Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • ペルジーノ展
    この頃、福島県の大内宿に行ったり、藤森建築展を見に行ったりしていて、どうも和風に傾倒しています。そこで、まるで正反対のイタリアルネサンスの画家の個展を見に行くことにしました。ペルジーノは日本ではあまり知られていない画家ですが、ルネサンス当時のイタリアではなかなかの実力者で、職人肌の画家であったようです。この時代にはダヴィンチやミケランジェロ、ラファエロがいて、宗教画の手法が保守的だったペルジーノは次第に時代に合わなくなっていると感じましたが、きちんとした絵が残されていて、聖母子を描いた大作は見ごたえがありました。欧州の教会や美術館では見飛ばしてしまう作品でも、文化の違う日本でこうした宗教画を見ると返って新鮮な感じがしました。
    藤森建築と路上観察
    東京オペラシテイアートギャラリーで、藤森照信展をやっていることを知って早速見に行きました。自分はこの建築家の大フアンなのです。原始と現代が同居しているようなロマンを感じてしまいます。小さい頃、こんな棲家を作りたかったと思うような住居を具現化してしまうところが羨ましいのです。木の上に家を建てる、家を緑で覆う、土壁というより藁や泥がたっぷり入った魅力的な壁を作ってしまう、これは本当に自分の憧れそのものです。昨日までいた大内宿の民家を髣髴とさせるような表現活動に自分も見習いたいと思うばかりです。路上観察学会のビデオや資料には笑ってしまいました。もっと大人は遊ばないといけないなあと思いました。自分も住居のような彫刻作品を作っているので、これはこれで遊んでいるのだと確信しました。頑張る力を大いに貰いました。
    大内宿 民家のカタチ
    民俗学者の相沢先生が大内宿の保存を始めたきっかけを本にまとめています。先生は村民の中に入り、同じ労働に勤しみ、村の理解を得て、ようやく今日の大内宿の姿にしてきたのだと思います。まさか当時はこんな観光地になるとは思ってもみなかったのではないでしょうか。自分はこうした土地に来ると今は観光地であれ、また生活の場であれ、祖先が培った家々や街道の美しさに心を奪われます。木の文化が自分の心を和らげます。土壁や太い梁を見ると心が躍ります。切妻屋根の美しさ、藁葺きの緩やかな傾斜に心が撫でられ、この風景が保存できたことを嬉しく思います。因みに観光客としての一言。大内宿入り口にあるパン屋さんの手作りパンは絶品です。種類は少ないのですが、どれも美味しくて必ず買って帰ります。お試しを。
    大内宿に纏わること
    福島県南会津郡下郷町にある大内宿は数回訪れています。最初はずい分前になりますが、豪雪の積もる大内宿に車のタイヤを滑らせながら入りました。奥深い里という印象でした。自分の出身校には民俗学研究室があって、民俗学者として名のある宮本常一教授が礎を作ったようですが、自分の時代には後継者の相沢次男先生がいらっしゃいました。実はこの相沢先生が大内宿の保存活動を初めて展開した人でした。大内宿本陣跡にある街並み展示館には母校の名前がついた看板があります。相沢先生はご家族を連れて、自分がウィーン滞在中に拙宅に来ていただいて、日本や欧州に纏わる興味深いお話をしていただきました。自分がルーマニアで個展をした時もオープニングに駆けつけてくださいました。そんな縁で大内宿は初めから親近感がありました。ただ遠路遥々といった印象は拭えず、今回も尾瀬から1時間以上かけて、ここにやってきたという感じです。
    水芭蕉の咲く木道
    尾瀬に来ています。昨年のブログにこの時期の尾瀬紀行を書いています。今年も尾瀬沼までの木道を歩いてきました。昨年は豪雪で木道が埋まって、幾度となく足を滑らせましたが、今年は雪がわずかに残るだけで、清々しい空気の中を気分よく散策することができました。水芭蕉が群生しているところを眺めていると、まるで桃源郷のようで、癒しの空間を味わいました。湿原の美しさ。山々に筋をなしている残雪。青空にぽっかり浮かぶ雲。このまま風景画にしてしまうと、あまりにも構図が決まりすぎてしまいます。絵のような風景ではありますが、絵にするよりはリアルな自然の方が断然勝っているのです。この風景を表現するとしたら、時間をおいて印象を再構成するしかないかなと思います。昔から芸術家は自然のもつ偉大さや畏怖を表現しようと試みてきました。この肌に感じる尾瀬の透明な空気の前では、作りごとは何て無力なんだろうと感じます。