、未だにまだ思い切った作品が作れずにいることです。これは由々しき事態です。そうは言っても眠い時は眠いので、蕩けていく意識と葛藤しながら毎日を過ごしています。
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2009.09.09 Wednesday
岡本太郎著による本はシリーズ化したもので5冊あります。いずれもみすず書房から出版されています。自分の若い頃は、この芸術家のアヴァンギャルドな理論や行動が羨ましく思えて、また著作に影響されてきました。彼の造形作品にはあまり関心がなかったのですが、本はよく読みました。今夏、新潟県の十日町市美術館に行って縄文土器に触れた時、岡本太郎が書いた「縄文土器」論が無性に読みたくなって、久しぶりに再読しました。そのままその理論が収録されている「日本の伝統」も再読してしまいました。若い頃読んでいたにも関わらず、現在の自分の方が主張するところがよく伝わりました。琳派がとくに面白く感じました。「紅白梅図」や「燕子花図」は自分も同じ時代のものと比べると異質なものを感じていました。現代に通じる新しさがあるように思ったのです。岡本太郎流の理論には、現在でもかなり頷けるものがあります。でも、どうも彼の絵画や立体は自分にはしっくりきません。岡本太郎が若い時に描いた「痛ましき腕」という絵画作品は大好きなのですが…。そこには深い精神性があるように思えるのです。
2009.09.08 Tuesday
横浜市公務員が申し込んで受けることの出来る研修の中に、管理職のための研修があります。管理職として必要な知識等を学ぶ機会は数多くありますが、今日は争訟に関する研修に参加してきました。弁護士から様々な判例が出されて、それらを概観しながら、裁判で留意すべきポイントは何かについて、具体的な事例を通して説明がなされました。損害賠償請求やらそこに至る損害の内容を詳しく聞きました。法律に疎い職種でありながら、立場上そんなことを言っていられない状況もあることを認識して、明日からの仕事に励もうと思います。横浜市は課題解決事業を開始して、専門家による支援チームがあります。活用する場面が無いのが一番ですが、万が一の時はこうした支援があることを覚えておこうと思います。
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2009.09.07 Monday
自宅の小さなアトリエに、アフリカをはじめとする各地のお面や陶器があります。20代の頃から集めてきたものです。買ったものもあれば拾ってきたものもあります。やっと持ち上げられるくらいの大きな流木に、自分が白くペイントしてオブジェ化したものはリビングに置いてあります。拾ったものは実はたくさんあります。イギリス人彫刻家H・ムアの工房に石ころや骨が置いてあるのを写真で見て、自分も倉庫に持っていこうかと考えているのです。プラハの石畳の一部やギリシャで見つけた白骨化した狼の頭、ルーマニアで見つけた羊の角、沖縄や奄美大島で拾った珊瑚の残骸、その他いろいろな海岸で見つけた小さな石ころ。よく見ると穴が開いていたり、象形文字のような模様が入っていたりします。流木は波に洗われた流線型が奇麗です。ついついカタチの面白さに魅かれて拾ってしまったものばかりで、自分にとっては宝物です。どこかでカタチに出会う瞬間があり、それを見つけた時の喜びは天にも昇る心持です。アートの眼で世界を見れば、足元にさえ感動が転がっていると思うことがしばしばあります。
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