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  • 「安定感のある…」印象
    7月の個展に知り合いの臨床心理士夫妻が見えて、彼らなりに感想を述べていただきました。ご主人は自分の職場で働いている人で、管理職の立場からすれば大変頼りにしているスタッフのひとりです。彼によって支えられている人はたくさんいます。奥様も臨床心理士で介護系、とくにアルツハイマーの患者をカウンセリングしているそうで、聞き上手のプロと言うべきか、寄り添う会話によって人生を活性化させる専門家だそうです。奥様と自分は初対面でした。カウンセラーという職種の人は、話しやすい空気感をもっていて、個展会場でも話は弾みました。(というより私がよく喋ってしまいました)後でご主人に個展の感想を聞いて、自分のことながら「へぇ」と思ってしまいました。奥様は、私と作品を見て「安定感のある…」と言われたそうです。管理職の立場としては嬉しい限りです。アーティストとしては…複雑です。確かに決めた時間にコツコツと作業している自分は安定した精神状態をもっています。それが作品に表れ、いい意味でも悪い意味でも安定感が作品に出てしまうようです。人の心を感じ取れる人は、作品でも何かを感じ取れるのかと改めて思った次第です。来年また夫妻を呼びます。自分の心の変化を毎年確認したいと思っているからです。              Yutaka Aihara.com
    「構築シリーズ」に向けて
    来年7月のスケジュールに入れていただいている「ギャラリーせいほう」での個展では、「構築シリーズ」をスタートする予定です。今まで「構築〜包囲〜」と「構築〜解放〜」に取り組んできましたが、「構築〜包囲〜」の発展したカタチをもう一度やってみたいと思っています。柱をピラミッドの骨格のように組み、その骨格が殻を破って突き出たイメージを思い描いているのです。殻には陶彫の破片を使います。陶彫は「発掘シリーズ」で使った技法です。陶土は過去の遺物、樹木は未来に向う素材として扱うことが自分の中で定着しつつありますが、それは大地にあって気象や環境によって質を変化させていくカタチをもたない土と、同じ状況であってもカタチを変化させていく木を、それぞれ自然にあるがままの素材に造形意図を入れて対峙させてみたいと思っているのです。どちらの素材も地球がもたらす恵みであることに変わりなく、それ自体でも美しい素材です。造形化する意味を考えながら、当初のイメージに制作を通して近づいていけたらと思っています。
    RECORDは「三角形模様」
    今年のRECORDはカタチの繰り返しによって、画面を構成しています。今月は同じ大きさの三角形を4つ配置して、それをベースに平面作品を作っていく予定です。三角形は好きな図形で、かつて陶彫でもピラミッドを作っています。とくにこれから陶彫や木彫で作る立体作品は、三角錐や円錐、四角錘など三角形を基にした作品と作ろうと考えています。上部で1点に結ぶ図形は内包する空間に魅力を感じてしまうのです。上昇しても出口を塞がれている状態では、パワーが再び下降してクルクル回り、それを繰り返しているうちに内包する空間にパワーが充満するように思えるのです。前に「構築〜包囲〜」を作りました。まだ展開できそうな状況を残したまま、「構築〜解放〜」に向ってしまったので、もう一度「構築〜包囲〜」に戻ってみようと思っています。上部で1点に結ぶ図形に拘るのはそのためです。とりあえず今月のRECORDで試します。                  Yutaka Aihara.com
    9月にやるべきこと
    9月になりました。先月は新築された倉庫に陶芸窯が入りました。職場で5日間の夏季休暇をいただき、新潟県のアート・トリエンナーレや群馬県の博物館、静岡県の美術館、そして長野県の池田宗弘先生宅に行ってきました。読書ではA・ブルトン「魔術的芸術」をじっくり読みました。ほぼ予定通りの8月だったように振り返っていますが、京都の渡辺さんに会えなかったことや瀧口修造の本を読めなかったこと、作品の雛型作りが思うように進まなかったことが悔やまれます。今月は作品制作(雛型を含めて)をやっていきたいと思います。8月のように時間が確保できませんが、それでも今月の半ばに5連休があって、このあたりで新作に向けて走り出したいと願っています。次作は木彫の柱と陶彫の断片を組み合わせた「構築シリーズ」を考えています。今月はやるべきことをしっかりやっていきたいと思います。
    「フランス絵画の19世紀」展
    今日まで表題の展覧会が地元の横浜美術館で開催されていました。退屈しそうだと思いつつ出かけてみたら、逆に新鮮な気分に浸れて良かったと思いました。アカデミズム。これはフランス印象派の少し前まで、サロン(フランスの展覧会場)で発表することを主体とした絵画を指して言います。自分が美術の世界に進もうと考えていた頃に習ったデッサンがまさにアカデミズムだと思っています。受験デッサンは、陰影を捉えて形を写実的に描くことを目的としていて、自分もその頃は人より巧みになりたいと日夜励んでいました。現代から見れば、活力の無い旧態依然とした世界ですが、逆に現代美術の混沌とした広がりを考えると、そんな生真面目で丁寧で浮いた表現が、或いは新鮮に見えても不思議ではありません。歴史画や神話を題材にした大げさな絵画は、やはり戴けないところもありますが、通念的な絵画たる絵画を見たような気がしました。手間のかかった筆致や色合いや細部の表現が、ある意味では芸術家が幸福だった時代を表しているようにも思えてきます。デッサンを習いかけの頃だったら、巧いなぁと溜息をついただろうにと思いながら会場を後にしました。                      Yutaka Aihara.com