Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 「かもめ食堂」の空気
    映画「かもめ食堂」のDVDを観ました。フィンランドで何となく巡り合った3人の日本人女性が小さな和食のレストランをやっている物語。和食と言ってもよく海外で見かける高級和食ではなく、おにぎりやトンカツ定食といった日本の家庭料理で、洒落たフィンランド調のキッチンで調理されていました。観ていると清潔感のある丁寧な描写があって、すっと引き込まれていきます。3人の女性はみんな自立していて、過去に何かあったような素振りはあるものの物語では触れていません。何気ない日常を描いていて、ちょっとしたことがドラマを紡いでいきます。自分が引き込まれた理由は全体に流れる空気。海外で暮らしたことがあれば、異文化とのちょっとした出会いを体験していて、その空気をこの映画は何となく感じさせてくれていました。Yutaka Aihara.com
    府中市美術館の「藪野健展」
    仕事が早く終わり、午後3時頃になって横浜市の上大岡から東京の府中へと車を飛ばし、府中市美術館で開催されている「藪野健〜記憶の都市」展を見てきました。閉館間近に急ぎ足で見た個展でしたが、大きな画布に描かれた南欧の風景が広がり、時間がそこで止まっているような印象を受け、閉館時間を気にしながら、絵の前で長く留まってしまいました。青い空、廃墟となった古い町並み、作家の記憶の中に今なお生き続けている人々、路面電車やクラシックカーなど一貫したテーマを追い続けている姿勢が感じられて、大変見ごたえのある展覧会でした。車を飛ばして行ってきて良かったと思います。Yutaka Aihara.com
    「穴」の造形
    365点の連作を始めて8ヶ月目。今月はずっと「穴」をテーマにした作品を続けています。ポストカード大の平面に一日一枚ずつ何かを表現しているわけですが、9月1日に穴を穿った矩形をペンで描いたのがきっかけで、以後今まで様々な穴のある作品を描いてきました。実際に彫刻で穴を扱った作家は多く、たとえば穴と言うより内部空間と言った方がふさわしいヘンリー・ムアや穴に意味を持たせた堀内正和、飯田善国。全員故人となってしまいましたが、「穴」には不思議な魅力があるので、今まで数多くの作家が扱ってきたテーマなのではないでしょうか。セクシュアルな意味もあり、覗く、引き込まれるといった生理的な感覚と結びつくものではないかと思います。自分にとって「穴」とは何か。空虚を感じさせる要素のひとつです。たくさん穴を穿つことで物質ががらんどうになっていくのに魅力を感じています。でも365点の連作はそろそろ「穴」から別の世界へ展開しなければなりません。                             Yutaka Aihara.com
    「頑張らない」
    頑張りたいけど、つらい時に「頑張らない」とつぶやくようにしています。自分を「頑張らない」と自己暗示にかけることで、リラックスして仕事に向うことが出来るのです。「頑張らない」と自分に言い聞かせるだけで脳が休むのかもしれません。作家と公務員の二束の草鞋を履くのは、やはり大変な場面があって、素早い頭の切り替えが必要な時があります。そんな時は「頑張らない」と思うと、頭の切り替えがスムーズにいきます。なんか今回は精神論みたいになっていますが、「頑張らない」自己暗示が今の自分に必要になっているのでしょう。「頑張らない」ように公務をこなし、「頑張らない」ように創作活動をして、悠々としていたいものです。        Yutaka Aihara.com
    タウン誌のポートレート
    以前タウン誌の取材を受けました。それが出来上がり1冊頂きました。作品というより自分のポートレートが大きく掲載されて、ちょっと照れます。ルポライターの文章を読んでいると、自分が言ったことで改めて自分の意思の確認が出来て、何故か変な気分になります。書き手は短いコメントの中で上手にまとめるものだなと感心してしまいます。自分の作品は集合体なので、組み立てなければ全体を見せることができません。倉庫には部品入りのダンボールがまるで引越し荷物のように積んであるだけです。そこへいくと数ページ前に掲載されている画家が羨ましい限りです。作品の前で撮影が出来て、しかもカラフルな画面なので写真がとてもキレイです。自分の彫刻の図録を撮影してくれるカメラマンはいつも照明に気を使い、立体の雰囲気作りを大切にしてくれますが、これは自分の作品が黒っぽい立体で、しかも演出という手間をかけなければよく見えない要素を持っているからなのでしょう。時間が限られた取材の中で撮影するとなれば、作品よりポートレートが中心になるのは仕方がないことかもしれません。            Yutaka Aihara.com