2009.05.19 Tuesday
昨日、アーティスト草間弥生の作品に触れたブログを書いていて、草間弥生の持つ異様な世界は、水玉や網が繰り返される単純な作業によって生み出される世界なのだと改めて思いました。単純であるが故にどこまでも広がる世界。細胞のように増殖する生命体。ひとつひとつが地道で丹念な作業は、やがて爆発するような運動を形成していきます。まさに生命の進化と同じような過程を持つ造形物だから、自分がその世界に取り込まれて、やがて魅かれていくのかもしれません。自分も集合彫刻をやっていて、時間の許す限り広げていく可能性を持つ世界です。ギャラリーや美術館を丸ごと作品で覆いたい欲求に駆られます。制作という労働の繰り返しが、やがて大きな意味を持つことに自分も関心が高いのです。自分の作品は要素が単純ではないため彫刻以外の媒体に広がっていかない嫌いはありますが…。しかしながら無限に繰り返す力をさらに深めて保ち続けたいと考えています。
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2009.05.18 Monday
表題は草間弥生著「無限の網」(作品社)で、水玉や網が増幅していく大掛かりな造形作品をパワフルに作り出している女性アーティストの自伝です。草間弥生という作家は、ちょうど30年前の自分の学生時代に、南天子画廊から出版された「快楽宣言」(篠田守男著)の中にあった一文と写真で知った作家です。アメリカで大変な評価を受けた人で、確かに「無限の網」の本文にある通り、日本ではスキャンダラスな側面で捉えられていました。本書を読むと、かなり若い頃から神経を病んで、自己治癒のために芸術に没頭している有様が伝わります。常軌を逸した表現世界は見る側を圧倒して、その仕事量は凄いの一言に尽きます。自伝の中で面白かったのは、米人アーティストの評論家が書く評論ではなく草間弥生だけが知る彼らの生き様です。現代美術史に名が残っている人たちが、身近な存在として感じられたのがとても楽しく、また興味津々でした。草間本人が美術家か小説家になるか迷ったと本書にある通り、卓抜した文章に畳み掛けるような勢いがあって、瞬く間に一冊読み終えてしまいました。
2009.05.17 Sunday
五月晴れというコトバがありますが、今日は荒れ模様の一日でした。週末の日課として、亡父の残した畑に行って倉庫建設の様子を見ますが、雨風で周囲の木々が大きく揺れていました。我ながら美しいところだなと思っています。ここで作業が出来るようになればいいなとも思います。現在は自ら作業にストップをかけています。頭の中でイメージを貯め込んで、ぐるぐる考えながら作品の種を精選しているのです。週末でなければ出来ないことです。5月の空を見ながら、太陽と雨が交互にやってきて、青葉若葉を芽吹かせて木々を育てている様子が、何もしない週末だからこそよく見えます。今日は雲が垂れ込め、遠くから風の唸り声が聞こえていました。雨が来るたび気候が変化して夏に近づいていきます。汗が滴る夏に向う気配を感じつつ、5月の空をずっと眺めていました。
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2009.05.16 Saturday
RECORDの4月分と5月分といっても昨年作ったものですが、ホームページにアップいたしました。昨年は1ヶ月毎に幾何形体を選んで、それをもとに作品化していました。当然構成的な作品ばかりです。4月は円形、5月は六角形をやっていました。RECORDというシリーズは、葉書大の平面作品を一日1枚のペースで作り続けている総称で、今なお進行中の膨大な作品です。現在3年目に入り、とりあえず1000点を目指しています。さらに10000点達成が目標ですが、その頃の自分はどうなっているのか、80歳を超えるまでやっていけるのか、先のことはよくわかりませんが、イメージが枯れるまで続けようと思っています。自分のホームページにはブログの最後にあるアドレスをクリックしていただくと入れます。RECORD4月分と5月分をご高覧いただければ幸いです。
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2009.05.15 Friday
オーストリアのウィーンで暮らし始めた頃、生活費を稼ぐため石彫のアルバイトをしていました。ハンス・ムーアという彫刻家がウィーン郊外に工房を持っていて、彼のデッサンをもとに鏨や電動カッターで石を切り出す仕事でした。ハンス・ムーアは室内に置く石の噴水を作っていて、注文がかなりきていたようです。使用する石の産地も様々で、本格的に石をやったことがない自分もそこで賃金を得ながら勉強させていただきました。ハンス・ムーアの彫刻作品はほとんど磨いていましたが、途中の割れた石肌にも自分は魅力を感じていました。割れただけの面と磨いた面。この対比を楽しむ彫刻家もかなりいますが、自分もピカピカに磨くよりは自然のままで残るところがあった方がいいと思います。石は素材の性格上、野外制作に向いています。騒音と埃にまみれた作業です。時間も必要です。重量があるためテコ等で工夫しなければ動かすこともままならない素材です。でも石の肌は大変魅力的で、大きい作品をいつか作ってみたいという願望はあります。