Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 「ルーマニア 人・酒・歌」を読んで
    みやこうせい著「ルーマニア 人・酒・歌」を読んで、当時みやさんに案内されたルーマニアのマラムレシュが甦ってきました。この本を読む前は自分の記憶を頼りにブログにルーマニアの思い出を綴ってきました(2006.9.7)が、本の中に登場するイベントや村の様子は、さすがみやさんはルーマニア取材の大御所とあって、読み進むうちに情景が目に浮かび、山々に木霊する村人の言葉やイントネーション、羊の匂いまでが甦ってくるようでした。あの頃自分はこうだったという当時の気分までも思い出してしまいます。家の内部を飾る絨毯の煌びやかな美しさ、朝靄に煙る山の上の教会、そういえば搾乳競争のイベントや伝統的な結婚式にも、みやさんに連れていってもらいました。それもつい最近のように感じて感慨一入です。本の最後にギリシャに触れていますが、そこも印象深いところでした。それはまた後日にします。
    携帯用水彩絵の具
    絵手紙やスケッチを試みる人が増えたおかげで、画材が充実してきたように感じています。画材店には携帯用の水彩絵の具や水彩紙、スケッチブックが店頭に並んでいたりします。自分は20数年前に外国で購入したドイツ製の小さな固形絵の具がセットされた携帯水彩を愛用してきましたが、さすがに固形絵の具の箱がいくつも空になってきていました。そこで新たに日本製を購入したわけです。まず驚いたのが水が内蔵される絵筆です。握ると水が筆に伝わり、水彩の色を調整できるようになっています。今更ながらこれはすごいと思いました。発色もなかなかのもので、昨日浦賀で船を描いた時は使いやすさと色合いに満足でした。画材は進歩しているのですね。これからスケッチ愛好者が増えれば、まだまだ改良されるのではないでしょうか。
    浦賀にて船のスケッチ
    毎年必ずこの時期に浦賀にスケッチに出かけます。駅から遠くないところに大小の船舶が繋留されていて、船をスケッチするのには好都合な場所です。今日は咸臨丸フェステバルが開催されていて、港に帆船が3隻も繋留されていました。見物客が多く、帆船が帆を広げた様子はなかなか見ごたえがありました。だからと言って自分は帆船を描きに来たわけではなく、例年の如く大きな運送船や個人のヨットが繋留されている情景を描きに来ていました。数年前から船のある生活風景をスケッチにまとめているのです。浦賀駅前から歩いて5分程度のところに渡し舟があり、それに乗って対岸に渡り、叶神社あたりから海を眺めて、2時間ほどスケッチに精を出します。船の形はデッサンが取りにくく、また海の色も気候や天候によって様々に変化します。そこが面白いのです。船体の曲線、鎖やロープ、剥げたペンキなど使い込んだ船には美しさが溢れています。立派な帆船を描けば「美しい絵」、日常の中にある何でもない船を描けば「美しさを再発見する絵」。強い海風に煽られながら、再発見の筆を走らせた一日でした。
    HPにEXHIBITIONをアップ
    昨年と今年の個展の様子を「EXHIBITION」として新たにホームページにアップしました。アートデレクターとカメラマンをしていただいている玉置さんと衣笠さんによって個展の撮影や画像の構成をしていただきました。画面を見ると個展開催時の雰囲気がよく伝わってきます。今年はホームページの充実を目指していこうと思っています。まだまだ撮影のやり方によっては楽しい効果が期待できる作品があると自負しています。平面作品はまだホームページに登場してきませんが、滞欧時代に作った版画や墨による抽象画、また今制作中の365点の連作もいずれホームページに出してみたいと考えています。365点の連作はついに100点を超しました。これを床に並べると感慨にふけってしまいます。まだ半分もやれていないのに気が早いことです。「EXHIBITION」をご覧になるなら最後にあるアドレスをクリックしていただくと入れます。よろしくお願いいたします。   Yutaka Aihara.com
    棟方志功の装飾世界
    学生時代に版画制作に没頭した時期がありました。初めはドイツ表現主義の影響で、ぎくしゃくした構図の木版画をやっていました。人物描写が劇画のようになり、全体はプロレタリア・アートのようで、彫った作品は気に入らないものばかりでした。そんな時によく見ていたのは棟方志功の板画でした。自分は彫り方が中途半端に上達して、その分つまらない作風になってしまいましたが、棟方志功の板画は不器用さを残したまま、その装飾世界は命を謳い上げていました。装飾性が生命感を宿しているのは縄文土器に通じるもので、棟方志功が無我の境地で制作をしていたのがよく伝わります。自分はこの時から具象傾向の木版画はやめてしまいました。それでもよく鎌倉山の棟方志功記念館には出かけました。青森県の記念館にも足を運びました。あの天衣無縫な作品が時々見たくなるのです。今の彫刻で棟方志功の境地になれればと願う毎日です。